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長野県飯島町/ふたつのアルプスが見えるまち、飯島町

印刷用ページを表示する 掲載日:2026年4月27日更新

飯島町 ふたつのアルプス

▲飯島町 ふたつのアルプス


長野県飯島町

3358号(2026年4月27日)
長野県飯島町 産業振興課


  1. 飯島町って…?
  2. 自然とともに
  3. 青い輝き「ミヤマシジミ」とともに
  4. 伝統・文化とともに
  5. 新しい風とともに
  6. 結びに…

1. 飯島町って…?

 窓を開けた、その瞬間、視界に飛び込んでくるのは、3,000m級の雄大な山々。長野県南部、伊那谷の中央。天竜川に沿って南北に広がるこの地は、西に中央アルプス、東に南アルプスを望む、「ふたつのアルプスが見えるまち」。そこが、飯島町です。標高687m、面積86.96km²。東京から車で約3時間半、名古屋から約2時間半に位置し、人口およそ8,700人の小さな町ながら、魅力に溢れる町です。​

2. 自然とともに

左:飯島ののどかな原風景 右:実りの秋

 飯島町の魅力のひとつは「自然」です。中央アルプスを源に流れ出す与田切川は、長い年月をかけて深い渓谷を刻み、清らかな水とともに町に命を育んできました。越百山(標高2,613m)を中心とした中央アルプスに降り注いだ雪や雨が地中深く浸透し、長い歳月をかけて与田切公園地下50mまで流下してきた水が越百の水です。信州の名水・秘水にも選ばれ、硬度29度の軟水は、飲んだ方の健康を維持し、100歳を超える健やかな長寿への願いを込めて命名されました。

 また、自然豊かな飯島の四季は驚くほど鮮やかです。

春、やわらかな陽光の中で桜が咲き誇り、田畑に新しい命が芽吹く。

夏、空はどこまでも高く、澄んだ空気の中で緑が一層深くなる。

秋、山々は赤や黄金に染まり、思わず足を止めて見入ってしまう。

冬、静寂に包まれた白銀の世界が、すべてを優しく覆い尽くす。

 内陸性の気候でありながら、台風の影響が比較的少なく、冬の積雪も穏やか。自然の厳しさと優しさ、その絶妙なバランスの中で人々の暮らしが営まれています。

 この豊かな環境があるからこそ、農業もまた盛んです。「飯島」という名前はその名のとおり「めしのしま」と言われるほど、古くから米づくりが盛んな土地です。特別栽培米「越百黄金」は長野県の基準よりも農薬・化学肥料の使用を半分以下に抑えて栽培している、安全・安心な自慢のお米です。昼夜の寒暖差が生み出す甘みと旨みは、多くの人に愛され続けています。このお米は、町内の小中学校の学校給食米としての提供も行っており、生産者との交流を通じて地元への愛着と感謝を育み、地産地消を推進しています。

 さらに、飯島町ではみずみずしい梨、香り高い信州伊那栗の果樹栽培、そしてアルストロメリアやユリといった色とりどりの花々の花き栽培も盛んで、どれもこの土地の気候と人の手があってこそ生まれる恵みです。

 そして、この自然の豊かさを、一際繊細に象徴する存在がいます。『ミヤマシジミ』です。

3. 青い輝き「ミヤマシジミ」とともに

左:町の蝶になりました 右:青い輝きミヤマシジミ

 草むらにふと目をやると、ひらりと舞う小さな蝶。ミヤマシジミは、翅を広げてもわずか25~30mmほど、1円玉サイズの小さな蝶です。しかしその美しさは、決して「小さい」の一言では語れません。

 オスの翅は、透き通るような青。角度や光によって表情を変え、その一瞬一瞬がまるで違う宝石のように輝きます。対してメスは、落ち着いた褐色にオレンジの模様。控えめでありながら、確かな存在感を放っています。

 この蝶は、どこにでもいるわけではありません。日本では近年の河川改修や河川敷の樹林化などによって生息地が急激に減少しており、環境省の絶滅危惧1B類に指定されるほど、希少で、限られた自然の中でしか生きることができない存在です。きれいな水、幼虫が食べるコマツナギという特定の植物が育つ環境、適切に管理された草地。そのすべてが揃って初めて、この小さな命は次の世代へとつながります。飯島町の天竜川流域は、その貴重な条件を満たす場所のひとつであり、日本最大級の生息地とも言われています。

 町ではこの蝶を令和7年に「町の蝶」に制定し、生物多様性の象徴として守り続けています。その想いを大切にしながら、生物多様性の損失を食い止め、自然環境を回復させることをめざし、地域住民とともに保全活動に取り組んでいます。

 ミヤマシジミが舞う風景は、ただ美しいだけではありません。それは、「自然と人が共に生きている証、地域の宝」そのものです。この小さな青い輝きを見つけることができたなら、それはきっと、この町の自然があなたに見せてくれた特別な贈り物です。

4. 伝統・文化とともに

左:夜空を彩る花火 右:歴史かおる飯島陣屋

 かつて飯島には天領(幕府直轄領)の取り締まりの代官所である飯島陣屋が置かれ、明治時代には伊那県の県庁が置かれるなど、歴史の要所としての役割も担ってきました。復元された飯島陣屋は書院、囲炉裏のある座敷、御膳間などが再現されており、来館者は代官気分でその空間に入り込むことができ、「ここで何があったのだろう」と想像を掻きたて、当時に思いをはせることができます。

 かつてこの地で人々の暮らしと政が営まれていた面影は、派手さこそありませんが、その分だけ想像力を掻き立て、風の音や木々の揺れ、囲炉裏の火がまるで当時の様子と重なって見えてくるかのようです。

 飯島町は花火がとても身近な町です。昔から暮らしの中に根付いているからです。町内には煙火店が2つあり、花火は特別なイベントではなく、暮らしの中に息づく身近な文化です。

春、千人塚公園の湖面に映る水中花火。

夏、夜空いっぱいに広がる祭りの大輪。

秋、五穀豊穣への感謝と祈りを込めて、各地の神社ごと打ち上がる花火。

 そして年末、大晦日から元旦にかけて、除夜の鐘のかわりに響く尺玉の音。

 このように四季折々に花火を楽しんでいます。地域の祭りや伝統行事も大切に受け継がれており、飯島ならではの文化に触れることができます。

新しい風とともに

iiネイチャー春日平全景

 そんな歴史ある町に、近年、新たな取組が始まっています。そのひとつが「ii(いい)ネイチャー春日平」です。

 「iiネイチャー春日平」はトレーラーハウスの宿泊施設で、ホテルや旅館とはひと味違った非日常が体験できる施設です。「飯島流ワーケーション」をキーワードにコロナ禍においてより自然に近い環境でワーケーションを楽しめるよう整備を始めました。

 各トレーラーハウスは建物同士の間隔にゆとりがあり、バーベキューをしたり、ドッグランで愛犬とのびのび遊んだり、隣を気にせず思い思いに過ごすことができます。さらに敷地内の畑の野菜は、宿泊者は自由に収穫することも可能です。朝は鳥の声で目を覚まし、昼は畑や自然の中で体を動かし、夜は満天の星を眺める。時計ではなく、自然のリズムで過ごすことができる、そんな場所です。

 当初はコロナ禍に地方でのワーケーションの受け入れを目的に、施設や受け入れ体制の整備を進めてきましたが、アフターコロナの状況を鑑みて、町全体の資源を活かしてより幅広い層の人々を受け入れられるよう民間事業者の力も借りながら関係人口創出施設としてバージョンアップをしてきています。

iiネイチャー春日平産の美味しい野菜

 この施設を拠点に、農業体験や地域文化に触れられる体験プログラムができる点も特徴です。例えば、とうもろこしの収穫や田植えなどの農業体験という特別な体験を通じて、短い滞在期間でも気軽に飯島町を楽しむことができます。また、地元の人々との交流を通して、田舎ならではの温かさや暮らしの知恵を体感することができます。特に飯島町の自然に触れることができる収穫体験は家族連れや海外からの旅行者にも人気です。

 この取組は単なる観光ではありません。さまざまな「交流」を通じ、宿泊者と地域住民が接点を持つことで、少しずつ町を知ってもらい、地域への思いを強めていくことに期待しています。iiネイチャー春日平は、町全体の資源を活かしてより幅広い層の人々を受け入れられるよう関係人口の創出につながる場として今後も更なる展開をめざします。

 iiネイチャー春日平の他にも、飯島町では世界記録にも認定された1万個の風鈴が伊那谷の風で美しい音を奏でる「信州飯島風街道りんりん祭」や、「めしのしま」らしく米俵を担いで走るユニークなマラソン大会など、町民有志から生まれた新たな取組が地域の活性化につながっています。まだ小さな一歩かもしれませんが、このような飯島に吹く新しい風が、地域の皆さんとともに、より魅力的で住みやすい町へとつながっていければと思います。

6. 結びに…

 飯島町は、決して華やかな観光地ではありません。便利さや刺激とは少し距離を置いた場所かもしれません。だからこそ訪れた人が自然体で過ごせる落ち着いた魅力があります。「特別な何かがある」というより、人と人とのつながりや、身近な自然の美しさなど「当たり前の良さに気づける」町。ぜひ一度訪れて、飯島町らしさを五感すべてで味わってみてください。きっと無理なく、「また来たい」と思えるのではないでしょうか。ここには自然とともにある、あたたかな暮らしがあります。それが、飯島町です。​
 

長野県飯島町 産業振興課
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