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青森県五戸町/大空へ夢をはこぶ坂道

印刷用ページを表示する 掲載日:2022年8月29日

日本初の国産旅客機YS-11​

▲日本初の国産旅客機YS-11​​​


青森県五戸町

3211号(2022年8月29日) 五戸町長 若宮 佳一


1.五戸町の概要


五戸町は、青森県南東部に位置し八戸市や十和田市と隣接する町です。平成16年7月に倉石村を編入。平成の合併青森県内市町村第一号となりました。

戸のつく地名を順に示しますと、岩手県北(一戸町、二戸市)から青森県南部(三戸町、五戸町、六戸町、七戸町、八戸市)を通り再び岩手県(九戸村)へ戻りますが、四戸はありません。

五戸町の人口は、16、042人、世帯数は6、059世帯(令和2年国勢調査)、面積は177・67㎢で国道4号(旧奥州街道)が南北を縦断し、八戸市と十和田湖を結ぶ国道454号が東西に横断しています。江戸時代に整備された奥州街道が通っていたため、古くは宿場町として栄え、盛岡南部氏の所領で五戸代官所が存在しました。

山間に位置し、平らな道は少なく坂が多いのが特徴です。豪雪地帯までとはいきませんが、冬は雪も降り寒いです。夏には冷たいヤマセ(※)が吹くこともあり、ときには農作物に影響をおよぼすこともありますが、気温の寒暖差が少なく、涼しい夏を迎えられます。

※ヤマセ 東北地方太平洋側で春から夏に吹く冷たく湿った東よりの風のこと。

主要産業は農畜産業で、米のほか長いも、にんにく、りんご、桜肉(馬肉)、あおもり倉石牛(倉石地区で生産される青森県を代表する高級和牛)や青森シャモロック(鶏肉)も有名なまちです。

現在取り組んでいる内容についてご紹介します。

2.木村秀政ゆかりのまち


本町の名誉町民、元日本大学名誉教授の木村秀政氏は、飛行機と共に生き、日本初の国産旅客機YS-11生みの親として知られています。

木村秀政ホールは氏の生い立ちから航空界での功績を知ることができる「木村秀政物語」や模型展示コーナー等、大空への夢が高まるような構成となっています。

この木村秀政ホール周辺施設には、芝生の敷地内に図書館や噴水広場、寛永から明治初期まで地方一帯を統括していた「五戸代官所」があり当時の姿が復元されています。慶長8年、木村秀政氏の先祖である木村家は藩吏として幕府から任命され、後に代官の職に就き、以後数代にわたり木村氏が世襲で務めておられました。

この木村秀政ホールが整備されてから25年経過しており、施設のリノベーションを計画しています。住民を主体に地区内外からの来訪者も含め、子育て世代を中心として住民が集まり、まちづくり活動ができる地域活性化の拠点となるような人々が集う空間の創出を図る目的で木村秀政ホール改修を予定しています。

復元された「五戸代官所」​ ​

復元された「五戸代官所」​

3.旧南部鉄道奇跡の1台55年ぶりの里帰り


本町にはかつて八戸市と五戸町を結ぶ全長12・3㎞の旧南部鉄道が存在していました。

昭和43(1968)年5月に発生した十勝沖地震により全線に壊滅的な被害を受け、復旧しないまま廃線となりました。使用されていたすべての車両も廃線後、間もなく解体されました。しかし、地震が起きる1年前の昭和42(1967)年、「DC351」だけが京都府内の会社へ譲渡され加悦鉄道にて生き残ることができたのです。

引退後は加悦SL広場にて保存されておりましたが、同広場が閉園することになり五戸町が無償譲渡に名乗りを上げました。この移送費用捻出のため、クラウドファンディングを実施し、その結果、全国の鉄道ファンや支援者からの温かい善意により無事にDC351の里帰りが実現しました。閉校した旧豊間内小学校校舎を活用した「ごのへ郷土館」にて保存しています。

かつて五戸町に鉄道が存在していたという歴史の証人、また自然災害の恐ろしさを学ぶ機会、そして災害を免れた幸運を地域住民にもたらしてほしいという願いを込めて後世に伝えていくことが大事であると考えています。

55年ぶりの里帰りを果たした「DC351」 ​

55年ぶりの里帰りを果たした「DC351」

4.少子化に伴う小学校閉校校舎の活用事例


本町では、小学校統廃合により廃校となった校舎等を有効に活用し地域の振興発展を図るため「五戸町廃校校舎等利活用事業」を実施し、現在、3校舎が利活用されています。

1校目は旧豊間内小学校で、閉校が決まると地元から町営歴史資料館として整備してほしいとの要望があり、五戸町の歴史・民俗・産業・文化を振り返る資料館として平成30年「ごのへ郷土館」をオープンしました。今年4月に旧南部鉄道の奇跡の1台、DC351が55年ぶりに里帰りし展示されています。

2校目は旧南小学校で、人工光利用型植物工場としてレタスやベビーリーフの栽培室、育苗室等として施設を活用しています

3校目は旧又重小学校で、令和3年12月に利活用事業者を募集し、現時点ではまだ稼働していませんが、レタス等野菜の栽培や酪農組合と連携した食品製造工場及び少量で高栄養な介護食の開発のための食品研究所等として利用する予定となっています。

5.手話によるまちづくり


本町出身のアスリート、佐々木琢磨選手(28)をご存じでしょうか?佐々木選手は、令和3年8月にポーランドで行われた世界デフ(聴覚障害)陸上競技選手権の男子100mにおいて銀メダルを獲得し、今年5月にブラジルで開催された聴覚障害者の国際総合スポーツ大会「デフリンピック」において、同種目で見事、金メダルを獲得する快挙を成し遂げています。

障害の有無にかかわらず主要な国際大会の同種目で日本人が金メダルを獲得するのは初めてで、町民に大きな希望を与え続けています。

すべての町民が心豊かに暮らすことのできる地域社会の実現を目指した「五戸町手話言語条例」を制定し、本年4月1日から施行しています。

今後、地元の手話サークルの協力を得ながら、幼稚園、保育園、小学校での手話出前講座の実施や、手話普及番組「手話さんぽ」の町ケーブルテレビでの放映、手話体験講座の開催等を通じて、町民一人ひとりが自分の名前やあいさつを手話で表現できるよう、佐々木選手の活躍を励みにしつつ、事業に取り組んでいきます。

当町出身のアスリート、佐々木琢磨選手(提供 一般社団法人日本デフ陸上競技協会)​

▲当町出身のアスリート、佐々木琢磨選手(提供 一般社団法人日本デフ陸上競技協会)​​​

佐々木琢磨選手 勝手に応援隊一同の皆さま​​

▲佐々木琢磨選手 勝手に応援隊一同の皆さま​​​

6.あいさつ日本一のまちづくりへ


少子化等に伴う急激な人口減少が進む中、未来へつなぐ教育のまち「五戸」を主要施策に掲げ、「五戸町さわやかほほえみあいさつ運動」を展開しています。

まずは、標語を募集・決定し、小中学生に対しての校門前での呼びかけに始まり、各種団体のイベントに参加するなどして、地域社会への啓発活動を進めています。気持ちのよいあいさつは、子どもの健全育成はもちろんのこと、住民間のコミュニケーションを推進し、災害時等には住民の自主的な安全確保が期待でき、地域の防災・減災につながります。

今後の地域社会のつながり確保へ向け、当運動は始まったばかりですが、子どもたちや職域を通し、町民憲章に掲げる「人情あつく温かい五戸町」をつくり続けています。

7.健康診断受診率伸び率日本一へ


本町は、県内で特定健診受診率が平成24年度17・5%、平成25年度20・4%で、青森県内40市町村中、2年連続40位で最下位となりました。

昨年度(令和2年度)においては県平均33・8%に対して、町30・8%となり県下31位となりました。

そこで、伸び率に着目し、伸び率日本一を目指して取り組んでいます。

具体的には、①受診勧奨②受診機会の拡大・多様化③地区組織・医療機関・各種団体への働きかけ④継続受診の働きかけ⑤受診すると町内の加盟店で使用可能となる「うまっこカード」へのポイント付与を行っています。

AIを活用したデータ分析結果に基づき、ナッジ(※)理論を活用し、効果的・効率的な勧奨を行いつつ、国保連とも連携し、データに基づいた助言等をいただきながら、伸び率日本一を目指していきます。

※ナッジ (行動経済学上)対象者に選択の余地を残しながらも、より良い方向に誘導する手法。

8.コンパクトシティ構想


少子高齢化社会に対応したまちづくくりの推進等に中心商店街の再開発や空き店舗、空き家対策等生活圏を一定の範囲内に集中させる「コンパクトシティ構想」があります。

この実現に向けて、昨年度国土交通省「立地適正化計画策定支援」の事業採択を受け、今年度中の計画策定としています。

本計画の策定を円滑に進めるため、有識者、商工・福祉・地域づくり等多業種の関係者で構成する策定協議会を令和3年7月に設立し、これまで主に本町の現状分析と課題について洗い出しを行いました。今後は各誘導区域、施設、施策等について協議を行います。

本計画は、五戸町の次代の創造に向けた第一歩であり、計画策定後は、地域一丸となって計画実現に向け、まちづくりに取り組んでいきます。

9.三大肉(馬・牛・鶏)ブランド強化へ


江戸時代、幕府直下の牧場を有していた五戸町。現在も、酪農や畜産を手掛ける農家が、きめ細かな技術で良質な製品を生産しています。

町の特産品として長く親しまれている「五戸馬肉」。長い時間をかけて作りだされた高品質な美味しさをご堪能ください。数々の賞を受賞したブランド牛としてその名を全国に響き轟かせた「あおもり倉石牛」や、市場から名古屋コーチン、比内地鶏と並び高い評価を受けている「青森シャモロック」。

本町では、これらを「ごのへ三大肉」として売出し中で、のぼりを掲げているお店においてご賞味いただけます。また、事前予約により三大肉が一度に味わえる食べ比べメニューもご用意しています。ぜひお召し上がりください。

売出し中の「ごのへ三大肉」(あおもり倉石牛・青森シャモロック・五戸馬肉)

売出し中の「ごのへ三大肉」(あおもり倉石牛・青森シャモロック・五戸馬肉)​

10.五戸のおんこちゃん


本町のPRキャラクター「五戸のおんこちゃん」を紹介します。町の木「おんこ(いちい)」にちなみ、おいしいものがあるところに現れる、おんこの木の精、のようなもの。おんこちゃんをみかけた人には幸せが訪れるという設定で、町出身の姉妹クリエーター「東京ハイジ」により誕生しました。おんこちゃんの友達「シロ」は、白馬の精、のようなもの。仲が良くいつも一緒です。

また3Dのおんこちゃんが登場するARフォトラリーキャンペーンを春夏秋冬の年4回開催します。町内5か所のスポットにあるQRコードを専用アプリで読み込むとそれぞれのスポットで異なるモーションの3Dおんこちゃんと記念撮影ができます。5つのスポットすべてで写真を撮ると「おんこちゃんノベルティグッズ」がもらえますので、ぜひ五戸町を訪れスマホをかざしてみてください。

「五戸のおんこちゃんとシロ」が待っています。

PRキャラクター「​五戸のおんこちゃん」 ​

PRキャラクター「​五戸のおんこちゃん」