東白川村の寒陽気山を源にする佐広川
岐阜県東白川村
2951号(2016年2月22日) 東白川村役場 総務課
東白川村は、岐阜県の中東部に位置し、東西16キロメートル、南北11キロメートルの広がりをもち、面積は8,709ヘクタールで、その内92%が山林です。
村の中央を一級河川「白川」が東西に流れ、周囲を1,000メートル前後の山々に囲まれた山地で、住居は標高260メートルから600メートルに点在しています。
人口は、昭和25年には5,100人程ありましたが、都市への急激な流出により、現在は2,500人と少なくなり、高齢化が進んでいます。
明治22年に神土村、越原村、五加村が合併して東白川村が誕生し、それ以来、合併も分散もなく126年になります。
明治3年の「廃仏毀釈」によって、お寺は廃寺となり、仏具経典は焼き払われ、全て神式に改められ、以来今日までお寺のない村として、特異な存在になっています。
空気のきれいな山あいで丹精こめて育てた夏秋トマトの生産や、それを原料としたトマトジュース「とまとのまんま」は評判です。
また、香り高い「白川茶」の栽培も盛んでペットボトルにしての販売もしています。
未確認動物「つちのこ」の目撃情報が村内に多くあり、平成元年から、つちのこを捜索する「つちのこフェスタ」をゴールデンウイークの5月3日に行い、「つちのこ」を捕獲した場合には100万円の賞金で始まり毎年1万円キャリーオーバーされ、 昨年は126万円の賞金額で開催されました。県外からも多くの人が参加され、賑わっています。
香り高い「白川茶」の茶摘み
農林家の多くは住宅柱材として使用される東濃ヒノキを育林して生計を立ててきましたが、木材価格の下落により、東白川村森林組合の木材市場での平均価格も平成元年で、立方メートル当り10万8,000円だったものが、平成21年には、2万1,000円へと大きく下がり、林業経営の意欲も薄れています。
木造建築においては、大手住宅メーカーは激安価格により売上を伸ばし、村の工務店は、平成12年には14社で40棟10億円、平成21年には11社で14棟4.6億円と売上が減少し、村民の所得が減少してしまいました。
東白川村森林組合では、山林所有者に呼掛け、世界基準である森林認証(FSC)を取得しました。
認証の取得によって生産地が特定できるため、東濃ヒノキの銘柄として新規市場への参加や、シェアの維持を目指しました。
また、FSC認証のマークを製品に付けて販売するためには、流通や加工に携わる業者も認証を受ける必要があり、村内の製材工場や加工工場も認証(CoC認証)を取得しました。
世界基準の森林認証を取得「FSCの森」
森林資源を利用した住宅建築を村の主産業としてきた当村の場合、住宅建築の減少は所得の低下を招いたため、総務省委託事業「地域ICT利活用モデル構築事業」の採択を受けて、学識経験者や会社経営者などによる協議会を設置して、協議をいただき、国産材利用向上による地域経済振興事業として、インターネットを利用しての木造建築住宅の受注を目指しました。
その内容は、東白川の木材を利用した家づくりの広報、ウェブ上での間取りが描け、住宅価格が把握できるシステム、村内の工務店間で価格競争が生まれる仕組み、消費者のニーズに応える建築士との協力です。
建築希望のお客様にはフォレスタイルの担当者がお会いして、事業の内容や、進め方などを説明、ご理解をいただければ、建築士や工務店との面談のセッティングや設計コンペも行います。
ウェブサイトの利用により、ポイントが貯まり、契約金額に応じた加算分と合算し、村内特産品と交換しています。
更に1棟分の全柱材のプレゼントの特典を付けて、振興を図っています。
平成25年度の受注件数は、29件7億300万円まで回復しましたが、平成26年度は消費税増税もあり、受注は減少しました。
ICTを活用したこの取り組みが、第3回全国村長サミットでの「村オブザイヤー」の受賞、総務省の「地域情報化大賞」の受賞、テレビでの放送等により全国から多くの問い合わせがあり、村の工務店とフォレスタイル事業の担当者が説明に伺うなど、更なる契約の向上を目指して努力しています。
「ICT利活用モデル構築事業」の施行事例
地域の活性を図るため、地域おこし協力隊を、平成25年度に初めて2人採用し、フォレスタイル事業や空家対策事業、地域活性化事業に係わっていただいています。
2人の協力隊員は、村に直ぐに馴染み、地域のイベントやサークル活動、歌舞伎の役者等に積極的に参加し、活性化に貢献しています。
平成27年度は10月に新たに3人を採用し、特産品の開発、村内産品の販路拡大、官民協働の地域委員会など幅広く活躍していただく予定です。
今後とも、東白川村の活性化に向け、関係団体等と連携を図り、推進してまいります。
地域おこし協力隊も歌舞伎役者で参加