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秋田県小坂町/大自然と明治の風景に彩られたまち 小坂町~「明治百年通りにぎわい創りプロジェクト」の推進にむけて~

印刷用ページを表示する 掲載日:2013年4月1日
新緑の十和田湖の写真

新緑の十和田湖


秋田県小坂町

2835号(2013年4月1日)  小坂町長 細越 満


小坂町の概要

小坂町は、秋田県の北東端、北東北三県(秋田県・青森県・岩手県)のほぼ中央に位置しており、気候は山間盆地特有の内陸型で、積雪寒冷地となっています。また、町土の約7割が森林であり、多くが国有林で占められています。町の中央部には米代川の支流である小坂川が流れ、北東部には国の特別名勝・天然記念物に指定されている十和田八幡平国立公園の十和田湖があり、日本でも有数の自然に恵まれた地域です。

面積は、明治4年の廃藩置県以来、決まっていなかった十和田湖の境界が平成20年12月に決定し、現在は201.95k㎡となっています。

歴史的背景:鉱山とともに歩んできた町

当町は、文久元年(1861年)に小坂鉱山が発見されて以来、経済や文化も鉱山産業とともに発展し、明治初期より鉱山の町としての歴史を歩んできました。

しかしながら、昭和60年代の急激な円高や鉱量の枯渇等により、小坂町内の鉱山は統廃合や閉山が相次ぎ、小坂町の経済に大きな打撃を与えました。

現在は、古くから培われてきた鉱業技術を活用し、環境リサイクル産業へ転換が図られ、世界的視野での資源循環型産業として、発展を続けています。

今の小坂町が誕生するまでには、明治21年の市町村合併で小坂村と小坂鉱山が合併して小坂村になり、大正3年に町制が施行されました。 昭和30年の市町村合併で小坂町と七滝村が合併して新たな“小坂町”となりました。

その後、昭和47年に当時の十和田町、花輪町、尾去沢町、八幡平村との市町村合併(現鹿角市)や、平成15年の鹿角市や大館市との市町村合併が 検討されましたが、いずれも合併しないことを選択しました。現在は鉱山の歴史・文化が息づく町としての特色を活かし、さらなる発展に取り組んでいます。その中でも 特に力を入れてきたのが国指定重要文化財である“康楽館”や“小坂鉱山事務所”等の歴史的建築物の保存活用です。明治時代の小坂町をイメージして町民が手作りで 整備してきた“明治百年通り”は、鉱山文化がもたらした歴史文化と、季節ごとの美しい花々などの自然とが調和した癒しの空間となっています。平成13年度には環境省から “かおり風景100選”に平成17年度には国土交通省より都市景観大賞“美しいまちなみ賞”さらに平成18年度には町民が手作りで取り組んできた事業が評価され国土交通省から “手づくり郷土賞[地域整備部門]”を受賞しました。

明治41年頃の小坂町全景の写真

明治41年頃の小坂町全景

康楽館の写真

「康楽館」和洋折衷の木造芝居小屋としては日本最古

小坂鉱山事務所の写真

明治38年に建設された「小坂鉱山事務所」

明治百年通りの写真

町民が手作りで整備してきた「明治百年通り」

交流人口拡大に向けた課題

現在の小坂町は産業構造の変化により労働者層が減少し、町の定住人口が年々減少していることから、定住人口を基本として町の振興策を考えることは 非常に難しい状況にあります。

既存の観光資源である国立公園“十和田湖”や国指定重要文化財の“康楽館”“小坂鉱山事務所”を核として観光による町内交流人口の拡大を図って きましたが、国内全体に未曾有の被害をもたらした東日本大震災の影響等により交流人口は大きく落ち込みました。このような現状から、交流人口の拡大を図り、 地域の雇用・経済活動に結びつけることが喫緊の課題となっています。

旧小坂鉄道の利活用を核とした新たなにぎわい創出へ

小坂鉄道は明治41年に大館・小坂間に全長22.3㎞で開通し、明治42年には小坂鉄道株式会社の発足とともに一般運輸営業が開始され、鉱山の発展と ともに歴史を刻んできました。

しかし、車社会の到来とともに利用者が減少の一途をたどり、永年にわたり地元住民の交通手段として親しまれてきた旅客部門が平成6年9月30日に 廃止されました。次いで開業100年の節目となる平成20年に貨物の運行が休止となり、ついに平成21年4月1日をもって、その長い歴史に幕を閉じました。

町は平成21年4月1日で廃線が見込まれた時点で小坂鉄道を新たな観光資源として活用するための検討を始めました。平成20年12月に小坂鉄道利活用庁内 検討会議を発足させ、平成21年3月には調査報告書を取りまとめました。調査報告書では、鉄道試験線としての利活用が望ましいとなりましたが、実現には至りませんでした。 その後も沿線で隣接する大館市とも協議を行いながら模索を続け、平成23年3月には“旧小坂駅保存活用基本計画報告書”を作成、さらに見直しを図り平成23年10月には 今のプロジェクトの原形となる“明治百年通りにぎわい創出基本計画書”の完成に至りました。

この計画を基にした交流人口の拡大へ向けて、平成24年4月から役場の観光産業課へ新たに“にぎわい創出班”を創設し、課題解決へ本格的に 取り組むこととしました。平成24年度から一部先行して整備が始まった国の交付金事業である“都市再生整備事業”に追加する形でソフト面での充実化を図り、最終的に 既存の観光資源と旧小坂鉄道の観光活用を組み合わせた“明治百年通りにぎわい創りプロジェクト”を策定しました。

このプロジェクトは、平成24年12月25日に実施された秋田県知事へのプレゼンテーションにより計画が認定され、県の交付金事業の“秋田県市町村 未来づくり協働プログラム”として支援が決まりました。都市再生整備事業と合わせて平成24年度から平成28年度までの5年間で鉄道関連施設を中心とした観光資源の整備をしていくこととしています。

「明治百年通りにぎわい創りプロジェクト」が認定された様子の写真

「明治百年通りにぎわい創りプロジェクト」を認定
右「秋田県知事」左「小坂町長」

旧小坂鉄道を活用して体験型交流

廃線となった小坂鉄道は愛好家等によって自主的な保存活動が湧き起こり“小坂鉄道保存会準備室”が平成21年12月に立ち上がりました。毎年10月には “鉄道の日”に合わせて“小坂・鉄道まつり”を行い、魅力を発信し続けてきました。

小坂・鉄道まつりは駅構内でディーゼル機関車内の見学、駅構内のガイド付き案内のほか、平成24年の鉄道まつりでは体験型として初めてトロッコ 乗車体験を行いました。また、明治百年通り沿線では、子供からお年寄りまで気軽に楽しめるレールバイクの運転体験を行い、今後の本格的な整備に向けて来場者へ アンケートを実施し、貴重な意見を多数いただきました。

また、町の花である“アカシアの花”が咲き誇る6月の第2土日には毎年“アカシアまつり”が開催されますが、平成24年に初めて協賛イベントとして 車両の展示やレールバイクの運転体験を開催したところ、大きな反響をいただきました。

小坂鉄道まつりの様子の写真

多くの鉄道ファンや子供達でにぎわう「小坂鉄道まつり」

レールバイクの運転体験の様子の写真

レールバイクの運転体験

平成25年10月小坂レールパークプレオープン

平成25年10月1日から12月31日まで秋田県において大型観光キャンペーン“秋田DC”が開催されます。この“秋田DC”に合わせて当町でも様々な企画を 用意していますが、その中の一つが旧小坂鉄道の“小坂レールパーク”(仮称)としてのプレオープンです。これまで実施してきた“小坂・鉄道まつり”に合わせて、 より充実した体験メニューを提供できるように準備を進めているところです。鉄道ファンはもとより、北東北へ立ち寄った際には是非小坂町へ足を伸ばしていただき、 明治百年通りの景観や小坂鉄道の有姿を見て新たな町の“にぎわい”を体感していただければ幸いです。

小坂レールパークポスターの画像

小坂レールパークポスター