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北海道白糠町/足元を見つめ直し、未来あるまちづくりを目指す

印刷用ページを表示する 掲載日:2016年2月15日
岬の森東山公園からの眺望の様子の写真

岬の森東山公園からの眺望


北海道白糠町

2950号(2016年2月15日)  白糠町 地域おこし協力隊 根津 真枝


1 白糠町の沿革

白糠町は北海道の東部に位置しています。南は太平洋に面し、北は阿寒富士の麓まで広がる東西39㎞、南北51㎞、総面積は773.75平方㎞、広い北海道の中でも比較的大きな町です。

阿寒富士を頂点として山と丘陵が連なり、起伏の多い傾斜線から沿岸に平野状となっており、茶路川、庶路川、和天別川の河川沿いに白糠、庶路、西庶路の市街地が形成されています。

本町は安政の初期(1850年代)に、道内初の炭坑が開坑された地で、石炭産業が最盛期の時(昭和35年)には人口2万人を超えておりましたが、石炭産業の衰退後、時代の流れとともに人口の減少が続き、現在は約8,500人となっております。

本町では基幹産業である農林漁業の一次産業なくしてはこの町の発展はない、守るところは守りながら、新たなことにチャレンジをするという思いのもと、「原点に立ち返り、足元を見つめ、耕し直す」というコンセプトで未来あるまちづくりを目指し、さまざまな取り組みを進めております。

2 林業、林産業の取り組み

本町では「山づくりの原点に戻り、循環型の林業・林産業の再興に努め、木を植える。」ことを行動目標として施策を進めております。

早生樹の調査研究を進める中で、地域資源のひとつであるヤナギに注目し、「ヤナギ100ha栽培作戦inしらぬか」事業と連動させ、植栽面積を広めながら、関係機関と連携し、ヤナギの利活用を民間企業によるシイタケをはじめとしたキノコの菌床栽培などの新産業と雇用の創出という形で具現化を目指しております。道産木材に着目した木材加工や建材などへの積極的な利用も計画しているところです。

植栽事業の様子の写真

企業と連携した植栽事業も定期的に実施

3 漁業・農業の特産品

水産物・水産加工品

北海道太平洋沖の暖流と寒流が交わる絶好の漁場にある白糠では1年を通じて様々な海産物がとれることから、水産物や水産加工品の種類がとても豊富です。特にししゃもや鮭、柳だこ、毛がには、築地市場をはじめとし、全国から引き合いがあります。

毛がに

北海道と言えば「毛がに」というくらい、毛がには有名ですが、北海道産と一括りにされていることがほとんどで、実際に産地にまでこだわって食べている人はまだ少ないというのが実状ではないでしょうか。

白糠の毛がにはその大きさに特徴があります。一般的に大きいと言われるもので500~600gですが、白糠のものは平均で800gあります。白糠漁協の毛がにかご部会では独自のルールを定めており、船上での選別で、甲羅の縦の長さが10センチ以下のものは海に戻しているため、大きなものだけが水揚げされています。これを長く続けてきたことで「特大毛がに」が白糠特有のブランドとして認められるようになってきました。

資源保護のためのルールを徹底した結果、他地域にはないブランド品を生み出したというわけです。

特大毛がにの写真

白糠特有の「特大毛がに」

柳だこ

ミズダコに比べるとかなり小ぶりな「柳だこ」も近年、その味の良さから注目度が上がっており、北海道土産として人気のおかきの原料として採用されたり、これを使ったご当地グルメ「白糠タコつぶステーキ丼」の開発にも至りました。

柳だこはほかの地域でもとれますが、身の水分量などの違いから用途別にオスとメスを分けて卸しているのは本町だけです。

白糠タコつぶステーキ丼の写真

ご当地グルメ「白糠タコつぶステーキ丼」

浜のかあさんの手作り珍味

漁協女性部が本来市場には出回らない魚や捨てられてしまう資源に目をつけ、手作りの珍味の開発販売も積極的に行なっています。町内のふたつの川に遡上するししゃもの採卵後の魚体を加工した「黒上ししゃも」や地元では「ガンズ」と呼ばれるウナギのように長い白身魚ヌイメガジを3種の味付けで炙った「炙りがんちゃん」など、ネーミングと味にこだわった商品などを次々と開発しています。

手作り珍味の写真

漁協女性部開発の手作り珍味

エゾシカ肉

本町はエゾシカの越冬地であることからその数が多く、農業被害額も釧路地域だけでも14億に上ります。農業被害を防ぐために、北海道ではエゾシカの有効活用を勧めています。

近年、ヨーロッパのジビエ(野生鳥獣肉)が日本にも広く普及したことで、白糠産のエゾシカが全国的に注目されています。

白糠では道内でも早い時期から地元のハンターが自ら撃った鹿肉を解体、加工し、販売をしています。また、ジビエを提供する道内外の有名レストランのシェフ自らが白糠のハンターのもとを訪れ、一緒に狩りをして自分のお店で提供するというケースも増えてきています。

栄養的にも高たんぱく、低カロリー、高鉄分と評価が高く、昔は「固い、臭い」と毛嫌いする人も多かった鹿肉も現在は「ヘルシーで美味しい」ものとして認められ始めたことも人気の要因だと思います。

また、このエゾシカの加工食品を製造販売する企業も2013年4月より町内の工業団地に工場を構え、稼働しております。

エゾジカ肉の写真

栄養的にも評価が高いエゾジカ肉

羊肉

本町には2軒のめん羊牧場があります。海からのミネラルを豊富に含んだ風が吹く丘陵で放牧するサフォーク羊はその肉質の良さが高く評価され、洞爺湖サミットの晩さん会で採用されたほどです。

羊肉というとジンギスカンを想像しますが、白糠のラム肉はその味を存分に楽しんでほしいという全国のシェフから引き合いがあり、コースやアラカルトメニューの材料として使われることが多いのも納得の話です。

この9月には1軒の牧場が自ら育てた羊と地元食材を使った料理を提供するファームレストランをオープンし、町内外の方に白糠の食材を楽しんでいただける施設が増えたことが地元にとってのうれしいニュースとなりました。オープン後の集客も順調に伸びております。

チーズ

農業改良普及員として白糠に勤務していた現在の代表と地元の酪農家が立ち上げたチーズ工房ではイタリアの技術を踏襲したチーズ作りを続けています。イタリアのチーズは食材として料理に使うものが中心。白糠の美味しい食材と合わせて調理してほしいと、さまざまな料理を地元のイベントでも提供しています。

チーズの写真

イタリアの技術を踏襲して作られたチーズ

シソ

本町の特産品として全国的に有名なのは「しそ焼酎 鍛高譚(たんたかたん)」でありますが、焼酎の名前は知られていても「鍛高(たんたか)」というのが白糠の地名であることはほとんど知られておりません。

この焼酎のヒットをきっかけに町内ではシソに注目し、様々な商品を開発してきました。道の駅で販売している赤シソと青シソを使用した「鍛高ラムネ」も平成19年の発売以来、安定した売り上げとなっています。このほかにもしそ醤油やドレッシングなども定番の商品となっています。

そんな中、白糠のシソに着目した室蘭工業大学の研究チームにより、青ちりめんシソの成分が抗アルツハイマー剤として有用であるという可能性を見出し、再び本町のシソが注目されるきっかけとなりました。これをきっかけに本町は今年度、室蘭工業大学と包括連携協定を結びました。連携項目は地域づくりの推進や産業振興、環境保全など多岐にわたり、町としては1次産業の再興、健康づくり、教育面で室蘭工業大学のノウハウを生かしたいと考えているところです。

町内ではこうした食材をふんだんに使った料理教室なども多く開催しており、子供たちにとっても小さなころから本物の味に接することができるのは実に贅沢な食育であり、恵まれた環境だと思います。

4 道東道白糠インターチェンジの開通

平成27年3月29日に北海道横断自動車道の道東の玄関口として白糠インターチェンジが開通いたしました。これにより道央圏との連絡が約20分の短縮となり、白糠―札幌間は4時間を切ることになりました。

開通日には開通式典と同時に高速道路上での開通記念ロードレースを開催し、1,000名を超える出場者が参加して開通を盛り上げました。

この開通によって物流の面でも利便性が高くなったことから、今後の釧路地域への企業進出が期待できるとともに、本町においても他地域との交流人口の増加を目指し、行政と経済・産業団体の「オール白糠」で白糠の魅力を発信する「ウェルカム道東道白糠プロジェクト実行委員会」が中心となり、歓迎看板の設置、PRパンフレットの作成、ご当地グルメの開発など、魅力あるまちづくりのための取り組みを進めております。

ご当地グルメについては「白糠タコつぶステーキ丼」を開発し、町内の飲食店3店舗で提供しておりますが、3月末のスタートから8月末までに1万食を販売という好調な売れ行きとなっております。アンケート調査の結果、町外からもたくさんの方がこのメニューを目指して来町されているということがわかります。

道東全体を見てもゴールデンウィークや連休などの道の駅や施設の入込客数は概ね2割増しとなっており、インターチェンジの開通によって道東が近くなったという感覚を持っていただけているのではないかと思います。

また、今年度中には阿寒インターチェンジと町内の庶路地区にもインターチェンジが開通する予定で、さらに利用者が増加すると見込まれており、「立ち寄りたい町」として意識されるような魅力を増やすべく努力をしているところです。

ロードレースの様子の写真

シーズン最初のレースとして人気のあるロードレース

5 最後に

私は2011年5月に地域おこし協力隊として札幌市より移住いたしました。「よそ者の目から見た町の魅力を情報発信する」ということで町の様々な活動に携わらせていただき、ブログやフェイスブックで情報発信をしております。総務省の制度としては3年が限度ですが、その期間を満了して、現在も特別職として継続していただいております。移住定住を目的とした地域おこし協力隊という制度でも、私のように同じ立場で使っていただけるというケースはとってもめずらしいと思います。実は本町で起業して成功している方は町外の方が多いのです。

これは町の方々の理解と受け入れの姿勢があっての結果です。

これまで、町の資源はあって当たり前と思っていた町の方々も、インターチェンジの開通により徐々に町の名が知られ、町のさまざまなものが注目されるようになったことで、その意識も変わりつつあると感じています。

豊富な自然があり、産業があり、町の発展を目指す人がたくさんいる。人口減少の傾向は未だ続いてはおりますが、様々な分野で活動し続けているということを考えれば、本町にはまだまだたくさんの可能性があり、それを実現できる力も秘めていると思います。小さな町ではありますが、白糠町の持てる大きな力を今後もますます広めていきたいと思います。