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鳥取県三朝町/心と身体を 清め、癒してくれる「日本遺産」のまち

印刷用ページを表示する 掲載日:2015年7月13日
三朝温泉街の写真

三徳川ほとりに立ち並ぶ三朝温泉街


鳥取県三朝町

2926号(2015年7月13日)   三朝町長 吉田秀光


三朝町の概要

「三朝町」は、鳥取県のほぼ中央部に位置し、東西24㎞、南北19㎞で、総面積は233.52k㎡。総面積の約90%を山林原野が占め、町内には一級河川天神川と、 その支流となる3本の谷筋に沿って64の集落が点在している、昭和28年に誕生した人口約7千人の町です。 

町の主な産業は、「観光業」と「農林業」で、観光では、世界屈指のラジウム含有量を誇る「三朝温泉」があり、年間約40万人の宿泊客があります。 

また町内には、昨年、国立公園に編入された国宝投入堂を有する修験山の「三徳山」があり、この両地域は今年4月、日本で初めての「日本遺産」に認定されたことから、 今後の観光振興に大きな期待を寄せています。

三日目の朝には病が消える温泉

三朝温泉の起源は、今から850年前の平安時代後期、平治の乱で敗れた源氏の家来・大久保左馬之祐という武将が三徳山へ源氏復興祈願に訪れた際、 白い狼の導きで温泉を発見したという「白狼伝説」に由来しています。

そして、この発見から三朝温泉は長い歴史の中で「湯治場」として栄え、大正5年、高温泉ではラジウム含有量が日本一であることがわかり、 世界屈指のラジウム温泉として脚光を浴び、「不老長寿の湯」とも呼ばれながら、多くの人々に親しまれてきました。 

このことから、現在の「三朝(みささ)」という町名も、その温泉の効能を表したとする説が有力視されており、「お湯に浸かれば、 三日目の朝には病が消えることから三朝と名付けられた」と考えられています。  

湯治イラスト

湯治イラスト

三拍子揃った温泉

現在、温泉街には約80か所の源泉があり、それぞれの源泉では、40℃から70℃までの温泉が毎日、こんこんと湧き出ています。 

そして温泉街は、街の中心を流れる三徳川を挟んで、両岸に25軒の旅館が立ち並び、温泉情緒あふれる街並みを形成しており、全ての旅館では、「源泉かけ流しの風呂」を有するほか、 各旅館では「オンドル」や「蒸気風呂」、「足湯」といったさまざまな温泉の活用を楽しんでいただくことができるようになっています。 

泉質は無色透明で、「吸ってよし、飲んでよし、浸かってよし」―と称されるように、飲泉もできることから、温泉街に点在する飲泉場では、持参の容器にお湯を汲んで持ち帰られる皆さんの姿も数多く見受けられます。

河原風呂の写真

三朝温泉のシンボル「河原風呂」

足湯の写真

温泉街で人気のある「足湯」

温泉街の写真

浴衣での散策が似合う風情ある温泉街

科学的に証明されつつある健康効果

古くから湯治場として栄え、さまざまな効果があるとされてきた三朝温泉ですが、これまで、そのメカニズムについては、完全に解明されていたわけではありませんでした。 

そんな中、平成21年には、三朝温泉の健康効果を科学的に証明するため、世界初となる「三朝ラドン効果研究施設」が温泉街に隣接する岡山大学病院三朝医療センター内に設置され、 岡山大学と日本原子力研究開発機構との共同研究によって、「三朝温泉のお湯が及ぼす健康効果」について、科学的な研究が進められてきました。 

現在、この研究では、その成果として「ラジウムが気化し、それによって発生するラドンガス(湯気)を吸い込むことにより抗酸化機能が高まり、アルコール性肝障害の緩和や糖尿病の症状の緩和、 炎症性や神経障害性の疼痛の緩和などに効果がある」ことが示唆されています。 

このことは、これまで経験的に身体に良いとされてきた三朝温泉の健康効果について、学術的な証明に向かうものであり、「不老長寿の湯」として栄えてきた三朝温泉にとっては、 今後の研究成果に大きな期待を寄せているところです。

今に甦る「現代湯治」

野口雨情、志賀直哉、与謝野晶子、斉藤茂吉、島崎藤村―など、豪華な顔ぶれの文豪達も、この三朝温泉へ「湯治」に訪れています。

そんな三朝温泉では現在、かつての湯治を現代風に甦らせ、心と身体を癒していただくことのできる「現代湯治」に取り組んでいます。 

現代湯治とは、温泉をとことん楽しんでいただきながら、健康を見つめ直していただく現代人に適した「新しい湯治」のスタイルで、温泉街にある医療機関と旅館が連携し、旅館に滞在しながら、 医療機関が行っている「熱気浴療法」や「鉱泥湿布」といった温泉療法を受けることができるほか、落ち着いた温泉街でゆっくりとした時間を過ごしていただくことによって、心と身体を癒していただくというものです。  

鉱泥湿布の写真

何十年も続けられている「鉱泥湿布」

国内唯一の「温泉療法」

国内では三朝温泉でしか行われていない温泉療法―。 

その一つが、三朝医療センターで行われている「ラドン熱気浴」療法です。同センターでは、神経痛やリウマチ、ぜんそくの患者さんへの治療にこの療法が利用されているほか、 三朝温泉に宿泊される一般のお客様でも、気軽に体験していただくことができるようになっています。 

この療法は、温泉で熱した室内に30分ほど入り、汗をかいて代謝を促進するもので、温泉に含まれるラジウムが気化してできる微量なラドン放射線を吸うことによって、体内の細胞が刺激を受け、 血液循環の改善や身体の痛みの軽減などといった「ホルミシス効果」と呼ばれる健康効果が得られるもので、このような療法が行われているのは、オーストリアの温泉地・バドガシュタインと三朝温泉だけであると言われています。  

一方、同センターでは、「鉱泥湿布」と呼ばれる治療も行われています。この療法は、温泉水を加えた粘土質の泥を釜で80℃まで温め、それを布で何重にも包み患部に湿布すると、30分程度で、 血流の増加により痛みの元となる物質や老廃物を排出する効果があると言われ、腰痛や関節痛のほか、気管支喘息などの呼吸器系、炎症系の疾患などにも効果が表れるとされています。昭和14年、 岡山医科大学三朝温泉療養所として発足した現在の三朝医療センターでは、昭和33年頃からすでに、これらの治療法が取り入れられており、長い間、療法が変わっていないことが、その効果を実証していると言えます。 

さらに、これらの療法は、体験者へのアンケート調査結果によると、 95%の体験者がその健康効果を感じたと答えられ、「痛みが軽くなった」「呼吸が楽になった」「足が軽くなり歩きやすくなった」などといった声が寄せられており、三朝温泉の泉質の良さを示すものとなっています。 

ラドン熱気浴の写真

三朝医療センター「ラドン熱気浴」

開湯850年

温泉が発見されてから850年という節目を迎えた三朝温泉では、さらに町を盛り上げていくため、全町的な取り組みとして平成25年度から27年度まで「開湯850年記念事業」に取り組み、温泉街の振興と再整備に向けてきました。 

ソフト面では、観光関係者だけでなく、町民が主体となって企画をまとめ、情報発信やイベント開催などに取り組んでいただきながら、全国の皆様に「その効能のために、 わざわざ足を運んでいただくことができる温泉地になること」を目指しています。 

この事業に取り組んできた成果としては、町民参画による取り組みであったことから、まちづくりに対する町民の意識が徐々に変わってきたことが挙げられます。  

850年記念事業のイベントとして取り組んだ「夏祭り」では、町民自らが花火を打ち上げる許可を取得し、十数名の町民からなる花火師が一か月以上にわたって毎晩、温泉街で花火を打ち上げるなど、 今後も町民を主体とした花火師を増やしていきながら、活気ある温泉街再生に向けた展開を目指しています。 

打上げ花火の写真

温泉街の夜を彩る「打上げ花火」 花火師は全員、町民

また、ハード面においても、昔から続く風情や景観を大切に守りながら、三朝温泉にお越しいただく皆様が、そぞろ歩きを楽しんでいただくことができるような、 手入れの行き届いた心地よい温泉地になることを目指し、周遊拠点となる観光案内施設や駐車場、公園施設等を整備したことによって、 郷土芸能の披露や農産物の販売等、施設を活用した町民による賑わい創出に向けた取り組みが始まっています。 

開湯850年記念事業ポスターの画像

心と身体を 清め、癒すまち

全国には、さまざまな特徴を持つ温泉地が数多くあります。 

本町の主産業である観光業はこれまで、三朝温泉を中心として発展してきましたが、全国の多くの温泉地の例に漏れず、人口減少や観光客の旅行形態の変化、価値観の多様化などに伴い、 宿泊者数が年々と減少してきたことなど、温泉地を取り巻く環境は大きく変化し続けています。 

本町では、先人のたゆまぬ努力と創意工夫によって発展してきた三朝温泉をはじめとする貴重な資源を、自信を持って後世に引き継いでいくためにも、 今こそ町全体が一丸となって町の発展に努力していかなければならないと考えています。  

先に認定された「日本遺産」では、これまで、本町の観光の両翼を担ってきた「三徳山と三朝温泉」が、その対象となりました。 

三徳山への参拝で六根(目・耳・鼻・舌・身・意)を清め、三朝温泉での現代湯治で六感(観・聴・香・味・触・心)を癒していただく町として、これまでの歴史が、 ここにしかない「貴重な宝」として認められたものだと考えています。 

今後も、これまでの取り組みに誇りを持ちながら、町民参画によるまちづくりをさらに進め、より多くの皆さまに愛していただくことのできる町となることを目指しますので、 ぜひ一度、「心と身体を 清め、癒すまち 三朝町」にお越しいただき、明日への活力となる本町の魅力を体験していただきますようお願いします。 

国宝投入堂の写真

三徳山のシンボル「国宝投入堂」