秋のひまわり園
佐賀県みやき町
2975号(2016年10月3日) みやき町長 末安 伸之
本町は、北部九州の佐賀県の東部・三養基郡に属し、佐賀市の東約20㎞、福岡市の南約30㎞の場所に位置する人口約25,500人の町です。
面積は、東西約8.3㎞、南北約15.2㎞で、北部の脊振山地から日本三大暴れ川のひとつ筑後川へと広がる51.92k㎡(平成26年面積)です。
北部は脊振山地の稜線をもって福岡県筑紫郡那珂川町と接し、南部は筑後川に面し、主に筑後川を挟んで福岡県久留米市と接しています。また、中南部は九州最大の穀倉地帯である佐賀平野の一角をなしています。
九州の大動脈である九州自動車道と長崎自動車道のそれぞれのインター(5か所)にも近く、九州新幹線の新鳥栖駅、久留米駅へは、十数分の距離であるとともに、近隣にはJRの在来線である鹿児島本線、長崎本線の最寄りの駅も多数あります。また、福岡国際空港及び九州佐賀国際空港へも1時間圏内であり、町の南部は、私鉄の西鉄天神大牟田線の電車が走るなど、町全体が交通のアクセスに非常に恵まれています。
みやき町は、合併当時の2005年には人口27,157人でしたが、国立社会保障・人口問題研究所が公表した本町の推計人口では、2040年には20,000人を下回るという衝撃的な発表がなされました。
町では、人口減少は町民生活の活力の低下を招くだけでなく、地域経済や財政にも大きな影響を及ぼし、地域の存立基盤にも関わる深刻な問題であると認識し、平成24年から「定住総合対策事業」に取り組み、平成25年2月には、「みやき町定住総合対策基本計画」を策定いたしました。
平成24年9月の「子育て支援のまち宣言」に続き、平成27年9月には「健幸長寿のまち宣言」を行い、「みやき町に笑顔があふれる長寿のまち」を目指していく決意を新たにしたところです。
また、「みやき町定住総合対策事業」については、「住宅支援」「子育て支援」「健康づくり支援」「女性活動・町民協働支援」「教育支援」「防災対策」「安全安心まちづくり支援」の7つを重点事項と位置づけました。
住宅支援では、「地域優良賃貸住宅の建設3か年で107戸建設(PFI方式)」、市街化の空き地を活用した「一戸建て地域優良賃貸住宅(10戸予定・PFI方式)」、平成28年度より10ヶ年計画で「市町村設置型浄化槽整備事業(予定基数1,500基・PFI方式)」を実施するとともに、町営住宅の「建替え計画(60戸)」、町遊休地の分譲も民間と連携し、3か年で70区画を分譲したところです。
新たに整備したPFI住宅
また、「住宅用地取得造成事業特別会計」を設置し、「町の直営による分譲」を推し進め(22戸を分譲)、さらに、県内初の「優良田園住宅建設(13戸予定)」の支援をすることとしています。国の補助金を活用した「空き家除去工事」や「空き家再生推進事業」、「定住促進奨励金」、町単独事業ではありますが、上水道配水管布設補助金や飲用井戸整備補助金の制度を設けることにしております。
町の遊休地を活用した分譲住宅
子育て支援では、町の中心地に子育て支援の拠点として児童館を建設しました。こさらに、町の公共施設3か所を提供し、保育園・幼稚園に通わない子ども等を民間団体等に委託して、子育て支援を行っています。さらには、全国的に珍しい「妊産婦の利用者支援事業」や「産後ケア事業」をNPO法人に委託して、「産前産後サポートステーション」を整備したところです。
子育て支援事業
産前産後サポートステーション
産前産後サポートステーション(外観)
医療費の助成につきましては、高校生まで医療費の助成を行っており、さらに、学校給食費につきましては、小・中学校に同時在学する児童・生徒のうち、第3子以降は、学校給食費の全額を補助していましたが、28年度より、第1子、第2子については、半額補助することとしました。また、「出生祝金」として、第1子から祝い金を支給し、第5子以降は、50万円を支給しています。「子ども・子育て関連三法」による支援制度に移行する私立幼稚園に対する「施設型給付」や「地域型保育給付」の支援を行い、官民挙げての子育て支援を目指していきます。合併後、町立保育園が5園ありましたが、うち4園を統合し、新たに新園舎を建設すると共に民間移譲することにより、町民のニーズに応え、サービスの向上に努めた結果、入園者も予想以上に増えて大変ご好評をいただいています。
民間団体等と連携した子育て支援
健康づくり支援では、「サロン事業」や「健康づくり支援事業」、「ロコモ予防教室(運動器)」等の各地区教室を行い、補助金事業としては、「陽電子放射断層撮影検査(PET)事業」、「脳ドック事業」、「みやき町歯と口腔の健康づくり推進条例」に基づき、歯科医師会と連携しながら住民の「歯とお口」の健康づくりに努め、「20歳歯科検診事業」を行っております。
女性活動支援・町民協働支援は、各地区に「いきいき女性クラブ地区推進員」を設置し、女性同士の交流の場を多く持っていただけるように推進を行っています。町民協働による子育て支援を行う各団体等に支援を行い、また、伝統文化・芸能の保存及び活性化のための支援も行っています。
教育支援では、教育環境の充実として、育英資金貸付基金の創設をはじめ、生徒の学力向上、生徒指導、不登校対策の充実を図るため、「特別支援学級の支援員」、「教諭補助員」、相談事業として「スクールカウンセラー事業」、さらにICT授業を行うにあたり「サポート支援員」の配置を行っています。また、NPO法人に委託して「いじめ体罰の人権教育」を行うと共に、世界のアスリートによる「夢先生教室」を実施するなど、官民と連携して子育て施策を展開しています。ハード面では、町内小中学校すべての教室に電子黒板を導入し、児童生徒用タブレット端末・学習システムを導入し、ICT教育の実施や、普通教室の全室と特別教室に冷暖房施設を整備する等教育環境に努めています。
町内小中学校に電子黒板を導入
タブレット端末で学習する児童生徒達
世界のアスリートによる「夢先生教室」
安全安心まちづくり支援では、安全安心まちづくり町民会議による「防犯パトロール活動」及び「生徒児童の通学時の子ども安全パトロール」を行い、犯罪抑止・DV対策などを行うことにしています。また、ボランティア活動として、登下校時のサポーター隊(約3,200名)による見守りを行い、安全・安心のまちづくりを目指しているところです。平成28年6月には「みやき町犯罪被害者等支援条例」を制定いたしました。
防災対策は、みやき町の防災の拠点ととらえて、防災センター・行政棟の建設を27年度・28年度で実施しております。町民を災害から守り、安全・安心なまちを目指しています。
みやき町は、平成24年度に策定した「定住総合対策基本計画」に基づき、「住宅支援事業」「子育て支援事業」など様々な取り組みを、民間と連携しながら着実に進めています。おかげさまでその翌年度から2年連続で「転入超過」を果たしており、人口減少に一定の効果が数値として表れてきています。また、年齢別でみても0歳から9歳までの人口が増加しており、町の「子育て支援施策」の効果が出てきていると考えています。
本町では、平成27年11月に長期的・継続的な人口減少に歯止めをかけ、将来に向け計画的なまちづくりを展望するための方向性を示すため「みやき町人口ビジョン」を策定し、人口動向や産業実態等を踏まえ、平成27~31年度(5ヵ年)の政策目標・施策をまとめた「みやき町総合戦略」を策定したところです。
今後は、今年度中に策定予定の「第2次みやき町総合計画」に基づき、社会インフラや公共施設の集約と再構築を図りながら、コンパクトなまちづくりを推進し、既にある公共施設を核とした学校教育施設の誘致やPFI方式による住環境の整備を目的としたユニバーサルタウン構想、子どもから高齢者まですべての人の「心と体が健幸で元気に暮らせるまち」を構築するため、統合医療を中心とした地域予防医療の拠点整備を推進することを目的としたメディカルコミュニティセンター構想、並行してこの施設を核とした移住者の雇用確保を目的とした農業の6次産業化支援事業や健康施策を複合的に展開し、みやき町版CCRC「生涯活躍のまち」を形成することで、本町の資源を最大限に活用しながら、定住人口や交流人口を増加させる取組みを加速していきたいと思っているところです。
今後の課題としては、これまで培ってきた公民連携のノウハウをあらゆる分野でいかに活用・発展させることが出来るかどうかが、前述各プロジェクトの成功の鍵を握っていると考えているところです。