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静岡県東伊豆町/豊かな自然と文化が調和するまち

印刷用ページを表示する 掲載日:2013年5月20日
雛のつるし飾りの様子の写真

雛のつるし飾り


静岡県東伊豆町

2840号(2013年5月20日)  東伊豆町長 太田 長八


豊かな自然と文化が調和するまち

東伊豆町は、富士箱根伊豆国立公園の一角である伊豆半島の東海岸に位置し、天城山系の山々と相模灘を望む風光明媚なまちです。鉄道でのアクセスは、首都圏から直通の特別急行で2時間程度であり、比較的に良好であるといえます。また、道路は海岸線を走る国道135号に加え、富士山や箱根の山々を一望できる 伊豆スカイライン、伊豆縦貫自動車道や国道414号などによるルートがあり、自然環境に恵まれた地域の中で爽やかな風を感じながら、心地よいドライブを楽しむことができます。

本町は、趣の異なる6つの温泉場を擁し、街中は湯煙が立ち上る豊富な温泉が売り物で、眼前に広がる伊豆七島を眺めながら浸かる温泉は格別なものがあります。伊勢海老やサザエ、天草などの海の幸と、柑橘類や山菜などの山の幸にも恵まれており、特に地域ブランドであるキンメダイは、古くから地元の祝い事を はじめ、郷土料理の食材として親しまれており、観光客にも好評を博しています。また、一方で雛のつるし飾りにみられるように伝統文化が息づいており、自然と文化の調和を図りながら、魅力あるまちづくりに取り組んでいます。

エコリゾートタウン東伊豆とは

現在、本町では、静岡県と共同で「エコリゾートタウン東伊豆」を進めています。これは、地球温暖化や自然保護などの「エコ」をバランスよく推進するとともに、グリーンツーリズムや着地型観光を活用し、その大切さやすばらしさを楽しく伝えていくものです。

本町は、海から山へと続く急峻な地形をしており、昔から水力発電などの自然エネルギーが活用されてきました。明治44年、稲取水力電気株式会社が 創立され、ドイツのシーメンス社製の発電機を使って412戸の家庭に718灯が点灯されたとの記録が残っており、取水口は町指定文化財として大切に保護されています。また、昭和2年からは、最大出力が2,900キロワットの民間事業者による水力発電所が稼動しています。

本町は、風況にも恵まれた地域であり、この自然のエネルギーを有効に活用すべく、平成15年12月から町営風力発電所を稼働し、定格出力600キロワットの風車3機により、一般的な家庭が1年間に消費する電力の1,100世帯分に当たる約400万キロワットアワーの電力を毎年発電しています。発電した電気は、全量を売電し、当初予算ベースで年間77,800千円の売電収入を得ており、一部は、町民が住宅用太陽光発電システムを設置する際の補助金として地域に還元しています。

クリーンエネルギーである風力発電ですが、騒音問題や常に安定した発電を供給することが困難といったデメリットがあります。しかし、発電に際し二酸化炭素を排出しないことや再生エネルギーの中では比較的コストパフォーマンスに優れているといったメリットがあり、他の発電方法と組み合わせて、電源のベストミックスを図ることが望まれます。

自然エネルギーの活用に加え、環境保全について啓蒙を図っていくことも重要であり、毎年夏休みには、環境教育の一環として風車見学会を15日間開催し、風車のしくみや地球温暖化について説明するとともに、風車の内部も公開しており、参加者にエコの大切さを伝えています。

また、全国的にもまだ珍しい温泉熱発電の設置や誘致に力を入れています。温泉の熱で沸点の低い液体を沸騰させタービンを回すこの発電は、湧き出た温泉を利用するため、源泉にも影響はなく、安定供給できるので現在期待されている発電方法の1つです。

このように水力、風力、太陽光、温泉熱など様々な自然エネルギーを1つの町で見学できるようにし、ガイド育成や新エネツアーなどの商品化を進め、楽しく環境教育ができるよう取り組んでいるところです。

さらに、町内児童への環境教育、電気自動車・急速充電器の購入・設置、風力発電施設の町内業者によるメンテナンス体制づくりに向けた調査研究など、まちぐるみで新たなエコシステムの構築を目指し、波及効果を図るチャレンジを続けています。

町営風車全景の写真

町営風車全景

風車見学会の様子の写真

風車見学会の様子

里山を守る-稲取細野高原-

「草原を燃やすというエコってご存知ですか?」これは平成20年に開催した全国草原シンポジウムin東伊豆のコンセプトです。ここで言う「エコ」は地球温暖化ではなく、山焼きを行って草原を維持することで、その環境に順応した生き物、そして、その生態系を守るというものです。

町内では稲取地区の山間部に広がる稲取細野高原を、百年以上前から山焼きで維持し、里山環境の保全に努めています。この高原は広さ125ヘクタールで、東京ドーム26個分、箱根千石原の7倍の広さを誇るススキの草原で、エリア内には、静岡県の天然記念物に指定された4つの湿原群が存在し、貴重な湿原植物が自生しており、山焼きを継続することでこれらの環境も守られてきました。また、草原を覆い尽くすススキは、家畜の飼料や畑の堆肥とするなど、昔から地域住民の生活とも切り離すことのできないものでした。

この雄大な地を多くの方にピーアールすることで、里山環境を保全することの大切さや自然と触れ合うことの素晴らしさを体感していただくため、一昨年よりススキ見学ツアーなどを行い、また、平成24年にこの地がジオサイトとして認定されたことも相まって、昨年は期間中の1ヶ月に1万人を超える方にお越しいただきました。

近年、高齢化の進行などにより、畑や草原などの環境を維持できなくなるケースが増えていますが、このように、里山を守り続けることも大切なエコなのです。

この他にも、熱川地区では、荒れた雑木林を町民が手作りで再生した大川自然椿園をはじめ、自然環境の保護保全に取り組んでおり、大川温泉やぶ椿園散策会やホタル観賞イベントなど、エコと観光の共生に取り組んでいます。

細野湿原散策の様子の写真

細野湿原散策の様子

「ススキイベントアートコンテスト」制作風景の写真

毎年10月に開催される「ススキイベントアートコンテスト」制作風景

古着のリサイクル-雛のつるし飾り-

稲取地区には、桃の節句の際、雛段の両脇に一対の「雛のつるし飾り」を飾る風習があり、山形県酒田市の「傘福」、福岡県柳川市の「さげもん」、当町の「雛のつるし飾り」を含めた3つを「日本三大つるし飾り」と称しサミットも開催されました。このつるし飾りの起源は江戸後期とされ、当時、雛人形を購入できない家庭が、わが子の健やかな成長を願うため、古着の端切れで幾種もの人形をつくり、雛人形のかわりとしてそれを糸で吊るして飾ったところから始まったとされ、親から子へと代々受け継がれてきました。

この伝統文化を多くの方に知ってもらうため、毎年1月下旬から3月までの間で「雛のつるし飾りまつり」を開催しており、一時は25万人の観光客が 訪れるなど、当町を代表するイベントに成長し、今では伊豆半島だけでなく全国的にも知られるようになりました。

本町の主産業である観光を支える柱のひとつに成長したイベントですが、物を粗末にしないという地域住民のエコに対する意識が生んだ風習です。

京の七夕・ZEST会場「日本三大つるし飾り」の様子の写真

京の七夕・ZEST会場「日本三大つるし飾り」

雛の館「むかい庵」の様子の写真

雛のつるし飾り 雛の館「むかい庵」

さらなるエコを目指して

この他にも現在、バイオマスへの取り組みとして、全町で使用済み天ぷら油を回収し、生成されたバイオディーゼル燃料をマイクロバスや給食配送車など、一部の庁用車で燃料として利用しており、また、使用済みのペットボトルを再利用し、キャンドルイベントを行うなど身近な生活環境でのエコも推進しています。

「草原を守る」取り組みや、「雛のつるし飾り」のように、資源を大切にする考えや文化を育み、今後、新たな事業に挑戦をしながらガイドなどの人材育成に努め、難しい環境教育ではなく、誰もが楽しみながらエコの大切さを学べる観光地を目指していきたいと考えています。

使用済のペットボトルを再利用したキャンドルの写真

使用済のペットボトルを再利用したキャンドル