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大阪府岬町/いま求められる新たなライフスタイル 豊かな自然の中で「働き」「学び」「楽しめる」まち

印刷用ページを表示する 掲載日:2021年3月22日

長松海岸から望む夕陽

▲「日本の夕陽百選」に選ばれた長松海岸から望む夕陽

※ 大阪府に唯一残る自然海岸で、干潮時には10~20mの岩礁や潮だまりが出現。淡路島から明石海峡大橋、神戸の街並みが一望でき、夕闇迫る海岸は夕陽のスポット。​​


大阪府岬町

3153号(2021年3月22日) 岬町長 田代 堯


岬町の概要

大阪府の最南端に位置し、地形は東西10km、南北6km、面積49・18平方キロメートル。東南部は和泉山脈で和歌山県と接しており全体の約80%が山地です。また、西北部は大阪湾(ちぬの海)に臨んで淡路島と相対し、府内でも珍しい自然海岸を形成しています。気候は四季を通じて温和で雨量の少ない瀬戸内気候区に属し、豊かな自然に恵まれた住みよいまちです。

岬町には鉄道駅が6つあり、大阪の中心地へは電車で約50分、隣の和歌山市へは約10分と、公共交通による都市間移動に優れています。また、海や山、小川などの自然環境にも恵まれ、文化的な都会の暮らしと、心がなごむ田舎の暮らしをともに楽しめる素敵なまちです。本町には、ゴルフ場、海釣り公園、海水浴場、自然海浜、ハイキングやサイクリングが楽しめるスポットなどがあり、憩いの場を求める家族、レクリエーションの場を求める仲間たちが、大阪府内外からこのまちを訪れています。さらにビーチバレー、サッカー、野球、ラグビーなどのスポーツのアスリートたちは、このまちでの競技を通じて世界へ飛躍しようとしています。岬町では、このような町の文化、歴史、資源等を活用したさまざまなまちづくり施策に取り組んでおります。

広域型サイクルツーリズムの取組

岬町はまち全体が大阪湾に突出しており、古くから淡路・四国へ渡る海上交通の要衝として栄えてきました。まちの中心部にある深日港から発着する航路は、開港から約50年もの間、人々の生活や産業・文化を支え続けてきましたが、道路交通網の整備と自家用車の普及、レジャーの多様化等により利用者が減少し、全て廃止されてしまいました。その後、まちの活気までもが失われてしまいました。

海の玄関口として活況を呈していた頃の深日港を取り戻すためには、航路を復活させ、広域観光を推進し、新しい人の流れを構築することが重要です。しかしながら、航路復活の取組は全国的にも珍しく、さまざまな課題が山積しておりました。まずは、船を探すところから始まり、運航してくれそうな会社を何度も訪問しました。そして、関係機関の皆さまのご協力のもと、ようやく念願の深日港と洲本港を55分で結ぶ「深日洲本ライナー」運航の実施に至りました。平成29年度は約3か月、平成30年度は約8か月、令和元年度は約6か月運航し、合計3万5千人を超える方々に乗船していただきました。また、この「深日洲本ライナー」にはスポーツタイプの自転車が最大31台積載でき、サイクルシップとしての機能も備えております。深日洲本ライナーの運航により、サイクリストは、大阪や和歌山のサイクルルートに加え、淡路島を1周する、いわゆる「アワイチ」も楽しんでいただくことができるようになりました。

令和2年度においては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により、運航を中止しましたが、現在、令和3年度の運航再開に向け、関係機関と調整中です。本航路をご利用いただき、広域観光を楽しんでいただくことで、まちの持続的な発展につながります。皆様におかれましても、ご乗船いただき、本町のまちづくりにご協力いただければ幸いです。

 

深日州本ライナー

▲自転車を積載できるサイクルシップ「深日洲本ライナー」​

 

サイクリングを楽しむ利用者

▲航路を利用し、サイクリングを楽しむ利用者

みなとオアシスみさき

「みなとオアシスみさき」は、深日港から淡輪港までの港エリアの賑わいの再創出を目指し、平成27年10月に大阪府下では第1号の登録として誕生しました。岬町には、かつて四国や淡路島への玄関口として栄えた深日港と、ヨットハーバーを有し、海洋レジャーの拠点となっている淡輪港の2つの地方港湾があります。これらのみなと周辺にはふれあい漁港や、大阪府内に残る貴重な自然海浜、海水浴場など、さまざまな観光資源が集積しています。基本施設である深日港観光案内所は、町内で行われるイベントや観光情報の発信拠点であり、また、海辺のみなとオアシスみさき構成施設と連携して、住民参加型の地域振興の取組を行い、賑わいと交流によるさらなる活性化を図っています。

関西国際空港の整備に使用した施設を活かし、海釣り公園の運営へ

関西国際空港第2滑走路付近の埋め立て用の土砂を搬出するため、小島地区に整備された桟橋を「海釣り公園」として再利用し、平成19年10月10日に「とっとパーク小島」がオープンしました。この名前は、愛称を募集した際、応募者が子供の時に魚を『とっと』と呼んでいたことから、「とっとパーク小島」が選ばれ、多くの方に親しまれる名前となっています。この施設は、海釣り公園と道の駅が併設された全国的にも珍しいつくりで、一年を通し、ドライバーの休憩場所や、トイレ休憩施設としても利用されています。この「とっとパーク小島」の桟橋は200m以上沖へ突き出しており、先端は水深25mと深く、マダイやハマチなど四季を通して、さまざまな魚が釣れ、ベテランからファミリーまで多くの方に愛されています。

※岬町内には、「とっとパーク小島」と「道の駅みさき夢灯台」の2つの道の駅があります。

 

釣りを楽しむ来場者

▲とっとパーク小島で釣りを楽しむ来場者​

「葛城修験」日本遺産の保存と活用

“「葛城修験」-里人とともに守り伝える修験道はじまりの地”は、令和2年に日本遺産として認定されました。大阪と和歌山の府県境を東西に走る和泉山脈、大阪と奈良の府県境にそびえる金剛山地―総延長112km―に及ぶこの峰々一帯は「葛城」と呼ばれ、修験道の開祖であると言われている役行者が最初に修業を積んだのが葛城修験道です。

岬町には、孝子の高仙寺に修験道の開祖・役行者の母の墓地があり、和歌山市加太の友ヶ島から始まる葛城二十八宿では、神福寺跡(岬町西畑)と慈眼院(岬町佐瀬川)などが岬町に現存しています。今後は、関係機関と連携し、貴重な文化歴史遺産の保存に努めるとともに、来訪者に葛城修験道の雰囲気を楽しんでいただけるよう、近畿自然歩道のハイキングコースとして、トレッキングやハイキングを案内するなど、和歌山、奈良、大阪の広域で、持続可能な観光振興を図ってまいります。

 

葛城修験

地域力を活かした子育て・教育の充実

本町では、児童数の減少が進む小学校区の「地域の力」を維持できるように、小学校の耐震化を済ませ空き教室に保育所を併設し、拠点施設としての機能を加えました。その結果、PTAだけでなく、地域の大人も小学校に集い、プリントテストの学習や、知的障がい児がウェイターをする福祉喫茶を開催するなど、地域の人々が地域の子どもを皆で育てるという、幅広い子育て支援につながっています。加えて、保育所児童と小学生の交流行事を通じて、お互いに良好な教育的効果も創出されています。現在では、大阪府立大学と連携した取組の一環として、さまざまな国籍の留学生までもが、岬町の小学校に集い、日本の将来を担う人材育成に貢献いただいております。​

全国に2つの「みさきちょう」同士の連携

全国に「みさきちょう」という自治体は、大阪府泉南郡岬町と岡山県久米郡美咲町のみで、両町は頻繁な交流が可能な距離、対照的な立地条件・自然環境であることから、観光・体験学習、特産品の販売などさまざまな面で相互に補完が可能ということもあり、令和2年11月3日に友好交流都市協定書の調印式を行いました。調印式ではお互いの特産品(岬町:シラス、美咲町:たまご)の交換も行いました。この特産品を利用し、友好交流都市との学校間交流学習として、お互いの特産物を知り、友好を深めるため、全国学校給食週間に合わせ、2つの特産品を使用した給食のメニューが登場しました。美咲町で有名なたまごかけご飯で使用している「たまご」と大阪湾で獲れた新鮮な「シラス」を使用したその名も「ダブルみさき丼」。両町内の全学校園で児童生徒は「ダブルみさき丼」を食べ、その後、リモートによる交流も行うことで、小規模学校に通う生徒たちにとっては、新たな刺激となり、教育的効果も創造できました。

さらに、両町の交流は民間同士の交流にも発展しつつあります。令和2年12月には、岬町の道の駅みさき夢灯台の商品を岡山県美咲町の物産センターにおいてイベント販売しました。商品については、岡山県美咲町において供給が少ない海産物が選定されました。この取組は、両町の事業者・生産者の発展につながることに加えて、地元住民にとっても、両町の特産品を購入できるようになることで、生活の質(QOL)の向上にも寄与すると考えております。今後は、互いに常設販売コーナーを設けることも検討されており、民間交流の促進による持続的なまちの活性化に期待が膨らみます。

 

給食メニュー「ダブルみさき丼」

▲互いの特産品を使った給食メニュー「ダブルみさき丼」​​

 

道の駅みさきの取扱い商品を販売している様子

▲岡山・美咲町の物産センターで、道の駅みさきの取扱い商品を販売している様子​

おわりに

岬町では、住民の皆さまや、産学官の関係機関の皆さまとともに、協働のまちづくりを推進しております。特に令和2年度には、本町が抱える課題解決、住民サービスの向上、地域活性化に、民間事業者等のノウハウ、アイデアを積極的に活用するため、(株)官民連携事業研究所と「公民連携促進に関する連携協定書」を締結しました。本誌をご覧いただいている皆さまにおかれましても、岬町に一度訪れていただき、本町のまちづくりに参画いただけますと幸いです。​

岬町に関する動画

▲岬町に関する動画

深日洲本ライナーの最新情報

▲深日洲本ライナーの最新情報