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北海道共和町/「魅力あふれる大地と笑顔あふれるひとびとがともに創生するまち」を目指して

印刷用ページを表示する 掲載日:2023年6月26日

 

 

日本海から望む共和町

▲日本海から望む共和町。豊かな大地と気候風土に恵まれ、道内屈指の米どころとして知られる


北海道共和町

3244号(2023年6月26日)
北海道共和町 総務課


ポイント


  • 国の「高度無線環境整備推進事業補助金」を活用した事業により、光ファイバーの未普及地域が解消。昨年「共和町DX推進本部会議」を設立し、同会議で検討しながら自治体DXを進める。
  • 教育、子育て、産業分野でデジタル施策を実施中。今後は部署横断的な連携も視野に入れている。
  • デジタル技術の活用はあくまでも課題を解決するための1つの手段や方法であり、町の財政規模や費用対効果なども見極めながら取り組むことが重要。

1.共和町の概要

共和町は、北海道の道央圏である後志管内のほぼ中央に位置する町です。豊かな大地と恵まれた気候風土を活かして、農業を基幹産業とする道内屈指の米どころであるほか、らいでんスイカ・メロン等の産地として知られています。

また、仙人が住むようだと言われる神秘的な美しさの「神仙沼」があり、この一帯のニセコ・神仙沼自然休養林は、林野庁の「日本美しの森、お薦め国有林」にも指定され多くの観光客が訪れています。

神仙沼
▲ニセコ連峰中央、標高750mにある神仙沼は神秘的な美しさ

本町は3村が合併した町で、行政面積は304.92km²と比較的大きく、集落が分散していることから、これまで民間事業者による町内の光ファイバー網の整備は一部地域に限られ、未普及地域の解消が課題となっていました。

しかしながら、今後のまちづくりを進めていくうえでは、町内全域での情報通信基盤の整備は必須であるという考えから、町として国の「高度無線環境整備推進事業補助金」を活用した事業を推進し、令和4年3月、事業完了により未普及地域が解消されました。これに関連してまちのデジタル技術を活用した取組をいくつかご紹介します。

2.学校におけるICTの活用(担当:教育委員会)

背景・経過
近年の学校におけるICT活用については、国の「教育のICT化に向けた環境整備5ヵ年計画(2018~2022年度)」に配慮しつつ、町の総合計画に基づき、教育環境の整備・充実に向け計画的に取り組んできました。

本町には小学校3校と中学校1校があり、ICT教育環境の整備については、パソコン教室を拠点に必要なパソコンの台数を3クラスに1クラス分程度を配備することを目標とし、電子黒板や無線LANなどの関連機器も含め整備を進めていました。その後は、国のGIGAスクール構想に基づいて、ICT教育環境の充実を図るべく、より有効活用に適したタブレット端末の導入を進めていた中、令和2年2月に新型コロナウイルス感染症が北海道内で急拡大し、道内小中学校の一斉休校が決定され、学校現場では感染症から子どもたちの命と健康を守ると同時に、日常の学習を保障するという大きな課題に直面することになりました。

国では、こうした現状に対応するため、児童生徒に対して1人1台端末(以下:GIGAタブレット)を全国一斉に配備することを決定し、本町においてもタイトなスケジュールの中でタブレット端末の調達、コンピュータソフトの選定、さらに各学校と家庭における通信環境の整備等、地域や家庭、学校が緊密な連携を図りながら、遠隔学習の円滑な実施に向け体制を整備してきました。

▲ GIGAタブレットを使用した授業の様子
▲GIGAタブレット

若手教職員が情報交流や校内研修を主導
▲タブレットを使用した授業の様子。整備に向けては若手教職員が情報交流や校内研修を主導した。

取組とその効果

これまでの取組としては、まず各学校で遠隔学習の必要性を話し合い、有効活用や効果の検証など、教職員が主体的にICT活用に向け検討し、毎月開催される校長会や教頭会を通じて情報共有を図りながら、ICT教育環境の整備に向けた協議を行ってきました。学校全体としては小中連携や授業改善と一体的にICT活用を協議するほか、ICTに精通した若手教職員で構成する「GIGAスクールプロジェクト」を設置するなど、情報交流や校内研修にも取り組んできました。

また、教育委員会においては、北海道立教育研究所の支援を受けICT活用に係る研修会を開催したほか、GIGAスクールサポーターによる操作指導や相談の受付、研修会等、教職員内で積極的な利活用が図られるよう配慮してきました。

こうした取組もあって、学校や教職員間でICT活用の頻度に若干の差はあるものの、熱意をもって子どもたちへの指導が行われたことにより、現在の授業では、電子黒板にデジタル教科書や教材が映し出され、子どもたちがGIGAタブレットを操作する姿が日常的な光景へと変わってきています。特に体育授業を見ましても、GIGAタブレットによる模範演技を確認してからの試技や、児童生徒相互に実技を動画撮影し電子黒板に投影、振り返り再生機能を使って自身の体の動かし方を確認して実技改善を図るなど、イメージするだけではなく他者からのアドバイスを受けながら児童生徒が主体的に学ぶようになっています。

このほかにも、長期欠席中の児童生徒に対しては継続的に授業を遠隔配信し、学習を補完することや日常会話からのはげましを通じて登校再開が円滑に行われるよう、学校全体で温かな雰囲気が醸成されてきています。

今後につきましても、子どもたちが実社会に羽ばたいていくうえで、ICT活用能力の育成が重要であることから、学校、地域、教育委員会が一体となって他の自治体の先進事例も参考としつつ、本町の教育施策を進めていきます。

3.子育てアプリ「きょうわ♡にこっと」(担当:保健福祉課)

背景

本アプリを導入(令和2年12月利用開始)したきっかけは、乳児期の予防接種の種類が増え「予防接種の時期や接種間隔がわかりづらく管理が大変!」という声が以前から多くあったことや平成30年9月に発生した北海道胆振東部地震によるブラックアウトや断水が起きたときに、特に育児中の家庭に素早く情報を届ける手段の必要性を感じたことです。また、その後の新型コロナウイルス感染症では、各種健診や相談等の母子保健事業の実施について急な変更や中止も多くあることから、これらの連絡やそのほか育児情報の発信にも活用しています。

母子手帳アプリ「きょうわ・にこっと」
▲母子手帳アプリ「きょうわ♡にこっと」画面

きょうわにこっと説明の様子
▲町民に「きょうわ♡にこっと」を説明して活用を促す

取組とその効果

導入にあたっては、多くの方にアプリを利用してもらえるよう、当課健康推進係の母子保健事業の中での周知や子育て支援センターの利用者にチラシを配布し周知を行いました。

アプリの名称については、お母さん、お父さん、お子さんが「共和町でたくさんの笑顔ですごしてもらえたらいいな」との思いから、身近に感じてもらえる名称として「きょうわ♡にこっと」の名称にしました。

現在までのこのアプリの利用者数(累計ユーザー数)は115名ですが(令和4年11月末現在)、子育て支援アプリを導入している市町村からの転入者からは「転入先の郵便番号の登録でその市町村の情報が取得できるので使いやすい」との声や、また予防接種のスケジュール管理についても「お知らせ機能があり、受け忘れを予防できた」とか「子どもの発育状況がグラフ化されるのでわかりやすい」などの声が届いています。

現在は、母子保健事業や感染症の情報発信をメインに活用していますが、今後の展開や予定については、健康推進係だけではなく役場の子育て関係部署が連携し、子育てに関する情報発信や相談などの予約機能の充実、動画等の活用を検討しながら、よりいっそう有効活用を進めていきます。

育児学級の様子
▲妊娠中の夫婦・家族が参加する育児学級

4.デジタルスタンプラリー(担当:産業課)

背景

デジタルスタンプラリーについては、町の補助金を受け共和町観光協会が実施したものです。当時、他の自治体でも行われており目新しいものではありませんでしたが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、町内の人の動きが滞り、飲食店や小売店の売り上げも減少していたことから、まちなかへの誘客による賑わいの創出や消費喚起を目的に非接触型のイベントとして実施しました。

デジタルスタンプラリーカード
デジタルスタンプは町内店舗や飲食店の利用で獲得できる

取組とその効果

内容としましては、スマートフォンに専用アプリをダウンロードし、対象施設で300円以上の買い物や飲食した場合に、各店舗に配置したカードをスマートフォンで読み込むことができるというもので、所定の数(A、B、Cの3つ)全てのカードを読み込ませるとイベントに応募することができ、応募者の中から抽選で町の特産品をプレゼントするというものです。また、完走賞も設け応募した方全員に“町内商店等で使用できる商品券500円分”または“西村計雄記念美術館入館チケット”を配付して、町内施設等の利用も促進するというものでした。

実際に実施していく中では、色々な課題や苦慮した点もありました。新型コロナウイルス感染症がなかなか収束せず、繰り返し緊急事態宣言の発令があったことや感染者数が高止まりした期間が大半であったことから、参加者が予想を下回りました(延べ参加者414名、応募者121名)。加えて、カードを配置した町の主要観光スポットでは、通信回線が不安定な箇所もあるなど課題も残りました。

一方で、本町ではこれまで紙ベースのスタンプラリーしか実施していなかったことから、若年層の参加が少ない状況でしたが、スマートフォンを活用したことで若い方からは好評であったり、WEB広告も活用したことで遠方に住む方の参加も増えたといった成果もあったと考えています。

このデジタルスタンプラリーは、コロナ禍の単年度事業として実施しましたが、高齢者の方や機械操作が苦手な方でも簡単に参加できるような配慮が必要であったことと、費用対効果の面を考えると当初の想定には届きませんでしたが、今後は参加者の年代も配慮しつつ、町内を回遊するしくみづくりの1つとして活用できないか引き続き検討していきます。

共和町観光協会味覚祭りに並ぶ観光客
観光客で賑わう共和町観光協会主催の味覚まつり

5.今後について

最後に、本町の今後の自治体DXに関する取組ですが、基本的には国の「自治体DX推進計画」を基本としながら、昨年立ち上げた「共和町DX推進本部会議」の中で協議しながら進めていくこととしています。

ご紹介しました以外にも農業委員活動へのタブレット導入や令和5年2月から住民票等証明書のコンビニ交付も行っておりますが、デジタル技術の活用はあくまでも課題を解決するための1つの手段や方法であることから、情報システムの標準化・共通化など取組が必須なもの以外については、費用をかけてデジタル技術を活用した方がよいか、あるいは従来のままがよいか等、町の財政規模や費用対効果も見極めながら取り組むことが重要です。その中で基幹産業である農業分野への活用や多様化する住民サービスへの対応、さらには役場内部の業務効率化に関するものについては、積極的に取組を検討していきたいと考えています。

北海道共和町 総務課

共和町PRキャラクター共くん和ちゃん
共和町PRキャラクター共くん和ちゃん