▲日本一の大水車
直径24.2m、埼玉県立川の博物館にある日本一の大水車。日本一の川幅を有し、河川面積の割合は
第2位の埼玉県、名水百選に選 ばれた「日本水(やまとみず)」のまち寄居にふさわしい水と緑のシンボル。
埼玉県寄居町
3305号(2024年12月23日)
埼玉県寄居町長
峯岸 克明
「昭和の時代は良かった。かつてはにぎわっていた。市街地には商店が所狭しと立ち並び、夕方は買い物客でいっぱいだった。お祭りともなれば、これに加えて露店が多数出店し、立錐の余地もないほどの人出だった。各商店がみな繁盛し、景気が良かった。それが今では見る影もない……。」
我が町だけでなく、日本全国どこの地方都市でも聞かれる声ではないでしょうか。
「中心市街地活性化事業」において一番変えたかったもの。それは「かつては良かった。これからは寂れる一方だ」というマイナスのマインド。そして「誰かがやってくれるだろう。いつか救世主が現れる」というひとまかせの意識。
では、生み出したかったものは何か。それはズバリ、「やればできる。伸びしろたっぷり、可能性無限大」という町の雰囲気。そして町内外から多くのチャレンジャーが現れること。さらには、それが形になることで町民の意識が変わっていくこと。
議論だけでは変わりません。実際に目で見える形になってこそ、変化・可能性を実感できます。そのために、町の中心部を目に見える形に変えていくための手法。それが「中心市街地活性化事業(中活事業)」でした。
寄居町では平成30年に内閣総理大臣の認定を受け、中心市街地活性化事業をスタートさせました。5年間で寄居駅前から荒川までのハード・ソフト整備を行うことにより、町の活力を取り戻すための事業です。
当時、全国926町村では初めての挑戦であり、大きな市ならともかく、町村レベルでは難しいといわれておりました。総事業費35億円という一大事業でしたが、5年間で完成させるとともに、対象地内における居住者数、転入者数、また通行量も目標値を超え増加しております。
中心市街地活性化事業を進めていくうえで、自治体以外にも多くのプレーヤーが登場しました。㈱まちづくり寄居、寄居町商工会、タウンマネージャー、地域おこし協力隊、若者会議などなど。また、国、埼玉県からも多くの支援をいただくなかで、町は目に見える変化を遂げています。中心市街地活性化事業の期間は5年間でありましたが、その後もこの事業に携わった方々による起業、ソフト事業など多くのチャレンジにつながっています。町としてもチャレンジ予算を組み、挑戦者に対する積極的支援を行っております。
まちをつくり変えることによる意識改革が一歩一歩進んでいることはうれしい限りです。
この歴史ある寄居町には伝統の祭りが数多く残っており、町民や多くの観光客で賑わいます。関東一の水祭りと称される「寄居玉淀水天宮祭」や、戦国時代の北条軍と豊臣軍による合戦を再現した「寄居北條まつり」は、中心市街地に位置する玉淀河原で行われています。また、勇壮な神輿が迫力のある「寄居夏まつり」、文化的価値の高い山車が出揃う「寄居秋まつり」に加え、「産業文化祭」・「ふるさとの祭典市」等の商工祭も、中心市街地エリアで開催されています。
いずれの祭りも中心市街地活性化事業で整備された寄居駅南口中央通り線、寄居駅南口駅前拠点Yotteco(ヨッテコ)・YORIBA(ヨリバ)、雀宮公園等を活用しており、歴史ある祭りと中心市街地活性化事業により整備したハード施設が融合し、これまでと違う賑わいを見せています。
寄居町においては企業進出も好調です。本田技研工業(株)埼玉製作所完成車工場、彩の国資源循環工場内13社、寄居桜沢産業団地内4社、直近では赤城乳業㈱による立地表明など、新たなチャレンジの場として寄居町が選ばれています。
また、近年のキャンプ人気を背景に「かわせみ河原」が秋、冬含めたオールシーズンにぎわっています。
寄居町は、経済の好循環による富を新たなる投資に向け、さらなる成長発展につなげていくこと、そして、新しい挑戦者を呼び込める町をめざしてまいります。
令和7年は昭和30年の町村合併以来70周年の年となります。「可能性∞(むげんだい) 笑顔満タン 寄居町」は、いよいよ次のステージへ!
埼玉県寄居町長
峯岸 克明