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山口県和木町/小さくともきらりと輝る和木町を未来につなぐ

印刷用ページを表示する 掲載日:2020年8月24日

バラ園

▲地域の憩いの場 蜂ヶ峯総合公園 バラ園


山口県和木町

3130号(2020年8月24日) 和木町長 米本 正明


和木町の概要

和木町は山口県の東端に位置し、広島県と小瀬川を挟んで隣接しています。町域は岩国市と接し、北は広島県大竹市、東は瀬戸内海に面しています。行政区域面積は10・58㎢で、そのうち約50%が山林であり、平地のほとんどは宅地化され、農耕地はわずか2・5%となっています。

地勢は、南側に緑豊かな山々を擁し、北側を小瀬川に接した低い地域で東西に開け、小瀬川河口部の堆積地の上にできた町です。気候は、瀬戸内海気候であり、気温は四季を通して温度差が少なく、年間平均気温は15~16℃です。

江戸時代には吉川家の所領にあり、明治22年の市町村制の施行により、小瀬・和木・関ヶ浜・瀬田の4村を統治して小瀬川村となり、明治32年に小瀬村と分離して和木村が誕生、昭和48年に町制施行し和木町となりました。

現在の人口は6、214人、2、701世帯(令和2年6月1日現在)です。​

町の発展を支える産業

かつては農業と海苔の生産が主でしたが、明治39年に現在の日本製紙(株)の前身である芸防抄紙(株)が進出、さらに昭和15年に陸軍燃料廠、次いで現在のENEOS(株)麻里布製油所の前身である興亜石油(株)が設立されるに至り、工業の町としての色彩が強まりました。その後、戦争により打撃を受けましたが、昭和31年に三井化学(株)の前身である三井石油化学工業(株)が陸軍燃料廠跡地に進出し、日本初の石油化学コンビナートの町として脚光を浴びるに至りました。

航空写真

▲日本で最初の石油化学コンビナート​​

にぎわいの丘 蜂ヶ峯総合公園

昭和54年から、和木町の唯一の観光資源である蜂ヶ峯総合公園の整備に着手し、昭和62年にオープンの運びとなりました。その後も平成2年にはバラ園の完成、平成3年にミニSLの運転開始、平成4年にローラーすべり台がオープンするなど、町民だけでなく近隣の人々にも愛される公園として次々と整備されました。平成7年には、蜂ヶ峯総合公園隣接地に本格的なゴルフ場がオープンし、蜂ヶ峯総合公園を中心とした一大レジャーランドとなりました。

現在、令和3年3月の完成を目指し、イベントスペースやレストラン、交流棟など、賑わいと憩いの場を兼ね備えた施設の建設を進めています。

まちの強みを活かして

第1期総合戦略では、「地域に根差した産業、多様な雇用の創出」、「誰もが楽しく子どもを産み・育てるための支援」、「安心して住み続けられる良好な生活環境の確保」を人口目標達成のための目指すべき将来像に掲げ、さまざまな取組を推進しました。

その結果、総人口は減少傾向が続いていますが、20歳代後半並びに30歳代前半のいわゆる子育て世代は転入超過となっており、出生数増加につながっています。

特に、本町の強みである、石油化学コンビナートを中心とする産業基盤、こども園、小学校、中学校が各1施設であることから、それぞれが連携しながらの教育活動、鉄道や道路、空港など交通インフラの充実等を最大限活かし、平成27年、地方創生推進交付金を活用し、地域全体を学校と位置づけた、和木学園構想を立ち上げました。

​​和木こども園

▲和木町立和木こども園(幼保連携型認定こども園)​

生涯学習を土台とした町づくり ~町ぐるみ・和木学園構想~

本町では「町ぐるみ和木学園」という構想を掲げ、「生涯学習」に力を入れています。

和木学園とは、コンパクトでまとまりのある町をひとつの学園と見なし、生まれる前からお墓に入るまでのライフステージの中で「生涯学習」を推進していく取組のことです。立ち上げ時には「和木学園ってどこにあるんですか?」とよく聞かれたものですが、そういう訳ではありません。町内に居住している方、お勤めの方は、みんなが「和木学園生」であり、「みんなが生徒 みんなが先生」という考え方のもと、ともに学び合い、和木町を活性化することを目指しています。

つまり、学校教育から社会教育まで町民にとっての豊かな学びや体験に関係する取組は全て和木学園構想にあてはまると言えます。

生涯学習についての説明など

▲和木学園の概要パンフレット

教室の様子

▲和木学園講座「歴史教室」の様子

広がる取組

和木学園がどのような活動をしてきているのか、全ては網羅できませんが、イメージしていただくために、平成29年度にスタートして以来の「和木学園講座」をご紹介します。

まず、他の市町村同様、生涯学習関係の講演会を開催しています。「健康」、「人権」、「生き方」、「歴史」といった、さまざまなジャンルで豊かな人生につながる話を聞く機会を設けており、著名な先生に来ていただいたり、地域の人材に活躍していただいたりしています。

その他、「郷土料理等の調理を体験するもの」や「防災講座」、野外での活動として、「スキーツアー」や「社会見学」、「町内史跡めぐり」等も行っています。

単日の取組だけではありません。「和木学農園」という自然農法の農園も運営しており、年間を通じて月1回の活動を行っています。収穫した作物が給食で使われることもあり、1つの活動が多方面に「つながり、広がっていくこと」も意識しています。

「放課後子ども教室」の「わきあいキッズ」では、スポーツ少年団と連携しての「体験入部」や毎週水曜日の「昔あそび」、地域イベントでの「だがし屋体験」、夏(海)と秋(森)に行う自然体験、ちぎり絵教室、歴史教室等を行っています。子どもの居場所づくりとなっているだけでなく、地域の高齢の指導者との異世代交流の良い機会ともなっています。

枚挙に暇がありませんが、(詳しくお知りになりたい方は町のHPからもどうぞ!)日々のあいさつ運動から各種行事・イベント等、各団体・年代の町民の活動全てが和木学園の活動であり、それぞれの場面で携わる方々が、輝いておられます。和木学園の特徴は和木の魅力的なヒト・モノ・コトを通じて学び合い、住民同士のつながりが生まれることです。

収穫した野菜

▲和木学農園の参加者と収穫した野菜

和木町ならではの地域連携教育

町は教育目標として、「~ふるさと和木に誇りと愛着を持ち、和木の将来を担う人づくり~」を掲げており、教育も和木学園構想と連動する形になっています。

学校と地域が連携し、地域とともにある学校づくりを目指す具体的な活動の1つに「和木町コミュニティ・スクール委員会」があります。地域協育ネット協議会とコミュニティ・スクール推進協議会をひとつにまとめ、平成27年度より始動しました。こども園・小学校・中学校で一貫した教育を進めることも含め、学校運営協議会・PTA・地域協育ネットコーディネーター・文化協会・体育協会・家庭教育支援チーム・すくすくフェスタ・こども園・小学校・中学校・教育委員会が一同に会し、「学力向上」、「心の教育」、「体力向上」に分かれて協議をします。“めざす子ども像”を考え、その後、こども園・小学校・中学校の全教職員で、具体的な取組を考えて実践、年度末には検証し、次年度につなげています。

このように、地域と園・小・中が同一歩調で取り組むことができるのも、大きな特徴と言えます。

「本音レベルで思いを共有し、当事者意識でつながること」を大切にして来年度以降も前進していくつもりです。

また、町内には、高等学校がないため、中学校卒業後は、町の行事や地域の諸活動に参加することで和木町に孝行(高校)することを推奨しています。この時期にさまざまな行事に参画し、奉仕の精神を培ったり、学びを深めたりすることが<学校・家庭・地域>の教育機能の活性化を図り、心豊かなコミュニティづくりや、郷土を愛する人づくりにつながると考えます。

60歳以上の方々を対象とした生涯学習講座の「和木大学」もあり、受講年数に応じて「学士」~「名誉教授」まで和木町独自の称号を設定しています。

さらに、大人の積極的な学びをサポートするものとして、和木町内に住所を有する全ての方の英語検定、数学検定、漢字検定、TOEICにおける検定料を全額助成する事業も行っています。

企業との連携による学習活動も実践しています。和木町は、日本最初の石油化学コンビナートを擁しており、学校や地域と協働した取組を「コンビ学習」と称しています。「コンビナート」と「コンビネーション」のコンビです。次世代を担う子どもたちに、企業の優れた教育力を地域に還元する取組として毎年行っています。

住み続けたくなる和木町を目指して

平成27年度に策定した第1期総合戦略で計画した取組・施策の進捗状況と効果、生じている課題について、「基本目標」及び「基本的な方向」ごとに評価を行い、第2期の策定に向けて検討課題を整理しました。

この評価と課題並びに第5次和木町総合計画を柱とする各種計画との整合性をとるとともに、新たに“SDGs”に掲げられている17の分野別目標を踏まえて、本年3月、第2期総合戦略を策定しました。

その中で、和木町の関係人口増加や、住民の元気なまちづくりを目指すため、「和木学園講座の推進」を政策基本目標のひとつに掲げています。そして、地域コミュニティづくり、地域づくりの担い手育成や、和木町のファンづくりにつなげるため、和木学園講座をさらに発展させ、町内事業所とのコラボレーション等を展開していくこととしています。

コンビ学習の様子

▲企業と連携した学習活動「コンビ学習」の様子

このように、和木学園は、本町の総合戦略においても重要な事業であり、まちづくりを進めるうえでの貴重なツールとして期待されています。

将来像として、引き続き第1期戦略を踏襲し、コンパクトなまちの優位性を活かしたまちづくりを推進するとともに、「地域に根差した産業、多様な雇用の創出」、「だれもが楽しく子どもを産み・育てるための支援」、「安心して住み続けられる良好な生活環境の確保」を掲げ、和木町に住みたい人を増やすことや、住み続けたくなる和木町を目指していきます。