
▲空から見た北島町
徳島県北島町
3351号(2026年3月2日)
徳島県北島町
徳島県の北東部、吉野川河口域に位置する北島町。面積わずか8.74平方キロメートルという、県内で最も小さな自治体であり、上空から眺めると縁起の良い「ひょうたん」の形をしています。
二つの大きな河川、旧吉野川と今切川に囲まれたこの「北島町」は、徳島市のベッドタウンとして発展を遂げ、映画館併設の大型商業施設や医療・教育機関が充実する利便性の高いコンパクトシティとなっています。水辺の遊歩道では散歩やジョギングを楽しむ人々の姿も見られ、豊かな自然環境と調和した町並みが広がっています。

皆さまは、北島町に3体のご当地キャラクターがいることをご存じでしょうか。
町を上から見た際のひょうたんの形がモチーフのひょうたん丸、町の花である菊をモチーフにしたチョウチョの女の子のきく姉、そして花にあふれた美しい町の象徴であり、春のチューリップをモチーフにしたチョウチョの女の子のチュリ子です。ここでは、チュリ子と関係の深い、北島町の春の代表的なイベントである「チューリップフェア」についてご紹介します。
「チューリップフェア」は平成7年から始まり、令和8年で32年の歴史がある北島町を代表するイベントです。北島町温水プール(サンビレッジ北島)の南側で4月1日頃から約1ヶ月間、開催しています。毎年、開催期間中に約3万人前後のお客さまが訪れる春の一大イベントとなっており、約1,800km²の土地に、例年40~50品種のチューリップ、約4万本が植えられています。色とりどり、形もさまざまなチューリップが咲き乱れる様子は、まるで絵本の世界のような美しさです。
皆さまもぜひ、お気に入りのチューリップを探しに、「きたじまチューリップフェア」を訪れてみてはいかがでしょうか。
そして、チューリップの植付は、町民の方々に広く参加を呼びかけ、多くの方にご協力いただきながら行っています。また、Instagramフォトコンテストやチューリップ人気投票を実施するなど、老若男女問わず楽しめる催しを毎年工夫して開催しています。
ただ「観る」だけでなく、実際に「植える」楽しさや難しさも体験してもらえるのが、このフェアの大きな魅力です。令和6年の植付では、42グループ・約400名もの方々が参加し、地域のこどもたちからご年配の方まで、幅広い世代が力を合わせて球根を植えました。そのため、「きたじまチューリップフェア」は、花を楽しむ場であると同時に、世代を超えた交流の場としても大切な役割を果たしています。
さらに、北島町のふるさと納税返礼品の一つには、本フェアで実際に植えられていたチューリップを活用したプリザーブドフラワーもあり、町の魅力発信にもつながっています。このように、チューリップは北島町を語る上で欠かすことのできない、いわば象徴とも言える存在となっています。

北島町には、吉野川が育んだ深い歴史情緒が息づいています。 国の登録有形文化財である「藤田家住宅」は、近代の農村住宅の姿を今に伝える貴重な歴史的建造物です。また、県指定文化財の「木像十一面観音立像」や「光福寺のイチョウ」など、地域に語り継がれる伝説とともに歩む史跡が点在しています。吉野川流域は藍染料の日本一の産地であることから、町指定文化財である「阿波藍長板中形染」などの藍染の伝統技法や、北島町図書館・創世ホールが所蔵する藍関連文書の展示などにより「阿波藍」の伝統文化を今に伝えています。


さらに、吉野川の肥沃な堆積土壌は、食文化においても大きな恩恵をもたらしました。近年では「徳島ラーメン」の激戦区としても知られているほか、人気のカフェやベーカリーも多く立ち並んでいます。また、人気の飲食店や雑貨店の品が集まる「きたじまるしぇ」が開催されるなど、多様な食文化が訪れる人々を喜ばせています。
そして、ウォーターフロントを活かしたレジャーも北島町の大きな魅力です。今切川河川敷は、町民の憩いの場であると同時に、西日本有数のフィッシングの聖地として知られ、全日本クラスの大会が開催されたこともあります。水資源を、水上タクシーや観光へも活用し、環境を別の視点から捉え直すことで、新たな価値を見出しています。

昨今「地球温暖化」が深刻さを増す中、世界各地で「持続可能なまちづくり」が求められています。北島町でも、「脱炭素社会の実現」に向けて、一歩ずつ着実に取組を進めており、令和3年に「ゼロカーボンシティ宣言」を行い、2050年までに町全体で温室効果ガスの排出を実質ゼロにすることをめざすことを表明しました。この宣言には、「将来にわたって町民の皆さんが安心して暮らせる環境を守り、次の世代へつなげていきたい」という強い想いが込められています。
宣言の翌年には、学識経験者、産業関係者、エネルギー関係者、町民の方々で構成された委員会を設置し、2050年に向けた脱炭素シナリオを作成しました。そして、このシナリオをもとに策定したのが「地球温暖化対策実行計画(区域施策編)」です。北島町が自ら排出する温室効果ガスを率先して削減することはもちろん、町民や事業者の皆さんと協働し、脱炭素の取組を地域全体に広げていくための方針を定めました。
これまでの取組の成果もあり、令和6年度には環境省の「地域脱炭素移行・再エネ推進交付金(重点対策加速化事業)」に徳島県内の市町村として初めて採択されるとともに、町民や町内事業者の皆さんにも身近に脱炭素化へ取り組んでいただけるよう、「北島町重点対策加速化事業補助金」を創設しました。この補助金は、町民や事業者の皆さんがLED照明や高効率給湯器などの省エネルギー設備や太陽光発電設備、電気自動車などを導入する際に活用できる制度で、一人ひとりが無理なく「できることから始める脱炭素」を実践できるよう支援しています。

また、こうした民間部門における取組だけでなく、公共部門においても積極的な取組を進めています。公用車では、令和4年に燃料電池自動車を1台、令和5年と令和7年には電気自動車1台ずつ導入いたしました。さらに、公共施設のLED化も順次進めており、北島町全体での省エネ化を推進しています。
さらに、令和7年には、複数の民間企業との連携協定を締結し、町内の公共施設での省エネ・再エネの取組によるJ-クレジットの創出を進めるとともに、地元企業が自らJ-クレジットを創出できる仕組みづくりにも取り組んでいます。これにより、町全体でゼロカーボンシティ宣言に込められた想いを共有し、地域経済にも循環的な効果を生み出すことをめざしています。
このような取組を通じて、北島町はこれからも「人と環境がともに生きるまち」をめざし、町民・企業・行政が力を合わせて、脱炭素社会の実現に向けた歩みを進めていきます。
北島町では、都市機能と住民満足度を可視化する分析ツール「SUGATAMI」を活用したまちづくりのデータ化・可視化も推進しています。
SUGATAMIは、経済・教育・環境・コミュニティなど18分野の客観的分析に基づく「都市機能スコア」と、住民アンケートから導出した「住民満足度」によって、まちの状態を可視化するツールです。従来のまちづくりでは、施策の評価が個人の感覚に左右されることが課題でした。SUGATAMIの導入により、客観的データと住民評価の両面から、より理論的で根拠のある施策立案が可能になりました。
調査結果の詳細分析から、「教育」「経済」「人口・こども・子育て」といった分野の都市機能スコアは良好である一方、住民満足度がそれに追いついていないというギャップが浮かび上がりました。この「差」を認識することで、町の施策をいかに住民に周知し、活用してもらうか、あるいは真の期待に応える機能をいかに補完するかという課題が明確化されました。限られた行政資源を効果的に配分するには、優先順位の見極めが不可欠であり、データ分析はそのための羅針盤となります。
また、令和6年度からは、住民が参加する「まちづくりワークショップ」も開催しています。対話を通じ、理想のまちの姿やボトムアップアプローチを検討したこの試みは、「まちづくりの自分ごと化」と、町の総合戦略が住民の共感を得ているかの確認という二つの目的を果たしました。異なる視点を持つ住民間の意見交換は、新たな気づきをもたらし、町への熱意と愛着を改めて認識させるものとなりました。
スマートシティとは、デジタルと最新技術を活かした都市のことですが、英語の「Smart」には「賢い」という意味も含まれます。多様な住民の意見や知識を集め、それを集合知として活かすことこそが、真の意味で賢いまちづくりです。北島町がめざすスマートシティは、単なるテクノロジー活用ではなく、住民の多様な声を「集合知」として活かす、人間中心のまちづくりです。Well-being(住民の幸せ)を高めることで、住み続けたいと思える地域社会を実現する。その未来へ向けた取組は今、確かな歩みを続けています。
北島町には、小さな面積からは想像できないほどの多様な魅力が凝縮されています。利便性を追求しながらも、歴史や自然を置き去りにせず、官民が一体となって「幸せ」の種をまき続けてきました。
吉野川の豊かな水と文化に育まれ、人や企業の活気が咲き誇る「ひょうたん島」。 北島町が歩んできた、人と環境が調和する「まちづくり」にこれからも取り組んでいきたいと考えています。
徳島県北島町総務課 まちみらい課