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千葉県東庄町/「歴史を活用した地域活性化・観光事業」の取り組み~「天保水滸伝」おらが町の物語~

印刷用ページを表示する 掲載日:2013年10月7日
みどり広がる水田地帯の写真

みどり広がる水田地帯


千葉県東庄町

2856号(2013年10月7日)  東庄町長 岩田利雄


町の概要

都心から車で東に向かい2時間ほど走ると、利根川の雄大な流れにたどり着きます。千葉県東庄町は利根川の下流域、関東平野の東端、 豊かな自然を有する水郷筑波国定公園内にあります。利根川の堤防に立てば360度、視界を遮るものはなく、初夏には水稲が緑のじゅうたんのように広がっています。

古くから「東」の荘園として稲作が盛んで、江戸時代には米作りと醤油の醸造、また、江戸への利根川水運の拠点のひとつとして、船荷の積降ろし、 荷物の集積所として栄えたと言われています。また、歴史と伝統が今も引き継がれ、20年に一度「東大社式年神幸祭」というお祭りがあり、荘厳な時代絵巻が繰り広げられます。

昭和30年神代村、笹川町、橘村、東城村の1町3村が合併した、東西9㎞、南北10.5㎞、面積46.16k㎡の豊かな自然に囲まれた町です。中央が東総台地の丘陵部で南部、 北部に傾斜して低地が広がり、中央の丘陵部は畑地帯、北部南部の低地は肥沃な水田となっています。

海に近いことから急激な天候の変化も少なく、年間平均気温は15度前後と温暖な土地柄です。この温暖な気候を生かした、イチゴの栽培が盛んで、 イチゴ狩りや大粒のイチゴ「アイベリー」も高い人気を集めています。

東大社式年神幸祭の写真

20年に一度開催される「東大社式年神幸祭」は、900年の歴史が息づく時代絵巻

地域活性化への取り組み

東庄町では、町を活性化する事業の推進を図ることを目的に、平成21年度から「地域活性化事業補助金制度」を実施しています。

この事業は、「町を元気にする」知恵とアイディアを募集するもので、地域の活性化に向けた起爆剤として利用してもらうことを目的としています。事業の内容は問わず、 住民代表で構成する審査会で審査され、認められると事業実施の補助金が交付されます。

年度別の事業費は、平成21年度は2事業で380万円、平成22年度は3事業で490万円、平成23年度は3事業で140万円、平成24年度は5事業で725万円の補助金を交付しており、 地域の活性化を図ってきました。

代表的な事業としては、広大な利根川河川敷を臨時飛行場として利用し「RC(ラジコン)航空ショー」を3回実施、いずれも2万人を超える集客事業となりました。

また、相撲が地域の祭事と一体になっている土地柄でもある関係から、8月の2週間にわたり大相撲力士の夏合宿を招致している団体の「出羽海部屋笹川夏合宿」が事業化になり、 相撲のまちをPRし、早朝の朝稽古にもかかわらず町内外から大勢の方々が見物に訪れています。他には、コンサートや東庄音頭を踊るぼんおどり会、よさこいオリジナル曲の作成など、 いろいろな事業に取り組んでいます。更に町の観光協会がこの補助金を活用して、観光ガイドブック「るるぶ東庄」を増刷し、各種イベントや行事において町の観光PRを行っています。 今後も知恵とアイディアを生かし、町を元気づける活性化事業を応援していきたいと考えています。

東庄音頭ぼんおどり会の写真

東庄音頭ぼんおどり会

大相撲夏合宿のひとこま(赤ちゃんの土俵入り)の写真

大相撲夏合宿のひとこま(赤ちゃんの土俵入り)

町の魅力を発信~観光ガイドブック「るるぶ特別編集 東庄」~

多くの自治体が東日本大震災以降、地域経済の低迷や多くの課題を抱え、益々厳しくなる財政の状況下で、とかく各自治体からの情報発信が難しくなってきているところですが、 東庄町では、平成23年度、緊急雇用創出事業を活用した「観光ガイドブック るるぶ特別編集 東庄」を作成しました。この観光ガイドブック作成事業は、わが町の魅力を、 近隣4市との広域観光の魅力と合わせて全国に発信したものです。そこには、近隣地域と一体にならなければ観光事業が成り立たないという小さな自治体の特徴も現れており、 短所を長所に変えるべく地域全体の観光振興をと作成しました。

この、町を含めた近隣の観光資源をガイドブックとしてまとめた「るるぶ特別編集 東庄」を発行し、 広く内外にPRしたことにより小さな町でも情報発信ができるという自信がつき、更なるPRに乗り出しました。

るるぶ特別編集 東庄の画像

るるぶ特別編集 東庄

「天保水滸伝NEO」の誕生から

浪曲、講談、映画などで大正時代から昭和40年代まで広く全国に知られた「天保水滸伝」は東庄町が舞台となっており登場する任侠の男たちの多くは、 この地方の村々に実在した若者たちであり幕末という混乱の時代を生きた物語です。

この物語を若い人にも知ってもらおうと、平成24年度の緊急雇用創出基金事業を活用し、天保水滸伝をアニメで制作し、千葉テレビにおいて放映する事業を実施しました。

しかし、アニメでこの天保水滸伝の物語の内容をすべて盛り込むことは収録時間の関係で困難であったため、 まったく新しい内容で「天保水滸伝NEO(ネオ)」というアニメを作成するとともに、アニメのキャラクターが町の見どころをレポートするという形で制作、 天保水滸伝と町の観光PRを一緒に千葉テレビで5回にわたり放映しました。そして、今年度は、東庄町商工会が、「浪曲や講談という伝統芸能に親しんでもらい、 町の歴史・観光として天保水滸伝を広く内外へPRしよう」と、「天保水滸伝浪曲・講談会」を町公民館大ホールで開催し、町内外から大勢の観客が来場しました。 この浪曲・講談会は地域活性化事業補助金を活用して実施しています。

アニメ 天保水滸伝NEOの画像

アニメ 天保水滸伝NEO

まちぐるみ観光おもてなし推進会議の発足

さて、観光ガイドブックの作成やアニメを使った観光PRなど、工夫を凝らしながら、町、観光協会、商工会、観光いちご組合、 農業団体等で協力しながら観光振興に取り組んできた結果、町民の間にもようやく観光客を迎えたいという意欲が芽生えてきましたが、 まだ観光客へのおもてなしについて具体的にどのように取り組むのが効果的なのか、知識が十分ではありません。

そこで、県の観光補助事業を利用して、観光客へのおもてなしについて造詣の深い専門家を招き、 町をあげて「おもてなし運動」を行うにあたっての留意点等について講演をしてもらい、具体的なアドバイスを受け、 官民一緒に町を検証する「観光おもてなし推進実行委員会」を発足させ、「まちぐるみおもてなし推進事業」を実施します。

これにより観光客を迎えるにあたっての「おもてなし」が向上することを目指し、また、観光PRの「仕掛け」として、 新しい観光ガイドブックにスマートフォンを使うことで動画が見られる新たな仕様により、話題性のある観光マップも作成中です。

観光ガイドブックの動画による効果で、観光客に旅館や飲食店等を身近に感じてもらい、心の触れ合いを大切にし、地元特産品を使った料理、お土産品の販売促進や、 これまでは素通りされていた町の中を歩いてもらうことで観光客の滞在時間を増やしたいと考えています。

この観光ガイドブックに動画が現れる新たな仕様により、 天保水滸伝のアニメ化を手掛けた次の展開も始まり「アニメ 天保水滸伝NEO」の活用方法として若年層に関心を持ってもらうチャンスだととらえ、 更には天保水滸伝のもう一方の舞台である旭市と連携し遺跡めぐりや、主人公の共有などを通して広域観光を推進していきます。

今後の展開としては、東庄町の「おもてなし力」を向上させるとともに様々な角度からサービスの向上や観光地ブランドを確立してリピーターを獲得し、 販売や商業ベースでの事業効果を上げたいと考えています。

観光事業に限らず、地域の活性化事業、様々なイベント等で「まちづくりは、地域で暮らす人々による支え会い」を念頭に町民と行政が力を合わせ一体でまちづくりを進めていきます。

“ツールドちば”ご一行様を「おもてなし」している写真1
無“ツールドちば”ご一行様を「おもてなし」している写真2

自転車で千葉県を周る“ツールドちば”ご一行様を「おもてなし」