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福井県南越前町/「海と緑と歴史の恵みに抱かれて、出会いから活力の花ひらく町」を目指して

印刷用ページを表示する 掲載日:2022年2月7日

道の駅「南えちぜん山海里」

▲道の駅「南えちぜん山海里」


福井県南越前町

3188号(2022年2月7日)南越前町長 岩倉 光弘


はじめに

南越前町では、町民に優しく、安全で、安心して暮らせ、活き活きと働き、人と文化を育む住民主体のまちづくりに取り組んでいます。

人口は平成27年国勢調査10、799人、令和2年国勢調査で10、002人となりました。将来人口推計では令和7年の人口が約9、200人となっています。

福井県のほぼ中央、嶺北地域の南端に位置し、北は越前市、越前町と池田町、東および南は岐阜県・滋賀県、西は敦賀市と日本海に接する山・海・里の地形の変化に富んだ自然豊かな町で、町土の面積は343・69㎢のうち約92%が山林で占められています。

 

若い世代が地域で実践する「まちみらいチャレンジ」

令和2年春、新型コロナウイルス感染症拡大により、学生は地域での調査研究や活動の中止など、地域をフィールドに学び挑戦する機会が減少していました。また、わが町においても、新型コロナウイルス感染症拡大による影響は大きく、観光業をはじめとした地域経済の疲弊、各種交流の停滞など、新たな課題や変化への対応が求められていました。

そこで町では、学生の「学びの継続」と時代に即した「地域での挑戦」を柔軟に支援することで、人材の育成と地域の活性化につなげる「まちみらいチャレンジ」をスタートしました。

「まちみらいチャレンジ」は、大学生等が町に関連のある活動を自由に設定し、主体的に取り組むもので、令和2年度は15組、令和3年度は5組の計26人が参加しました。町は参加学生に対し、1組あたり10万円の支援、地域おこし協力隊等による地域情報の提供を行いましたが、活動の企画から実施の全てを学生自身の行動力で自由に取り組みました。

活動場所は、オンラインのほか、大学のオンライン授業を受けながら2週間町に滞在したり、町内で暮らす祖父母の家を拠点に活動したり、状況を踏まえた多様な形が見られました。また、活動内容も多彩で、①町の名所や自然の写真を載せたオリジナルトランプを作成し、中学生が楽しみながらふるさとを学ぶ機会を提供する活動、②サイクリングで鉄道遺産を巡る体験プランの実用化を図る活動、③町産野菜の魅力を若者向けに発信する活動ーなど、その多くが地域内外の人を巻き込むような展開となりました。活動終了後には、半年間生活の拠点を町に移したり、地域イベントの情報発信を担ったり、大学の後輩に活動を引き継いだりするなど、連続性のある活動が生まれています。

本事業の特徴は、提案だけでなく学生の皆さん自身が「実践」することです。地域課題に捉われず、それぞれの視点・視座で地域を知り、楽しみながら活動することは、まちづくりへの共感や協力につながるのではないかと考えています。

持続可能な活力ある地域づくりを進めるためには、町の将来を担う人材の育成が重要です。特に若い世代は地域との関わりが希薄化しており、若い世代が主体的に地域を楽しむきっかけを創出する必要があります。参加学生の多くから「地域の方と話すことで人の温かさと町の魅力に気付いた」「農家さんとの会話が楽しく、自分自身を受け入れていただけたように感じ、活動の原動力になった」という意見がありました。小さな実践を応援し、若い世代の思いを受け止めていくことは、今後のまちづくりに不可欠だと考えています。

今後も変化を捉えながら、幅広い世代の方が自由にまちづくりに挑戦できる場の提供を続けていきます。

「南越前町トランプ」を楽しむ中学生

▲「南越前町トランプ」を楽しむ中学生

鉄道遺産を巡るサイクリング体験の実用化

▲鉄道遺産を巡るサイクリング体験の実用化

町産野菜のレシピを考案しSNSで発信町産野菜のレシピを考案しSNSで発信

▲町産野菜のレシピを考案しSNSで発信

活動終了後に半年間移住した大学生

▲活動終了後に半年間移住した大学生

 

南越前町の最もホットなニュース

新たな交流拠点 エンターテイメント型道の駅「南えちぜん山海里」

令和3年10月8日にオープンした「南えちぜん山海里」は北陸自動車道南条SA(上り)に隣接し、「道の駅」と「南条SA」は徒歩による往来が可能で、北陸自動車道からも一般道からも利用でき、それぞれの施設でお食事や買い物が楽しめます。

南条スマートICも隣接していることから利便性も高く福井県の観光情報などさまざまな情報を発信しています。

隣接する公園「さんかいりパーク」とはロング滑り台で公園と一体化した「道の駅」として子どもから大人まで楽しめるエンターテイメント型道の駅です。

地元特産の今庄そばや日本海の海鮮など山海里のグルメを堪能していただける7つの専門店のオープンキッチンが並ぶフードホールでのお食事と、新鮮な野菜や海の幸が並ぶ直売所と地酒も販売しているお土産コーナーなどの充実したマーケットでお買い物をお楽しみいただけます。

3階にはキッズパーク、屋上4階にはイベント広場などお買い物だけでなくお子様たちにも十分楽しんでいただける空間となっています。

夜には施設周辺がプロジェクションマッピングやイルミネーションで華やかに飾られます。

 

町の魅力の一部をご紹介

☆魅力その1 重要伝統的建造物群保存地区 令和3年8月4日選定 「北国街道 今庄宿」

幾重にも山が連なる南越前町今庄は、北陸随一の難所を背にし、この地を行き交う旅人は、みな「今庄宿」で疲れを癒し、峠を越えていきました。

このまちには、当時の風情がうかがえる宿場町の面影が今も息づいています。ゆっくりと歩き、先人たちが過ごした時を体感できます。

山本周五郎は小説「虚空遍歴」の中で「この今庄という土地にはなにかある。初めて来たときから、なにかおれとのあいだに説明することのできないつながりがあるように思った」と記しています。

「今庄宿」には約1㎞の街道沿いに4軒の酒蔵があり、創業200年以上の歴史ある蔵で昔ながらの丁寧な酒造りを営んでいます。また、約450年の歴史を持つ「今庄つるし柿」はどんなに空腹でも「一つ食えば一里、三つ食えば三里歩ける」と言われ“旅人の元気の源”として重宝されました。現在でも特産品としてご愛顧いただいています。

 
☆魅力その2 「日本遺産が2つあるまち」

Ⅰ 海を越えた鉄道 ~世界へつながる鉄路のキセキ~

古くから宿場町や港町として栄え、交通の要所として発展してきた福井県南越前町今庄、敦賀市、滋賀県長浜市は明治維新を経て、近代国家への道を歩み始めた日本の中で、鉄道で結ばれ、人と物資を運び、文化や経済の成熟を支えてきました。南越前町今庄は、峠越えに挑む鉄道基地として、また敦賀は陸運と海運を結束する鉄道と港のまちとして、長浜は、日本海と太平洋を結ぶ水陸交通のターミナルとしての役割を果たしてきました。

福井県と滋賀県にまたがる旧北陸線のエリアには、今も当時の歴史をしのぶことができる鉄道を中心とした貴重な近代化遺産が数多く残っています。今も息づく、近代化遺産を巡る旅を堪能できます。

Ⅱ 荒波を超えた男たちの夢が紡いだ異空間 ~北前船寄港地・船主集落~

南越前町河野には江戸時代末期から明治時代初期にかけ廻船を生業としていた北前船主の5大船主の右近家や中村家の住居が今も並び、当時の繁栄を色濃く残す北前船主通りがあります。

右近家の裏山の中腹にある西洋館からは若狭湾を一望できます。

中村家の住居は国の重要文化財にも指定されており令和5年春に一般公開する予定です。

北国街道 今庄宿

▲北国街道 今庄宿

国重要文化財 中村家

▲国重要文化財 中村家

旧北陸線 山中トンネル

▲旧北陸線 山中トンネル

 

未来に向けたまちづくり

人口減少と少子高齢化の進行、農林水産業の衰退など町が抱える課題は山積しています。

しかし、それらの課題に正面から真摯に向き合い、解決に向け知恵を絞り、未来へ希望をもってまちづくりを進めていかなければなりません。

「人と人が繋がり支えあう」という地域コミュニティの基本的な考え方を軸に、DXの推進、脱炭素社会に向けた再生可能エネルギーの活用など最大限の行政サービスを享受できる安全で安心して暮らしやすい生活が実現できるように新たな取組に果敢に挑戦していきます。

そのためにも自治体間の連携を図り先駆的な取組から学ぶことが必要です。

南越前町は交通アクセスが比較的良く、日本海沿いの海岸線には旅館や民宿などの宿泊施設も点在しており、ご滞在時間をとっていただき南越前町の魅力を十分に堪能していただきたいと思います。ぜひ一度お立ち寄りください。

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