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青森県外ヶ浜町/「風の岬・龍飛」での挑戦 ~津軽半島 彩 北端 龍飛ルネッサンス推進事業~

印刷用ページを表示する 掲載日:2012年9月24日
龍飛崎の写真

風光明媚な龍飛崎


青森県外ヶ浜町

2814号(2012年9月24日)  外ヶ浜町役場 政策推進課 班長 坂井克仁


外ヶ浜町の概要

外ヶ浜町は、2005年3月28日に、「旧蟹田町」、「旧平舘村」、「旧三厩村」が合併した町で、青森県津軽半島の北東部に位置(東経140度38分、 北緯41度2分)している。東は陸奥湾に面し、西は中山山脈を隔てて北津軽郡の市町村が隣接。南は蓬田村と隣接し、北は今別町をまたいで本半島最北端の 三厩地区があり、津軽海峡を隔てて北海道と相対。東西約27㎞、南北約25㎞、総面積229.92k㎡。 

津軽国定公園龍飛崎をはじめ、風光明媚な景観の観光資源や固有の伝統文化行事等を受け継ぎ、海と山と川の恵みとともに生きる町です。

龍飛崎における交流人口対策の課題

龍飛崎は、平成22年に全線開通した東北新幹線新青森駅のある青森市をベースとした津軽半島周遊ルートで欠くことのできない観光エリアです。 風光明媚で雄大な自然景観を誇り、県内有数の観光地に優るとも劣らない、本県を代表する観光スポットという高い評価をいただいております。昭和50年3月に 国定公園に指定されて以来、青函トンネル基地のほか義経渡海伝説や演歌の名曲「津軽海峡冬景色」に歌われるなど全国的な知名度も高くなりました。しかし、 青函トンネル工事の完成とともに人口が激減する等、大きな環境の変化にさらされ、昭和63年のJR津軽海峡線開業からわずか20年足らずで、交流人口対策面で 様々な課題を抱えています。 

そこで、東北新幹線新青森駅開業及び来たるべき北海道新幹線(仮称)奧津軽駅(隣町:今別町)の開業が新たな交流人口増加の絶好の機会と捉え、 「風の岬・龍飛」で新たな取組みを行っています。 

龍飛埼灯台の写真

龍飛埼灯台

1 龍飛崎での新エネルギーへの挑戦

(1)風力発電

「豊かな自然環境と共生するまちづくり」と「地域特性を活かした産業が躍動するまちづくり」を掲げ、新エネルギー事業を展開しています。 当町の第三セクターである㈱津軽半島エコエネが事業主体となり、平成23年6月には、年間平均風速が約10m/S以上という「風の岬・龍飛」の地域資源である 強風を生かして、自然環境と共生する「竜飛風力発電所」が2基完成しました。新エネルギー事業の推進は、これから、ますます高まる電力需要や 温室効果ガス等の影響による地球温暖化などの環境問題を解決するために重要であるほか、地域の活性化や産業の振興、環境教育の充実につながっていく可能性を 多いに秘めています。㈱津軽半島エコエネでは、青森県内の地元企業としては初めて大規模商業発電事業(2千kW以上)に参入しており、「竜飛風力発電所」に 今回導入した風力発電機の検証を進めながら規模拡張を視野に入れ取り組みを模索しています。 

風力発電機の写真

㈱津軽半島エコエネの風力発電機

(2)小水力発電

龍飛崎といえば、昭和63年に開通した本州と北海道を結ぶ「青函トンネル」の工事現場の舞台となったことは有名な話です。 この青函トンネル内の湧水は、JR北海道が地上へくみ上げて排水しています。町では、その排水を利用して、「龍飛地区小水力発電所」を建設し、 新エネルギーの新たな創出に取り組んでいます。発電された電力は、周辺にある龍飛崎シーサイドパークのバンガローやケビンハウスの電力として自家消費されています。

龍飛地区小水力発電所の写真

龍飛地区小水力発電所

2 龍飛崎での文化遺産への挑戦

龍飛崎は、実は文化面でゆかりが深い場所です。津軽半島最北端という旅情を掻き立てる景観から、多くの観光客が訪れます。吉田松蔭詩碑や 大町桂月文学碑のほか、歌手・石川さゆりの「津軽海峡冬景色」で全国的に龍飛崎の地名が知れ渡るようになったことから、「津軽海峡冬景色歌謡碑」が 既に建立されています。 

平成20年に、観光客と地元の人が交流できる拠点施設として、龍飛岬観光案内所「龍飛館」を整備しました。 

『「今夜は、この本州の北端の宿で、一つ飲み明かそうじゃないか。」「こりゃ、いかん。今夜は、僕は酔うぞ。いいか。酔ってもいいか。」 「かまわないとも。僕も今夜は酔うつもりだ。ま、ゆっくりやろう。」』(太宰治 小説「津軽」より引用)と、太宰一行が宿泊した宿として知られる「旧奥谷旅館」 (平成11年廃業)が、土地・建物の所有者から町へ無償譲渡され、「龍飛岬観光案内所 龍飛館」としてリニューアルオープンしました。  

この宿は、かつて、観光客はもとより、数多くの作家や画家が逗留した宿として知られており、宿帳には津軽三味線の大家・高橋竹山のほか、 太宰治(作家)、棟方志功(版画家)等の名が記されています。 

展示品として、多くの著名人がしたためた色紙や作品が展示されているほか、太宰治が小説「津軽」執筆の折、親友N君と投宿した部屋を 復元公開しています。 

「津軽海峡冬景色」歌謡碑の写真

石川さゆりの「津軽海峡冬景色」歌謡碑

龍飛岬観光案内所「龍飛館」の写真

龍飛岬観光案内所「龍飛館」

3 龍飛崎でのイベントへの挑戦

(1)龍飛海峡まつり

津軽海峡の本マグロは、龍飛崎沖が最高の漁場となっています。全国的なマグロのブランドとしては、青森県の「大間マグロ」は言わずと知れた存在でありますが、ここ外ヶ浜町で水揚げされる本マグロも、味は負けないものと自負しています。ブランド化で大事なことは、まずは地元の人が地元の食材に愛着を持つことが大事です。津軽海峡の本マグロは、水揚げ後、築地市場へ出荷され、なかなか地元の人の口に入らないという現状を踏まえ、「龍飛海峡まつり」 (9/23開催)を企画し、マグロ解体ショーを行いました。龍飛崎は、観光客も多く訪れることから、町内外の人に津軽海峡の海の恵みを是非味わって欲しいものです。 

地元漁協をはじめ、関係団体等との連携を深め、龍飛ならではの地元値段で提供できる新鮮な山海の幸を活かした食材メニューの開発や、津軽海峡本マグロをはじめとする地元水産物のブランド化や新たな販売促進及び販路拡大に努めます。  

龍飛海峡まつりポスターの写真

龍飛海峡まつりポスター

(2)太宰治の歩いた道を走る「龍飛・義経マラソン」

今年で4回目を数えるマラソン大会は、単なる健康増進イベントとしてではなく、外ヶ浜町の観光資源PRを含めた外ヶ浜町の知名度向上を 目指して開催しています。景勝地・龍飛崎をスタートし、義経渡海伝説の舞台となった三厩地区の歴史・ロマンがあふれる風景を走りながら楽しんでもらいます。 このイベントでは、町民が総出でおもてなし交流活動を行っており、伝統芸能である「三厩荒馬」や郷土料理「若生コンブのおにぎり」を食していただくことで、 外ヶ浜らしい心のこもったおもてなしが人気で少しずつですが、参加者が増加してきています。 

龍飛・義経マラソン ゴール風景の写真

龍飛・義経マラソン ゴール風景

最後に、外ヶ浜町からメッセージ

本リポートでは、主に龍飛崎を中心にした新たな挑戦をメインに記述させていただきましたが、龍飛崎以外にも多くの観光資源が皆様を お待ちしております。 

美しさだけではない、楽しさだけでもない、外ヶ浜の旅は「風趣(ふうしゅ)」の旅情。味わうほどに趣きが増す、こころ旅。いろんな 外ヶ浜町の「風」に吹かれながら、気ままな旅を感じてください。ご来町を、心よりお待ちしております。 

青函トンネル記念館の写真

青函トンネル記念館