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奈良県三郷町/こどもも保護者も笑顔になる「すこやか未来都市さんごう」

印刷用ページを表示する 掲載日:2025年3月17日更新

三郷町上空写真

▲三郷町上空写真


奈良県三郷町

3313号(2025年3月17日)
奈良県三郷町 企画財政課


  1. 三郷町の概要
  2. ワンセブンプロジェクト
  3. コスメバンクプロジェクト
  4. 奈良おもちゃ美術館
  5. すこやか未来都市さんごう

1.三郷町の概要

日本遺産に認定された龍田古道

 三郷町は奈良県北西部に位置し、大阪市内まで30分余りで行くことができる交通の便の良さから、大阪のベッドタウンとして発展してきました。東西に5.6km、南北に3.5km、面積は8.79km²とコンパクトなまちで、人口は約22,300人(令和6年9月1日時点)。西の山地一帯は金剛生駒紀泉国定公園に指定され、信貴山を中心とした美しい自然環境が多くの来訪者を楽しませています。南には万葉の昔から「竜田川」として歌に詠まれた大和川が流れ、古くから風の神様を祀る龍田大社など古都ならではの貴重な文化財を持つ社寺も数多くあり、自然と歴史とともに暮らせる町です。
 当町には、かつてより河内と大和を結び、奈良時代には平城京と難波宮を結ぶ道として天皇や貴族も行き交った「龍田古道」が通ります。古くは聖徳太子が斑鳩に宮を置いた推古天皇の時代から整備を進め、平城京に都が置かれた後は、都と大阪、そして大陸とを結ぶ最もアクセスの良いルートとして、輿や馬に乗ったまま越えられる唯一の道として交通や経済を支えました。

亀の瀬トンネル

令和2年には隣接する大阪府柏原市の「亀の瀬」とともに日本遺産の認定を受けることができ、改めて歴史的価値を認めていただけたと感じています。龍田古道の心臓部である「亀の瀬」は約4万年前から地すべりが頻発する難所であり、人々は60年近くの歳月と850億円以上もの費用、そして最新の土木技術を投じ、この用地を守ってきました。昭和初期の地すべりで埋もれていた鉄道跡「亀の瀬トンネル」は現在一般公開され、インフラツーリズムとしても注目されています。

2. 17(ワンセブン)プロジェクト

左:リユースボックス  右:給水スタンド

 テレビや雑誌、SNSで取り上げられ、身近な言葉になってきた「SDGs(持続可能な開発目標)」。世界中の人々が健康で豊かに長生きできるように、世界を変える17の目標を定めたもので、世界中のすべての人々が地球環境の危機感を認識し、2030年にはこうなっていたいという明確な目標を共有し、今すべきことを一人ひとりが考え行動することが求められています。三郷町はSDGs達成に向けて優れた取組を提案する自治体として令和元年に「SDGs未来都市」に選定されました。また日本遺産を有する歴史あるまちとして、「SDGs」と「日本遺産」のそれぞれの特色を最大限に活かし、町の魅力をさらに発信したいと考え、「17(ワンセブン)プロジェクト」を立ち上げました。17(ワンセブン)とはSDGsの17の目標と龍田古道を整備したといわれる聖徳太子の十七条の憲法に共通する「17」という数字が使用されているところから命名し、若手職員が柔軟な考えや意見を出し、発案を行う、部署の垣根を越えたプロジェクトです。SDGsと日本遺産を軸としてさまざまな取組を発案・企画・事業化しており、宅配の再配達削減によるCO2抑制を目的とした置配バッグ(OKIPPA)のモニター募集や、ペットボトルの排出量削減を目的とし、給水スタンドを設置した「みんなで持ち歩こう!マイボトル普及事業」、SDGsに取り組んでいることを町内外に発信するため、役場庁舎の壁面に公募したデザインをこどもたちと描いた「ウォールアート事業」など多岐にわたる事業を進めてきました。また、住民の皆さまが不要となった生活雑貨(=リユース品)を町が必要とされる方にお渡しする「生活雑貨リユース事業」では、株式会社ジモティーとリユース活動の促進に向けた連携協力に関する協定を締結。住民の皆さまが主導となってSDGsや環境問題に取り組める施策として、庁舎入り口すぐにリユース品を入れていただくリユースボックスを設置することで、誰でも気軽に参加いただけるようにしています。​

庁舎壁面に描かれたカラフルなウォールアート

3.コスメバンクプロジェクト

コスメバンクプロジェクトの実施を企画したワンセブ ンプロジェクトのメンバー

 令和6年度、17プロジェクトメンバーの13名が新規事業提案を行う中で注目したのが毎年5千億円にも上る化粧品の製品余剰でした。消費者のニーズが多様化することに伴い、店頭から未開封の状態で返品される化粧品は、品質には問題がないものの、再販することが難しい商品や製品余剰等で行き先が決まらず、大半が廃棄されている現状です。また口紅等の化粧品には微細なプラスチックが含まれており、廃棄の際にはCO2が排出されます。廃棄によるCO2の削減と限られた資源の有効活用はSDGsの目標達成という観点から大きな課題であると考えていました。

 しかしその一方で、経済的理由等のさまざまな事情で化粧品を手にできない方がいます。17プロジェクトメンバーが担当業務の窓口対応を行う中で、ひとり親世帯が経済的・社会的に不安定な生活になることが多いという現状を当事者から聞いていました。そして三郷町としても、経済的に厳しい世帯への生活・精神面での支援の充実が求められているところでした。

 そこでメンバーが新規事業として企画提案をしたのが「コスメバンクプロジェクト~全ての人々にスマイルを~」です。この事業は行き先の決まっていない多くの化粧品を、賛同するメーカーから引き受ける一般社団法人バンクフォースマイルズが実施する事業で、経済的・社会的に不安定な生活になりやすいひとり親世帯を対象としています。貧困になると親だけでなく、こどもたちの生活習慣や自己肯定感等にもさまざまな影響を及ぼすとされており、そのような子育て世帯に対し、行き先の決まっていない多くの化粧品を詰め合わせた「ギフト」を無償配布することで、ウェルビーイングの実現や生活の質(QOL)向上につなげるというものです。化粧品は人の心を豊かにし、表情や行動までも変えられるポジティブな力を持っています。またスキンケア製品は肌の健康を守り、自分への自信につながることで心の健康にもつながり、女性だけでなく男性にとっても必需品となっています。しかし、貧困世帯では生活費や学費への支出を優先し、化粧品やスキンケア製品まで手が回らない方も多くおられます。今回、三郷町では同法人と自治体としては全国で初めて連携協定を締結し、ひとり親世帯に化粧品やスキンケア製品の詰め合わせギフトの無償配布を始めました。町内でギフトの配布対象となるひとり親世帯は約170世帯あり、児童扶養手当の受給に必要な現況届の提出のために来庁される時にギフトの配布を行った結果、9割を超える対象世帯へとギフトをお渡しできました。

実際に対象世帯に配布したギフト

 ギフトは母子家庭世帯へは化粧品を中心に、父子家庭世帯へは口腔内を清潔に保つためのオーラルケアやスキンケア製品等を選定し、入浴剤やハンドクリーム、アルコール消毒液等、親だけでなく、こどもと一緒に使用することを想定した内容となっています。配布後、余ったセットは新たに児童扶養手当受給申請する方やこども食堂での配布も予定しています。“たかが化粧品、されど化粧品”「自分にごほうび」と思ってもらえるようなギフトで精神的なケアにもなり、また精神的に余裕ができることで、こどもたちとのかかわりも、より良いものにつながることを期待しています。

4.奈良おもちゃ美術館

開館予定の「奈良おもちゃ美術館」

 奈良学園大学から無償譲渡された跡地を活用し、開所したFSS35キャンパス内に、こどもたちだけでなく、大人も楽しめる施設として「奈良おもちゃ美術館」が令和7年3月20日にグランドオープンを迎えます。国内外から集めた木のおもちゃを通して木育や木の文化を伝え、年代、国籍、障がいの有無を問わずに誰もが楽しめる体験型ミュージアムです。奈良おもちゃ美術館は全国で13館目のおもちゃ美術館となり、関西では初の開館です。また、障がいのある方も働くことができる「就労支援施設」の一面もある、全国初のおもちゃ美術館となります。館内では国内外の木のおもちゃ約300種類・約5,000点で遊ぶことができ、平城京の街並みをイメージした「おもちゃの平城京」や大和野菜の収穫あそび等、奈良県の文化的特徴・歴史的な魅力がたくさんつまっています。また、奈良県産の木材を使ったものづくりのワークショップ等も開催予定で、三郷町、ひいては奈良県の魅力を発信する新たなスポットとして期待しています。

5.すこやか未来都市さんごう

 三郷町では、町民の皆さまが心穏やかで健康に過ごせる、住み続けたくなるまち「すこやか未来都市さんごう」をめざし、「こどもが健やかに育つ子育て環境」「全員活躍の強健な経済」「心穏やかで健康に過ごせるつながり」「透明で健全な町政運営」の4本柱をもとに、さまざまな施策に取り組んでいます。

 特に子育て支援に関しては住民の皆さま、その保護者も笑顔でいられるような子育て環境をつくることが重要だと考えています。そのような環境づくりのために、仕事と子育ての両立を支援しつつ、子育てや教育にまつわる不安・負担を減らし、こどもを望む方が「最初の一人」「もう一人」を躊躇することなく、どんな状況でも三郷町でなら希望を持って子育てができると実感していただけるよう、全方位的な支援に取り組んでいます。前述のコスメバンクプロジェクトの実施や奈良おもちゃ美術館の開設も、こどもがすこやかに育ち、こどももその保護者も笑顔でいられるような環境づくりの一助になると考えて、これからも取り組んでいきたいと考えています。

 取り組むべき施策はいろいろとありますが、三郷町に住んでよかったと言っていただけるよう、また性別・年齢・障がいの有無にかかわらず、すべての住民の方が生涯活躍できる「すこやかで健康なまち」の実現に向けて、町一丸となって取り組んでいきます。


奈良県三郷町 企画財政課