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茨城県美浦村/「競走馬の里」美浦村 ~観光資源を生かしたまちづくり~

印刷用ページを表示する 掲載日:2026年1月19日更新

美浦トレーニング・センターの調教風景

▲美浦トレーニング・センターの調教風景


茨城県美浦村

3346号(2026年1月19日)
美浦村総務課


美浦村の概要

霞ヶ浦に面する平坦な地形

 美浦村は茨城県南部に位置し、国内第2位の湖面面積を誇る霞ヶ浦に臨む、水と肥沃な土壌に恵まれた自然豊かな村です。村の総面積は66.61km²で、そのうち陸地面積は34.03km²であり、陸地と湖沼の面積がほぼ同じという特徴を有しています。

 本村には昭和53年に開場した日本中央競馬会(JRA)美浦トレーニング・センターがあり、滋賀県栗東市とともに「競走馬の里」としても知られております。開場した当時は多くの競走馬や関係者が本村へ移住し、大字名も「美駒」へ改められました。この施設は敷地面積約224万m²という東京ドーム約48個分の広大な敷地を有し、現在、場内約100の厩舎で約2,000頭の競走馬がトレーニングを行っています。

 霞ヶ浦沿岸に広がる水田では、美浦トレーニング・センターから出る馬の敷き藁堆肥を利用した米の栽培が盛んに行われています。化学肥料と農薬を極力減らして栽培された特別栽培米「美浦そだち」は、「茨城の誇るコシヒカリシリーズ」の一つにも選ばれた良質でおいしいお米です。同様に、馬の敷き藁堆肥を利用したマッシュルーム栽培も行われており、本村にプラントを持つ「芳源マッシュルーム株式会社」は、国内のマッシュルーム生産量の約4割を占めています。その他、国内最大級の養液栽培施設で栽培されるパプリカや、大型ハウス施設で栽培される高糖度トマト等、多様な農産物が生産されています。

 本村では農業とともに、各種製造業の工場が立地しており、産業も盛んです。アメリカに本社を置き、本村では昭和55年に操業を開始した半導体製造の外資系サプライヤ「日本テキサス・インスツルメンツ合同会社」や、本村に本社を置き、農業機械の分野で国内トップクラスの製造・販売を行う「スガノ農機株式会社」等が操業しています。

美浦小学校と美浦中学校

 本村の現在の人口は令和8年1月1日現在13,896人で、人口減少及び少子高齢化が課題となっています。本村は令和7年度で村制70周年を迎えましたが、この節目に、児童数の違いによる教育格差をなくすことを目的として、3校あった小学校を1校に統合した「美浦小学校」を開校しました。統合小学校は、同様に村内に1校ある美浦中学校の敷地内に建設され、統合により遠距離通学となった児童が安心して通学できるよう、現在、計11台のスクールバスが毎日運行しています。

美浦村の歴史的観光資源

陸平貝塚にある竪穴住居と「みほーす」

 美浦村の歴史的観光資源としては、まず「陸平(おかだいら)貝塚」があげられます。陸平貝塚は日本屈指の規模を誇る縄文時代の貝塚遺跡で、縄文時代早期(約7,000年前)から後期(約3,500年前)の大小8ヶ所の貝塚群が残されています。縄文人の生活の舞台であった谷などの自然地形が、ほぼ完全な形で残されており、明治12年に日本人の手による最初の発掘調査が行われた遺跡として、「日本考古学の原点」とも呼ばれています。平成10年には研究者や周辺地域の開発企業、そして地元住民によるさまざまな活動が実を結び全国を代表する貝塚遺跡として国の史跡指定を受け、その保存が図られました。現在でも地域の方々とともに確認調査が実施され、美浦村文化財センターを中心に「陸平貝塚公園」として整備されております。ちなみに、陸平貝塚は本村のマスコットキャラクターである「みほーす」のモチーフでもあり、地元の子ども達が土器や縄文服等、当時の文化を知るきっかけにもなっています。

大山湖畔公園の汽缶場跡

 また、本村の最東端となる霞ヶ浦湖岸には、旧大日本帝国海軍の鹿島海軍航空隊跡地があり、近年は「大山湖畔公園」として整備したことで、重要な観光拠点となりました。当初、この貴重な施設は敷地内外が荒れた廃墟となり存続が危惧されていましたが、歴史的文化遺産として後世に残すためのクラウドファンディングを実施し、目標金額を達成、必要な整備を進め令和5年から一般公開を行っています。

 敷地内には主に水上飛行機の搭乗員を養成する練習航空隊のための施設が残され、戦後には医療施設としても使用された本庁舎や、当時のボイラーが現存する汽缶場跡等は、現在、多くの映画やドラマ、ミュージックビデオなどの撮影ロケ地としても活用されています。実際に撮影で使用された美術品や小道具を展示したイベントを開催することもあり、全国から多くの人が集まるようになりました。近年では『ゴジラ-1・0(マイナスワン)』の撮影にも使用された自動車庫は、普段は「美浦村週末カフェ」として、キッチンカーの営業の場として活用され、霞ヶ浦周辺を楽しむサイクリスト達の憩いの場にもなっています。また、鹿島海軍航空隊の水上戦闘機の訓練場跡地は霞ヶ浦湖面に向かってなだらかな傾斜になっているため、現在は「大山スロープ」と呼ばれ、水上バイクやプレジャーボート、フィッシングを楽しむ愛好家の聖地として親しまれています。

観光大使による魅力発信

著者の大童澄瞳先生(左)観光大使委嘱状交付式 の様子

 本村の特色を生かした観光促進を行うため、全国でも珍しい取組として、実在しない架空の人物である浅草みどり氏を令和6年に美浦村観光大使に委嘱しました。浅草氏は漫画「映像研には手を出すな!」の登場キャラクターで、先ほど紹介した大山湖畔公園にて実写版映画及びドラマが撮影されたことをきっかけとした就任です。撮影後に本村で行われた「廃墟景観シンポジウム」では著者である大童澄瞳先生のトークショーも行われ、盛り上がりを見せました。

 令和7年には、「ウマ娘 プリティーダービー」でシンボリルドルフの声優を務める田所あずささんを美浦村観光大使に委嘱しました。大山湖畔公園のウォークスルーアトラクションで田所さんが登場人物の声を演じたことや、「ウマ娘 プリティーダービー」と本村のコラボイベントの期間中にグランドオープンした地域産品直売所「みほーすふぁーむ」のオープニングセレモニーにてゲストとして出演いただいたことをきっかけとした就任です。田所さんには、中山競馬場で行われている美浦村の名前を冠したレース「美浦ステークス」でのプレゼンターをはじめ、村内での式典やイベントの際の出演等、ご本人の芸能活動の中で本村のPR活動を行っていただいております。

美浦トレーニング・センターの協力により実現したイベント

UMAフェスタで行われたゆるキャラ達の「JC(縄 文カップ)」

 令和7年9月には、村全体で“馬”の魅力を楽しむイベントとして「美浦村UMAフェスタ」が開催されました。初開催のイベントながら、美浦トレーニング・センター所属の現役の騎手や調教師によるトークショーも行われ、普段見ることのできないトレーニング・センター内の見学ツアー等もあり、全国各地から延べ7,000名の来場がありました。企画者は元地域おこし協力隊の南川麻綾さんです。競馬番組のリポーターも行ったことのある南川さんが、3年勤めた地域おこし協力隊の卒業企画として考え、トレセンと村が一体となり実現したイベントでした。

 当日は、「競走馬の里」をモチーフに、現役のプロアナウンサーの実況のもと行われた近隣市町村のゆるキャラ達によるレース「JC(縄文カップ)」や、ポニーショー、ジョッキーに教わる乗馬練習用木馬体験等、家族連れや地元住民も楽しめる企画もあり、村内各所で盛り上がりました。

美浦村独自の取組

左:地域産品直売所の競馬関連グッズコーナー 右:みほーすふぁーむの名物スイ ーツ「蹄鉄やき」

 競馬ファンからは「美浦村=トレセンのある競走馬の里」と認知されている本村ですが、一般的な知名度はまだまだ低く、そのため、美浦村を知ってもらうためにも“馬”を中心とした魅力の発信に日々努めています。本村独自の取組として、令和6年には地域産品直売所「みほーすふぁーむ」にて特定の競走馬を特集したコーナーを設置したこともありました。特集したのは「ライスシャワー号」と「マンハッタンカフェ号」で、それぞれ期間限定ながら多くのファンの集客がありました。菊花賞や有馬記念で実際に使用された調教ゼッケンや優勝レイ等、関係者の方々の協力により実現した貴重な展示が行われました。また、地域おこし協力隊の発案で令和7年に販売を開始した「蹄鉄やき」は、その名のとおり馬の蹄鉄の形をしたさまざまな味の焼き菓子で、今ではみほーすふぁーむの定番のお土産として大人気です。競走馬が実際に使用した蹄鉄が一番の人気商品として並んでいることもあり、セットで購入するお客さんも多いです。店内各所にはレースで活躍する美浦所属騎手の等身大パネルが設置されている点も、本村の直売所独特の光景と言えるでしょう。騎手の顔や名前を覚えるのに一役買っているこのパネルは、ファンだけでなく村民からも好評です。

「MihoVision」によるG 1優勝の情報発信

 みほーすふぁーむ近くの道路沿いには「MihoVision」という情報発信用の大型電光掲示板を設置しています。このMihoVisionでは日常生活における災害予防や、村主催のイベントの周知等が主に行われますが、こちらでも独自の取組として、美浦トレーニング・センターに所属する競走馬がG1レースで優勝した際、勝馬のゴール写真とともにその勝利を祝う情報発信を行っています。これはもともと役場前の跨道橋に横断幕を掲げお祝いしていたもので、電光掲示板設置に伴い発信方法が変わりました。競馬をする、しないにかかわらず、競走馬の情報が当たり前に日常に溶け込んでいるのは本村ならではの風景となっています。

おわりに

 ここまで紹介したように、本村は独自の特色を生かしたまちづくりに力を入れており、特に近年では美浦トレーニング・センターとの協力体制を中心として取り組んでいます。例えば、令和7年に「美浦村体感 トレセン調教見学付き村内ツアーと特産品」を新たなふるさと納税の返礼品としました。これまでもトレセンに関わる返礼品は人気がありましたが、こちらは実際の調教風景を見学できるとして、出品して4日間ですべての枠が完売となりました。トレセンの魅力で集客し、そこから村内の他の施設にも興味を持ってもらう良いきっかけとなると注目しています。

 美浦村の歴史的な魅力と、「競走馬の里」としての魅力、二つの側面を生かしながら、今後も独創的で意欲的なまちづくりに努めていきたいと思います。
 

美浦村総務課