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滋賀県竜王町/こどもたちの未来へ贈る ~いま私たちができること~

印刷用ページを表示する 掲載日:2026年3月9日更新

役場周辺と圃場整備の状況

▲役場周辺と圃場整備の状況


滋賀県竜王町

3352号(2026年3月9日)
滋賀県竜王町 未来創造課


  1. 竜王町の概要
  2. 時代にあった土地利用
  3. 人口、年齢構成の変化
  4. 人は減っていくのに…
  5. マイカーが便利!でも、公共交通は…
  6. 人口を増やそうにも住宅地が…ない
  7. 全部一緒にやればいい!「竜王町コンパクトシティ化構想」
  8. 山河や農地を守る人々を大事に
  9. 心弾む 新時代へのチャレンジ!

1.竜王町の概要

 竜王町は滋賀県の東南部蒲生平野に位置し、東に雪野山、西に鏡山に囲まれ、この山々は竜神が祀られていたことから「竜王山」と呼ばれ、町名の由来にもなっています。

 数多くの古墳が残り、万葉の時代に蒲生野(当町を含む一帯の平野)を舞台に大海人皇子と額田王が相聞歌を詠んだとされており、また室町時代には源義経が東山道の宿場であった鏡の宿(現在の竜王町鏡)に宿泊し元服したと伝えられるなど歴史深いまちです。

 面積は44.55km²であり、東西7.6km、南北8.5kmのコンパクトなまちです。さらに総面積の約35%は森林で、約30%は農地であり、宅地は約15%でありますので本当にコンパクトなまちです。

2.時代にあった土地利用

▲左:東西方向に横断する名神高速道路 ▲右:道の駅アグリパーク竜王

 この総面積の約30%を占める農地からは良質な近江米が生産され、他にも、近江牛発祥の地として畜産業も盛んです。また、近年ではいちごをはじめ梨、ぶどうなどの果樹狩りが楽しめるなど観光果樹園にも力を入れています。農業を基幹産業とし、国や県の支援を受けながら圃場整備や農業用水利施設を整備してきました。このため、町内の農地の大部分は農業振興地域の農用地に指定されていることから、市街化区域は総面積のうち約8%と大変少ない面積です。その用途も大規模自動車工場や工業団地等の工業用地やアウトレットモールの商業地が大部分を占めております。また、町内には鉄道駅がないため、駅を中心とした市街地を形成できなかったことも市街化区域が少ない要因の1つです。

 では、なぜ、このような農業のまちにアウトレットモールや大規模自動車工場・工業団地が立地いただけたかというと、その理由は本町が自動車交通の要衝となっているからです。町内を東西方向に名神高速道路が横断することとなり、これからの時代を見据えて町南西部に名神高速道路竜王ICを誘致し整備いただきました。また、国道8号と国道477号も町内をクロスしております。

 これらの交通アクセスの良さを生かして観光にも力を入れており、国道8号には道の駅竜王かがみの里を、国道477号には道の駅アグリパーク竜王の2つの道の駅を整備し、多くの観光客にお越しいただき、新鮮な農作物の直売だけでなく、農業体験、ハイキング、歴史探訪を楽しんでいただいております。

 このように竜王町は時代に合った土地利用を行ってきた結果、農商工観光の魅力が揃ったまちとなっています。

3.人口、年齢構成の変化

河川の草刈り

 総人口は昭和50年代に1万人を超え、平成7年(1995年)の13,650人をピークに横ばいから微減傾向が続き、現在は11,100人程度まで減少しております。年齢構成においても少子高齢化が進んでいます。

 町内には32の自治会がありますが、人口増加の時代は草刈りや溝掃除等の地域の環境整備だけでなく、夏まつりや文化祭等の自治会の活動も盛んでありましたが、人口の減少と同時に地域住民のライフスタイルの変化や価値観の多様化も重なり、自治会活動の担い手が減少し、かつてのような活動が困難になってきました。

4.人は減っていくのに…

 上述のとおり、本町は時代にあわせ、まちづくりを進めてきましたが、少子高齢化による人口減少という大きな課題にぶつかりました。また、同時に小学校をはじめとする教育施設の老朽化対応も必要となりました。人は減っていくのに、小学校はなんとかしなければいけない。どちらかの課題の延長線上にもう一方の課題があるのならばこれまでの経験から比較的解決方法も考えやすいが、どちらかの課題の反対にもう一方の課題があるようなもので…。

5.マイカーが便利!でも、公共交通は…

 課題は他にもあります。

 当町には鉄道駅がありません。当たり前ですが駅前商店街といったものもありません。また10年程前までは町内にスーパーもありませんでした。このため、医療も買い物も生活に必要な施設は近隣の市町に頼っており、町民の移動ニーズは専ら町外の駅やスーパーや病院でありました。ただし、行きたいスーパーも病院も人によって違いますので、主な移動方法は自家用車です。自宅敷地は広いので、自家用車を運転免許保有者の数に軽トラを加えた台数を所有し、行きたいときに行きたいところへ移動しています。駐車場代もかかりませんし、交通量も少なく運転へのストレスもなく、渋滞もほぼないため移動時間も読めますので、マイカーさえあれば非常に便利です。このため、公共交通の利用は少なく、公共交通のメインの利用者は高校生です。

 町内には高校もありませんので、子どもたちは高校生になると必ず町外への移動が必要になりますが、高校生は運転免許を持っていません。町内でも比較的駅や高校に近い生徒は自転車で通学しますが、そうでない生徒は、保護者の送迎や路線バスを利用します。路線バスは5路線ありますが主に最寄りの駅へ向かいます。利用者は町内の高校生の他にアウトレットモールのお客様や町内の立地する企業の従業員の方であります。これらの利用者に支えられ路線バスを維持してきましたが、路線バスの運転手不足に加えて燃料費や人件費の高騰により経費が上昇する一方で少子高齢化による利用者数の減少により運賃収入が減少し、これまでどおりの運行が難しくなってきております。

 10年程前に町内にスーパーを誘致することができました。その敷地内に医療機関やドラッグストアも立地いただき、生活に必要な施設を町外に頼る必要が少なくなってきたと同時にここへの移動ニーズが高まり、ようやく町内移動のための公共交通が求められるようになってきました。

6.人口を増やそうにも住宅地が…ない

▲左:滋賀竜王工業団地 ▲右:アウトレットモール

 課題はまだあります。

 本町にはアウトレットモールや大規模自動車工場・工業団地が立地し、昼夜間人口比率は140%を超えており関係人口は非常に多いです。これらの関係人口を定住人口に転換しようと誰もが考えますが、受け入れるための住宅地がありません。町内の大部分は市街化調整区域でかつ農業振興地域の農用地であるため分譲住宅や集合住宅の建設ができません。このため、まずは市街化区域編入も検討しますが、基準となる面積を満たせません。次に地区計画の策定も検討しますが、農業振興地域農用地の除外が見込めませんので途方に暮れておりました。

7.全部一緒にやればいい!「竜王町コンパクトシティ化構想」

竜王町コンパクトシティ化構想図

 課題山積な状態で、何から手をつけていけばいいのか悩んでいました。何か1つから始めようとするから悩むのであれば、すべてに手をつければいい。そこで打ち出したのが「竜王町コンパクトシティ化構想」です。この構想の柱は3つです。①利便性が高く多様な交流を育む中心核整備②地域コミュニティの維持・活性化③中心核と地域コミュニティのネットワークです。

 ①の中心核整備では、老朽化した小学校を移転新築し、その周辺に給食センターや図書館等の教育施設を集約しつつ、中心核エリアを市街化区域とすることで、小学校の跡地等での住宅地整備を可能とし、教育施設の老朽化対策と住宅地不足に同時に対応します。

 ②の地域コミュニティの維持は、住民生活の自助共助のために必要なことはもとより、まちの土地利用の多くを占める農地や山河は既存集落の住民により維持されてきており、町土の管理の観点からも必要かつ重要です。現在は、自治会の負担軽減を図るため、行政から自治会への依頼事の見直しを進めながら、自治会内での自発的な見直しを支援しています。

チョイソコりゅうおう

 ③のネットワーク整備では、町内移動のニーズに対応するため、中心核と各集落を結ぶAIオンデマンドタクシー(チョイソコりゅうおう)の運行を開始しました。運行当初は、高齢者の利用が多かったのですが、サービスを向上することで学生やこどもの利用も増えてきております。路線バスについても、通学定期利用促進プロジェクトを展開し、通学定期の半額補助と終バス後に利用できる夜間特別便(相乗りタクシー)の運行を行い子育て支援を兼ねた利用促進策を実施しています。これにより、通学定期の利用者が4倍近く増えました。さらには、ICOCAとマイナンバーを連携させ、便利でお得に利用できる環境を整備し、定期利用者以外の利用促進を図りたいと考えています。

 これら3つの柱が好循環することで、中心核で新たな住民を迎えつつ、既存集落での若者の転出を防ぎ人口減少を抑えながら、新たな住民と既存の住民との交流の中でこれまでとは違う価値が創造され、女性や若者から選ばれるまち・住みやすい持続可能なまちとなることをめざしています。

8.山河や農地を守る人々を大事に

豊かに実る稲穂

 国はインセンティブを講じ、時間をかけながら住民や民間事業者等と協力して居住や都市機能の誘導をめざすとされていますが、いま住んでいただいているところに、人が住まなくなれば、山河や農地は誰が管理するのでしょう。日本全体で人口が減少しているため、土地の管理にもメリハリをつけなければならないことは理解できますが、適切に管理されない山河や農地は、あっという間に荒廃し、自然災害をもたらすリスクとなります。山や河川で起きる自然災害は広範囲かつ長期間に及び、都会に住む人々にも直接的また間接的に影響を及ぼします。また、都会の住民の食糧を支えているのは、都会以外に住む人々の努力です。本町では、山河や農地を守る人々に尊敬と感謝の念を抱くとともに今後も町を創っていくパートナーとして大事にしていきたいと思っております。​

9.心弾む 新時代へのチャレンジ!

新竜王小学校(令和8年度開校)

 第六次竜王町総合計画において10年後のあるべき姿を「若者も暮らしたい 希望かなえる 輝竜の郷 ~心弾む 新時代へのチャレンジ~」としました。「竜王町コンパクトシティ化構想」を最大の推進力としながら、各施策を推し進め、10年後のあるべき姿へ向かっています。この姿が実現すれば、若者をはじめ前向きな思いを持つ竜王町に関わるすべての人が、仕事や子育て、趣味活動などの暮らしの中にある、出産・子育て・学び・仕事・結婚・健康長寿などのそれぞれの「幸せ」を描くことができ、このことで「住み続けたい」と思えるまちになると確信しています。

 ただし、それぞれの描く「幸せ」は誰かにかなえてもらうのではなく、自身の努力はもちろんのこと互いの支え合いやまちのしくみを組み合わせて実現させるものだと考えています。

 自然や田園に囲まれた環境の中で、誰もがきらりと輝くことができるまちをこどもたちの未来に贈るため、今我々ができることに精一杯取り組んでいます。

竜王町未来創造課