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茨城県茨城町/いばらきまち未来への道しるべ~三世代が共に輝く元気交流空間 夢と希望を未来へつなぐまち~

印刷用ページを表示する 掲載日:2022年1月10日

豊かな恵みをもたらす茨城町のシンボル「涸沼」

▲豊かな恵みをもたらす茨城町のシンボル「涸沼」


茨城県茨城町

3185号(2022年1月10日)茨城町長 小林 宣夫


1 茨城町の概要

茨城町は、茨城県のほぼ中央に位置し、町のシンボルである「涸沼」をはじめとする水と緑の豊かな自然環境と、うるおいのある生活環境に恵まれた田園都市です。町域は、東西17㎞、南北14㎞で、面積は121・58㎢です。町の中央部を3本の川が流れ、東端に位置する涸沼に注いでいます。

当町は、豊かな水や平坦で肥沃な土地、農耕に適した気候条件を生かし、古くから農業を基幹産業として発展してきました。現在、「地理的表示(GI)保護制度」に登録された「飯沼栗」をはじめ、米やメロン、イチゴ、トマトなど、多様な農産物が生産されています。畜産業も盛んで、茨城県のブランド牛である常陸牛などが生産されています。また、涸沼には、ハゼやウナギなどが生息しており、特にヤマトシジミは日本でも有数の漁獲量を誇り、大粒で味の良さが特徴です。

当町の交通環境については、国道6号のほか、北関東自動車道と東関東自動車道の2本の高速道路が走り、町内に3つのインターチェンジが設置され、茨城空港や茨城港常陸那珂港区が近接しており、町内外の都市や観光拠点などへ容易にアクセスできる条件が整っています。

また、当町には、国道6号に隣接する茨城工業団地と、北関東自動車道の茨城町西インターチェンジを内包する茨城中央工業団地の2つの工業団地があります。現在、茨城工業団地には11社、茨城中央工業団地には15社が立地し、現在24社が操業しています。

当町の観光資源としては、まず「涸沼」があげられます。涸沼は、平成27年度にラムサール条約湿地として登録された海水と淡水が混じり合う、全国的にも数少ない関東では唯一の汽水湖です。涸沼には、希少な昆虫であり、町の天然記念物に指定されているヒヌマイトトンボをはじめ、海と川の魚介類、多様な植物が生息しているほか、毎年スズガモなど数多くの水鳥が飛来しています。

その湖畔には、自然の地形を生かした約34・5haの「涸沼自然公園」があります。園内には、テントサイトやオートキャンプ場、バーベキューハウスなどがあり、自然にふれあい、楽しむことができるスポットとなっています。初夏には、30種類約1万株の色鮮やかなアジサイが広大な敷地に咲き誇る姿は圧巻です。

また、同じく涸沼湖畔に、茨城県の指定名勝である「親沢」と「広浦」があります。

親沢は、砂浜と松林が広がる風情ある公園で、キャンプやバーベキューのほか、釣りなども楽しむことができます。園内には、「親沢の一つ松」を詠んだ水戸黄門こと徳川光圀公の句碑があります。

広浦は、涸沼の湖面に映る名月を「広浦の秋月」として、水戸藩第9代藩主徳川斉昭公が水戸八景に選んだ景勝地です。夏には、涸沼の湖上に舟山車が浮かぶ「あんばまつり」という珍しいお祭りが行われます。

さらに、親沢公園の対岸にある網掛公園は、野鳥観察台が設置され、涸沼を一望できる見晴らしの良い公園で、バードウォッチングを楽しむ人やカメラマンにも人気のスポットです。

当町の名所としては、国指定史跡である「小幡北山埴輪製作遺跡」があります。6世紀から7世紀の埴輪製作遺跡で、付近は古くから良質な粘土が採れる場所として知られ、59基の窯跡は全国最大規模を誇ります。

国指定天然記念物である「大戸のサクラ」は、樹齢約500年を数えるシロヤマザクラの巨木で、大正時代のはじめ頃には枝が大きく張り出し、その広さは300坪もあったと言われています。徳川光圀公も大いに愛でたと伝わっています。

町指定史跡の「小幡城跡」は、遺構の状態がほぼ原型のまま残る中世の城跡です。迷路のように巧妙な空堀は迫力満点で、多くの城マニアを惹きつけています。

こうした当町の特性・資源を最大限に生かし、現在、平成30年度から令和7年度を計画期間とする「茨城町第6次総合計画」に基づき、まちづくりを進めています。本計画では、「人口減少を食い止める」を最重要課題に据えて、具体的な施策等を定めた「第2期茨城町まち・ひと・しごと創生総合戦略」に基づき、地方創生に向けたさまざまな施策に取り組んでいます。

大粒で肉厚、濃厚な味わいの「涸沼産ヤマトシジミ」

▲大粒で肉厚、濃厚な味わいの「涸沼産ヤマトシジミ」

 

人気のレジャースポットである「涸沼自然公園キャンプ場」

▲人気のレジャースポットである「涸沼自然公園キャンプ場」

 

水戸八景の1つ 名勝「広浦」

▲水戸八景の1つ 名勝「広浦」

 

遺構の状態がほぼ原形のまま残る「小幡城跡」

▲遺構の状態がほぼ原形のまま残る「小幡城跡」

 

2 移住・定住の促進

地方創生の時代においては、「シティプロモーション」が非常に重要であると考えています。

そこで、当町では、町のホームページに「シティプロモーションサイト」を設け、町の基本情報のほか、移住に関する支援策や子育て・教育に関する取組など、移住の判断材料となる情報を掲載しています。

その中で、「根ほり葉ほり」という特集記事を掲載しています。これは、平成28年度から配置している定住コンシェルジュが実際に住んでいる方に、お住いの地区の良い点や不便に感じる点、地区の自慢話などをインタビューし、その内容をその地区の施設や景色の写真とともに掲載しています。そして、インタビューにご協力いただいた方に他の地区の方をご紹介いただくリレー形式で、89の行政区を順に紹介していくというものです。移住を検討されている方にとっては、茨城町での暮らしをイメージしやすくなるのではないでしょうか。

また、当町での暮らしをよりイメージしていただくために、実際に茨城町で暮らし、町の風土や日常生活を体験していただくという「お試し移住体験住宅事業」を行っています。

これは、町が借り受けた涸沼のすぐ近くの住宅に数日間過ごしていただくものであり、平成30年10月から開始して、これまでに20組49人の方々にご利用いただいております。

移住を決めた場合、どこに住むのかも重要なポイントであります。当町では、町内の空き家を購入し、リフォームをした場合に最大で100万円の補助をする「転入者向け住宅リフォーム補助事業」を行っています。平成27年度から開始して、これまで24組70人の転入増につながっています。

その他、無利息で学資の貸し付けを行う「茨城町奨学金貸付事業」を行っています。大学等を卒業した後は、返還をしていただくことになりますが、定住の促進を図るため、卒業後当町に戻り、引き続き5年間居住した場合は、返還を免除することとしています。

 

 

3 町の魅力発信

当町には、茨城町のファンクラブである「いば3ふるさとサポーターズクラブ」があります。平成29年1月に設立し、現在、町内外の方約900人に会員登録をいただいています。「いば3」の名前の由来は、「茨城県東茨城郡茨城町」と茨城が3回続くことから命名されたものです。本クラブの活動としては、クラブ公式のツイッターやフェイスブックによる情報発信、季刊誌「SUN」の発行やオフ会の開催などを行っています。

平成30年度には、町のプロモーションビデオ「つながりとひと」を制作しました。制作にあたっては、当町出身の女優・根矢涼香さんに主演していただき、当町のふるさと大使でもある音楽家マシコタツロウさんにテーマソングを制作していただきました。撮影には、エキストラとして「いば3」の会員を中心に町内外から約200人の方が参加されました。なお、本ビデオは、町のホームページやYouTubeで配信しています。

また、町のPRを目的として、3枚一組のポスターを制作しました。制作にあたっては、ずばりインパクトのあるものをというコンセプトのもとに、涸沼に息づくものや涸沼の営みをテーマにし、人・モノ・風景3枚で構成しました。なお、本ポスターを1961年より開催されている歴史ある広告写真の公募展「APA AWARD 2020」に応募したところ、入選を果たすことができました。

また、今年度は、「いば3」のメンバーと町内の事業者が共同開発し、茨城町の「水」・「緑」・「土」をイメージした香り高いハーブティー「MACHINO HERBTEA」を作りました。このハーブティーは町のお土産として販売されています。

プロモーションビデオ撮影に参加された皆さん

▲プロモーションビデオ撮影に参加された皆さん

 

APAアワード入選 茨城町PRポスター

▲APAアワード入選 茨城町PRポスター

 

4 結婚・出産・子育て支援

当町では、出生者数が減少し、婚姻率も低下している状況です。こうした状況を踏まえ、結婚から妊娠・出産・子育てまで、切れ目ない支援策に取り組んでいます。

結婚を希望する男女を応援するため、平成25年度から「婚活応援推進事業」を行ってまいりましたが、より充実した支援が行えるよう、令和3年度に「茨城町きらりキューピット結婚支援センター」を設立し、専任のカウンセラーがお相手探しから引き合わせまでサポートし、結婚に関する相談、お見合い、婚活イベントなどを企画し、支援体制の強化を図っています。

また、高額な治療費のため不妊治療を躊躇するなど、不妊に悩むご夫婦の経済的負担の軽減を図るため、「不妊治療費助成事業」を行っており、不妊治療1回につき15万円を上限として助成しています。

出産後の主な支援策としては、「茨城町子育て支援センター」を設置し、子育て親子に寄り添い、親子のふれあいと絆を深める活動を行っています。また、出産祝金として2万円を支給する「出産祝金支給事業」、1万円を限度とし購入費の一部助成を行う「チャイルドシート購入補助事業」などを行っています。

さらに、子育て世代の経済的負担の軽減を図るため、通学用のヘルメットを小学生には無償配布、中学生には購入費の全額補助を行う「通学用ヘルメット配布・購入費補助事業」や高校生まで医療費助成を行っています。

教育環境の充実については、当町には小学校4校・中学校2校があり、老朽化した校舎の改築や大規模改造工事を計画的に実施し、すべて完了しています。全教室に空調設備を設置し、トイレを洋式化しました。また、内装には木材をふんだんに使用し、温もりのある教室としました。

これにより、児童・生徒は快適な環境のもと、集中して学習に取り組んでいます。

子育て支援センター「まんまるーむ」

▲子育て支援センター「まんまるーむ」

 

 

5 コミュニティ活動の活性化

近年、核家族化の進行や価値観の多様化等に伴い、コミュニティ活動への参加者の減少や行政区・自治会等への未加入世帯の増加が顕著に見られ、将来にわたる持続可能なコミュニティの維持形成が大きな課題となっています。今後、当町が活力あるまちづくりを進めていくためには、地域ごとの活力を向上させることが重要であります。

当町には、各行政区が自主的かつ主体的に行う、区の活性化等に向けた取組を支援するため、平成25年度から「茨城町ふるさと元気づくり推進事業」を行っています。これは、各行政区が実施する事業等に対し、初年度20万円、2年目・3年目は各10万円を上限として補助金を交付するというものです。これまでに23の行政区において本事業を活用し、地域資源を生かした独自色のあるさまざまな活動が実施され、活発な交流が図られてきました。

今後も、本事業を全行政区において、取り組んでいただけるよう働きかけをするとともに、2名の集落支援員による積極的な支援活動と地域の活性化を推進していきます。

 

 

6 おわりに

当町には、多様な農畜水産物が生産され、世界の涸沼に代表される水と緑の豊かな自然が息づいています。また、高速道路や国・県道の整備が進むなど道路条件にも恵まれ、農・商・工の産業がバランス良く発達し、町民の気質は人情味にあふれています。こうした当町の特性・資源を最大限に生かしながら、「住むことを誇れるまちづくり」、「人が行き交うまちづくり」、「協働のまちづくり」を進め、子どもも高齢者も、住む人も訪れる人も、当町にかかわるすべての人が笑顔でふれあい、交流し、元気になる、夢と希望に満ちあふれたまちをみんなでつくり上げ、未来へつないでいくという想いを込めた『三世代が共に輝く元気交流空間 夢と希望を未来へつなぐまち』を目指し、町民との協働によるまちづくりを進めています。

ふるさと元気づくり推進事業による三世代交流会

▲ふるさと元気づくり推進事業による三世代交流会