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岡山県久米南町/いいひと いっぱい 久米南町~小さなまちの定住対策~

印刷用ページを表示する 掲載日:2013年11月18日
日本棚田百選認定の棚田(北庄地区)の写真

「日本棚田百選認定の棚田(北庄地区)」


岡山県久米南町

2860号(2013年11月18日)  久米南町長 河島建一


町の概要

久米南町は岡山県のほぼ中央に位置し、県庁所在地の岡山市から北へ約40キロメートル、広域市町村圏の中核都市である津山市からは、南へ約20キロメートル、 町の中心部を南北に国道53号とJR津山線が通っています。 

昭和29年4月1日に弓削町、誕生寺村、龍山村、神目村の1町3村が合併して久米南町として誕生し、来年度に町制施行60周年を迎えます。 

古くから川柳によるまちづくりを行っており、全国的に「川柳のまち」と呼ばれています。主な産業は、米作を中心とする農業で、 おいしいお米をはじめ甘くて大粒のピオーネに代表されるブドウ、キュウリ、アスパラガス、ユズなど多くの農産物を生産しています。  

また、山間部では中山間地域特有の棚田やため池があり、「日本棚田百選」に「北庄」「上籾」の2カ所、また、北庄「神之渕池」が「ため池百選」に選ばれています。 

町全域に光ケーブル網を構築しており、高速通信によるインターネット環境を整備しています。

なぜ今定住促進なのか?

久米南町の人口は、昭和30年の国勢調査では10,671人をピークに、平成22年には5,296人と減少しました。また、人口問題研究所の発表によれば、2040年には3,197人という、 ピーク時に対して約3割程度の人口になるとの推計でした。 

また平成23年度の町内の出生者数も10人と過去最低の数字となり、平成24年の高齢化率は39.3%で県内2位となっています。そこで、平成24年4月1日に人口減少・少子高齢化対策として、 各課で行っていた定住施策を一本化するため定住対策に専門的に取り組む「定住促進課」を新設し、町外からの移住に関する相談への対応や空き家情報の収集・提供、 UターンIターン希望者に向けた町のPRなどの取り組みや企業誘致、まちづくりなどを主な業務として設置しました。 

昨年度は、定住相談の窓口を一本化したことや東京・大阪の定住相談会に積極的に参加したことにより、98組の方から移住相談を受けその内9組の定住につながりました。 その他にも、「若者定住促進住宅の建設」「移住体験ツアー」「定住促進プロジェクトチームの設置」など、各事業で町民や移住者と意見交換を中心としたワークショップを行い、 定住に対する意識の向上を図ってきました。  

移住体験ツアーの写真

移住体験ツアー

住民を交えたワークショップの写真

住民を交えたワークショップ

子育て世代が住みたいまちへ

子どもが極端に少なくなった事態への、本町の対策は、若者が住みやすい環境を整備することでした。今年度建設中の建物を含め、2か所11戸の若者向け住宅を整備しました。この住宅は、 設計段階で子育て世代を交えたワークショップを開催するなど、若者が住みやすいと感じてもらえるような設備や間取りで設計しました。また、 駐車場には電気自動車に対応できるコンセントを設置するなど環境に配慮した整備も行いました。 

さらに、家賃をおさえた町営の住宅に入居できなかった若者には、月額家賃の4割(上限15,000円)を交付する「民間賃貸住宅家賃助成事業」も施行しました。この制度は、 空き家改修の補助との相乗効果を生んでおり、今後さらなる空き家活用を期待しています。 

子育て世代を交えたワークショップの写真

子育て世代を交えたワークショップ

空き家確保のため

全国的な人口減少の動きは、新しい動きも生み出しました。減る人口に対して増える空き家。空き家を利用した制度が全国で行われる中、 本町も平成20年に「空き家・空き農地情報バンク制度」をスタートしました。しかし、登録物件数が少なく、移住相談があっても条件にあった物件を紹介することが出来ず、 相談に応じられないケースがありました。そこで今年度は、空き家の登録物件増加を目指し、町外にお住まいの方を対象に固定資産税の納付書に空き家の募集チラシを同封した結果、 3件だった物件数も6人の方から登録依頼があり、計9件に増加しました。 

また、空き家確保のため町広報紙で、町内に定住した方を紹介すると同時に空き家提供者の感想を掲載し、空き家を貸すメリットを町内の方へ伝え、空き家確保に努めています。 

空き家再生講演会の写真

空き家再生講演会

眠る資源「空き家」を活用

空き家バンク制度をスタートしたものの、利用が無い状態が続きました。そこで、空き家の活用を促進すべく平成22年に「空き家活用促進事業」を施行しました。 

「空き家活用促進事業」は、空き家の改修に係る補助対象経費総額の4割(上限額100万円)を交付します。利用実績は、平成22年度に1件、平成23年度に4件、平成24年度5件、 平成25年度10月現在で8件と制度活用者が増加しました。定住促進課発足以降は、多くの方に申請いただくこととなりました。 

また、移住者や地域住民の方からの声を受け、対象者の規定も「転入後1年未満」から「入居後1年未満」へ一部改正をしました。改正には2つの声がありました。 1つ目は移住者からの声で、生活して初めてわかる様々なことや新たな人間関係を得て、より魅力的な地域や空き家へ移り住みたいという、町内での移住に柔軟に対応するためです。 昨年あたりから町内移動や県内移動の相談が増加傾向にあります。時には空き家バンクに登録されていないが、新たな人間関係ができたことで空き家賃貸が成立するケースもありました。 2つ目は町民からの声で、町内には不動産業者が無く、賃貸物件数も多くないため、単身者や結婚を機に住む場所を探し、転出するケースがありました。町営の若者定住促進住宅以外でも、 補助金を利用できることで空き家を選択肢としてとらえてもらうためです。これにより、入れる定住だけでなく、出さない定住にも対応できる制度となりました。

空き店舗の活用へ

多くの移住相談を受ける中、本町の大きな課題は働く場所の確保です。本町は交通網に多少恵まれているため、町民の多くも町外で働いていますが、 町内での仕事を希望される方については、就農以外で見つけることは非常に難しいのが現状です。また、大企業や工場などの企業誘致も容易なことではありません。そこで、 個人や小規模企業の起業をサポートするため、平成24年度から「起業家支援制度」を制定しました。この制度は、空き店舗等の改修に係る補助対象経費総額の4割(上限額200万円)を交付します。 平成25年10月現在で3件の申請があり、移住者による民宿や農業等を通じた福祉事業等が開業し、町内の空き店舗が流動化することとなりました。今後も、田舎で起業したい方への誘引となればと考えています。

受け入れる地域へ

定住施策を進める上で浮上した課題は、いかにして行政と地域の協力体制をとるかということです。これは、 地域のしきたりやつきあいを重んじる小さな町にとって大きなテーマとなっています。行政のみで定住を進める場合、移住者と地域の距離が埋まるまでに時間がかかります。この距離を縮めている間は、 誤解や軋轢を生み易く、定住の妨げとなります。また、空き家の提供についても、行政のみの動きでは限界があり、地域との連携や協力体制をとることが重要となります。事実、 本町においても移住に関心が高い地域では、行政の関与が無くとも移住者を受け入れ、地域の方が声をかけ、移住者が地域の敬老会でパフォーマンスを行う等、移住後も地域との距離がスムーズに縮まっています

地域へ移住や空き家の理解を広めるため、空き家再生の講演会の開催をはじめとし、移住者が地域へ入ることのメリットを伝えて定住意識の向上に努めています。また、 今年度は町と地域とがより連携した移住対策の取り組みとして、定住モデル地域を選定し、移住者が相談時から地域と関わりを持ち、地域も移住者の顔がわかるように地域の定住窓口を設置し、 空き家紹介や引っ越し支援、移住後のサポートなども行う仕組みを構築しています。

その一環として、移住者の声を聞く「移住者座談会」を開催し、移住者の方から積極的に地域に出る必要があるとの声を聞くことができました。今後は、 移住者の方のニーズと地域の出来るサポートを調整し、町独自の定住相談のスタイルを構築していきます。

若者定住促進住宅「こうめ壱番館」の写真

若者定住促進住宅「こうめ壱番館」

移住者を交えた座談会の写真

移住者を交えた座談会

移住者を身近に

移住に対する先入観をなくすため、昨年度から広報紙に移住者インタビューコーナーを設け、実際に顔を知ってもらう活動を始めました。移住してきた方が、どのような仕事をして、 どのような地域活動に参加しているのかを紹介しています。この取材は、できるだけ移住後2~3ヶ月経過した方を中心に行うようにしています。役場のカウンターで近況を伺うだけでなく、 実際の生活を見ながら、困っていることや楽しいことを聞ける貴重な時間となっています。

いいひと いっぱい 久米南町

定住促進事業が本格化して来年度3年目を迎えます。1年目には行政が先頭に立ち定住促進を進め、2年目には地域と連携した取り組みを行い、 3年目は行政と地域が連携した町内全体での定住促進を目指していきます。小さな町の定住対策は、1人の移住者にどれだけ多くの人が関われるかが重要だと考えます。 第5次振興計画のキャッチコピーは「いいひと いっぱい 久米南町」です。人口減少・少子高齢化の問題に町内全体で取り組むことで、多くの「いいひと」がそれぞれの「いいところ」を持ち寄り、 人が人を繋ぐまちづくりを目指しています。