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岐阜県揖斐川町/マラソンからはじまった地域づくり 2015大会は、ネットエントリーが22分で締切りに!

印刷用ページを表示する 掲載日:2014年10月5日
いびがわマラソンのまちの写真

いびがわマラソンのまち「全国ランニング100撰18年連続選出(最多)」


岐阜県揖斐川町

2935号(2014年10月5日)  揖斐川町教育委員会 スポーツ振興課


揖斐川町の概要

揖斐川町は、岐阜県の最西部に位置し、北は福井県、西は滋賀県に接しています。面積は803.44k㎡で、東西方向約20㎞、南北方向約35㎞、南北に長い形をしています。 総面積のうち、森林が91.1%を占め、標高1,100~1,300m前後の山々がそびえ、山間を縫うように揖斐川やその支流、根尾川、粕川などが流れています。 平坦部の夏は高温多湿ですが、山間部の冬は厳しく、積雪量が1mを超える地域もあります。

町の中央を流れる揖斐川は、福井県との県境に位置する冠山に源を発し、山間渓谷を貫き、肥沃な濃尾平野を流れ、伊勢湾に注ぎます。 この地に住む人は昔から川の恵みを享受し、時には水害に苦しめられ、川とともに暮らしてきました。この揖斐川をせき止めて建設されたのが、日本一の総貯水容量を誇る徳山ダムです。 その貯水量は浜名湖の約2倍の6億6,000立方メートルで、ダム堤頂の長さは新幹線「のぞみ号」の16車両(400m)を超える427mあり、新たな観光資源としても注目されています。 

谷汲山華厳寺は「谷汲さん」の愛称で親しまれ、「西国三十三ヵ所巡礼」の第三十三番札所で結願の寺として多くの参拝客が訪れます。  

そして、最近注目をあびるスポットとして、さざれ石公園があります。「君が代」に詠まれるさざれ石が奉られ、国歌発祥の地としても名高く、 パワースポットとしても人気を得ています。 

揖斐川町は平成の合併時に近隣の一町五村が合併し、新揖斐川町が誕生、本年で「合併十周年」を迎えました。

いびがわマラソンのはじまりと歴史

バブル景気に沸いていた昭和の終わり頃、 全国各地で地域おこしのイベントが盛んに生まれていました。「揖斐川で何かをしたい」「揖斐の名前を広めたい」「町を元気にしたい」という町の思惑にぴったりだったのが、マラソン大会でした。 

陸連の公認コースを得るために、50mのワイヤーメジャーを使って、全コースを歩いて計測するという地道な作業が続きました。今ほどマラソンがメジャーでなかったこともあり、 準備を進めながらも不安が募りました。高低差127mという厳しいコースに、「ランナーは集まるのか?」「給水は?」「スポンサーは?」手さぐりで準備を進め、1988年11月、 3,392名のランナーと800名のボランティアが集まり、東海地区最大のフルマラソン大会の幕が開きました。今では名前を知られる大会になった「いびがわマラソン」も、 これまでの道のりは平坦ではありませんでした。歴史を振り返りながらご紹介いたします。 

いびがわマラソンの魅力は、美しい自然の中を駆け抜けるという点ですが、その反面、自然災害とも隣合わせです。第2回大会では大会2ヵ月前に大雨で道が抜け落ちて、 コースが寸断されました。中止が検討される中、地元の皆さんが、なんとかランナーを迎えたいと仮設の橋を架けたのです。命がけの突貫工事だったことでしょう。パトカーで仮設の橋を渡ってもらい、 警察から許可を得ました。  

マラソンは屋外での競技のため、天候にも左右されます。第3回大会は雷に大雨でコースはぐちゃぐちゃになりました。ランナーはもちろん、 1,000名のボランティアみんながびしょぬれで寒さに震えました。27回の大会開催の内、雨の大会は7回でしたがランナーにとっては自然の厳しさを味わったり、 ボランティアの皆さんへの感謝の気持ちが深まったりと、第3回大会はいつまでも心に残る大会になりました。 

架け橋の写真

立派な架け橋で、なんとか大会が開催できる

ランナーのエントリー数は、時代背景とも重なります。10回(1997年)大会まではランニングブームもありどんどん増えていき、9,000人を超えました。しかしその後、 景気の下降とともに毎年1割以上ランナーが減り続け、18回(2005年)大会には5,500人となりました。当時はランナー数の減少で、全国の多くの主催者が大会を打ち切るようになっていきました。 そんな厳しい状況の中、事務局では「いびがわ」は何がダメで何が足りないのかを探るため、ランナーに人気のある大会に出向き見て歩きました。ランナーに人気の大会は、県や大きな都市が主催となり、 メイン会場はドームや陸上競技場、そしてコースは広い道路を使っていて、ため息がでるほど立派でした。 しかしいいなと思う半面、「いびがわ」も運営面やサービス面では負けていないのでは…と思い始めました。視察に行けば行くほど、 自分たちの町にしかない良さを一つずつ噛みしめることが出来たのです。「美しい自然と温かい心」、これがいびがわらしさだと実感しました。また、 ランナーの皆さんと直接話をすることで「ランナーの気持ちになる」という根っこの部分にたどりつきました。この2つに気づくことが出来た私たちはやるべきことが明確になり、 次の一歩が踏み出せたのです。 

エントリー数の推移のグラフ画像

いびがわマラソンらしさを求めて

①地域資源を活かして

「民泊や地区公民館でおもてなし」

宿泊所が少ないので民泊の輪を広め、全国のランナーを迎え入れよう。地域の公民館を解放しよう。大会当日の朝は地域のお母さんらが、完走祈おにぎりを作ってランナーを送り出します。 

「4つのお楽しみバス」

大会当日、ランナーだけでなく、大勢の皆さんに揖斐川町を満喫してほしい。応援にきた家族や仲間も楽しんでほしいという思いから、会場から町の観光名所へ無料バスを運行。 また、ランナーを直接応援したいとの声から、フルマラソンの中間地点へ応援バスを5台運行しました。山の中を走るランナーは苦しい場所で大きな声援をうけ、後半も頑張れると人気です。 

いび茶とみそスープ」

山の中は走っていると寒いとの声から、地元の名産を使ったあたたかいものを提供するエイドを用意しました。ホッとステーションでは、美味しいいび茶を、 そしておっかさんステーションでは、地元の手作り味噌を使ったみそスープを。いずれも大人気で、その場所にたどり着くことを目標にするランナーもいます。 

みそスープを配布している写真

あったかいみそスープは、体も心も温まります!

②ランナーの思いにたって

「マラソンバスGOGO!」

アクセスが悪い面を考慮し、名古屋駅や三重、福井といったランナーの街から、会場までの直行バスを運行。渋滞に悩まされたり、疲れた体で運転したりしなくても楽々です。 会場の中では、バスが更衣室と荷物預かりも兼ねていて、混み合った会場でのストレスもなく、何より安心です。今では大型バス14台、600人を超える方が利用されています。 

「選べる記念品」

参加賞は決まったものという概念を取り払い、Tシャツ・ラングッズ・特産品から選ぶことができます。このほかにも、記念品なしで500円引きというサービスも用意しました。 

「お茶目大賞」

仮装して走りたいという声から、お茶目大賞と題してランナーを募集。自分が楽しむだけでなく、沿道で応援する人を楽しませた方を表彰します。毎年、大勢の方が参加し、 子どもたちや地域の方の応援する楽しみにもなっています。 

「金コーチのマラソン教室」

初心者の方でもいびがわマラソンに参加できるよう応援し、マラソンの輪を広めてほしいという思いから、全5回の教室を開催。 4つのレベル別に市民マラソンの名コーチ金哲彦さんにプロデュースをお願いしました。100名限定の教室は、申込み開始直後に定員に達するほど人気です。 

「町じゅうをあげての応援」

走っている時のランナーは、自身との戦いでとっても孤独です。だからこそ、沿道の応援が身に沁みます。いびがわ大応援団を募集。 よさこい踊り・ブラスバンド・和太鼓、沿道では、園児や小中学生が、ランナーにパワーをおくるため、アイデア応援を繰り広げます。また、あちこちに現れる私設エイドもお楽しみです。 

③町をひとつに

ランナーの思いに立った企画を進めるとともに、運営側の気持ちも一つにしたいと願いました。第19回(2006年)大会からは、 大会長である町長が「おもてなしの心で」という言葉を随所に用いて、親戚の人を迎え入れるような思いで、全国の人をお迎えしましょうと呼びかけました。 大会を支えるボランティア1,800名に声をかけ、大会一週間前に一堂に会する場を設けています。その年の新しい企画の紹介、安全対策、運営面のお願いなど、 大会当日誰もが気持ちよく参加できるための大切な打ちあわせに加え、もてなす側の気持ちを一つにするねらいがこめられています。心を一つに、町を一つにする大切な時間です。 

ハイタッチしている写真

ハイタッチは、いびがわの名物に

マラソンが生み出す効果

「子どもたちの郷土愛を育む」

いびがわマラソンは、子どもたちにとっても年に一度の大切な日です。いびがわマラソンを通じて、町の一員として全国のランナーをもてなし、 大会をささえ、創り上げていきます。子どもたちは、事前にマラソンの歴史やランナーの思いを学んだり、ボランティアとして活躍する人の声を聞いたりして大会を迎えます。 

そして、一人ひとりが精一杯ランナーをもてなします。大会後にはランナーから寄せられる声を受け、ランナーへお手紙や絵を寄せます。その手紙や絵は、 完走証とともにランナーへ届けます。心と心のキャッチボールと題したこの企画は、マラソンを通じて子どもとランナーの繋がりを深めていきます。マラソンを自分たちの宝物、 町の自慢として誇らしげに話してもらいたいと願っています。  

いびがわマラソン冊子の画像

冊子には、子どもの声がいっぱい

「道徳の副読本に」

平成24年春、東京の出版社発行の「道徳の副読本」で、いびがわマラソンの話が8ページにわたり掲載されました。

内容は、いびがわマラソン事務局に職場体験にやってきた子どもたちが、町の人がみんなで、作りあげていることを知り、大会に誇りを感じ「町の宝物」に気付くというものです。 これは実際の話で、いびがわの宝物をこれからも引き継いでいってほしいものです。 

道徳の本に掲載「ぼくらの町のマラソン大会」の画像

道徳の本に掲載「ぼくらの町のマラソン大会」

「恋もマラソンもゴールをめざせ!ラン婚」

全国から大勢のランナーが集まるマラソンと町の婚活事業がコラボした企画が「ランニング&婚活」、ラン婚です。全7回にわたるラン婚は、毎回金コーチのマラソン教室と同時開催し、 トレーニングを終えた後に対象者が残り、婚活事業が催されます。参加者は、マラソンでゴールをめざすという同じ目標に向かうこともあり、話も進み距離も縮まっていきます。 今年で3年目を迎えますが成果も上々で、毎回抽選になるほどの人気を得ています。 

「揖斐川町を応援、ふるさと納税」

マラソンがもたらした新たな効果として、ふるさと納税による町への寄附金があります。町の一番の自慢を体感してもらいたいと十万円を寄附された方に出走権をお渡ししています。 想定より大勢の方にお申込みをいただき、感謝しています。

姉妹マラソン「セントジョージマラソン」

第2回大会から、アメリカユタ州、セントジョージマラソンと交流をしています。それぞれの優秀選手を招待すると共に、毎年、中学生が派遣団を結成し、現地をおとずれ、 両国の文化や風土について理解し合い、国際感覚をみがいています。

これからの地域づくり

マラソンは、岐阜の小さな町にひとつのきっかけを作りました。それは、いびがわという名前を全国に発信したこと、そして町の人が自分たちの町の自慢をみつけたことです。 そして、その一歩は、地域資源を活かして、名物を作り、観光地へ人を運び、婚活やふるさと納税で、他の土地から揖斐川町への人の動きを生みだしました。 揖斐川町は、高齢化率34.5%、子どもの数も減っています。また、山間部を中心に深刻な過疎化も進んでおり、多くの課題も抱えています。 

年に一度のマラソンを活かして、全国のランナーとの繋がりを深め、元気で温かい揖斐川町を第2の故郷と思ってもらえるよう、次の2歩3歩を踏み出していきます。 おもてなしのノウハウや、町がひとつになる一体感を知っている町の人だからこそ、できることは広がっています。町の中でふつふつと湧いてきている動きを広げていきたいものです。 過疎化で人は減っていきますが、町を元気にしたいと思っている人をどんどん増やし、いわゆる活動人口をふやして生きがいのある地域づくりを進めていきます。