2783号(2011年12月19日) 全国町村会 広報部
2011年12月3日(土)、4日(日)の2日間にわたり、「町イチ!村イチ!2011」~町村から日本を元気にする~を、東京国際フォーラム(有楽町)と有楽町駅前地上広場の2会場において、開催しました。会場には、253町村の“イチオシ”の物産が並び、24町村からのステージによる伝統芸能等の披露や、町イチ!村イチ!食堂での38町村の郷土料理の販売や試食など、たくさんの“イチオシ”との出会いに、感動と笑顔のあふれる2日間となりました。会場では、43体のゆるキャラ達が、愛嬌たっぷりのパフォーマンスで、盛り上げてくれました。
最後尾は地上に!一時は、1時間待ちにもなった待機列
メイン会場の開会式は、11時30分より、関係者に向けた全国町村会藤原忠彦会長の激励挨拶とともに、43体のゆるキャラ達とのラジオ体操で始まりました。心癒されるゆるキャラ達の動きに、会場内の緊張が解け、大勢のお客様を元気いっぱいの笑顔で迎えることができました。(開催中、ゆるキャラの中に入り、ハードなスケジュールをこなしていただいた皆様には、本当に感謝です。)有楽町駅前地上広場は、前日から続く冷たい雨と強風で、一時は開催が危ぶまれたものの、オープニング時には、小雨となり、藤原会長の開会の挨拶により、無事開催ができました。
東京国際フォーラム地下2階展示ホール1
オープンを前に、両日共に待機列ができるほどの盛況で、ピーク時には1時間待ちになるほど。入場を制限した時間帯もありました。1日目に来場した方の中には、2日目にも足を運んでくれた方も多くいて、これは他の物産展ではあまり見られないことのようです。
2会場での藤原会長挨拶
ゆるキャラ43体と一緒にラジオ体操で景気づけ
3000平方mの展示ホール1には、北海道、東北、関東、北信越・東海、近畿、中国・四国、九州の7エリアに分かれ、253町村の展示台が並びました。90㎝×90㎝という限られたスペースながら、展示の仕方には、それぞれの工夫が施され、来場者へのお国言葉での温かい声掛けに、足をとめてじっくり話を聞く来場者が多くいました。
受付で配布した町イチ!村イチ!エコバッグを肩にかけ、会場を行き交う人たちを目の前にして、思い描いた光景が現実のものとなり、胸が熱くなりました。このエコバッグは、マチを広く作ったことで、購入したモノがたくさん入り、購買へとつながったところもあるようです。JRや地下鉄では、町イチ!村イチ!エコバックを持った方が目立ち、誘引にも一役買ってくれました。
各エリアでの展開には、それぞれの味わいがあり、加えてお隣同志の助け合いが一体感を醸し出したことで、会場中が笑顔と熱気に包まれ、賑いが生まれました。大判振る舞いの試食・試飲と低価格設定で来場者の財布の紐がつい緩み、初日から完売のところが多くあったようです。
来場者からは「楽しかった」「元気をもらった」との声を多くいただきました。1日目に苦戦した町村もミーティングを行い、力を合わせ、挽回を図った今イベントに対する姿勢には頭が下がる思いでした。各町村からも、「良いイベントだった」「学ぶことが多かった」「PRの目的を果たせた」とのメールや電話をいただいています。
今回のイベントは、売上げが目的ではなかったとはいえ、今後は商談会や観光・定住などに結び付けていくための展開の方法を検討していくことが求められるでしょう。
来場者との会話が弾んだ展示台
大盛況の地下2階展示ホール1
当初心配された食堂での調理・販売の展開でしたが、各町村間での協力と調理専門スタッフのおかげで、予定通りの料理を無事提供することが出来ました。出展された町村同士の“お互い様”の関係が、功を奏したと言えるでしょう。「思ったより、IH(アイエイチ)の火力が強く、お湯が早く沸いた」という声も多く、首都圏での販売に自信を得た町村もありました。食堂では東京初出展となる岩手県西和賀町「ビスケットの天ぷら」や珍しい青森県大間町「大間のまぐろバーガー」、冬にはありがたい秋田県五城目町「だまこ鍋」、幻の甚五右ヱ門芋の入った山形県真室川町「芋煮」など、普段首都圏では味わえない郷土料理に多くの人が舌鼓を打っていました。
食堂では、初日から完売が続出で、1日目に振るわなかった町村も、真剣に話し合い、2日目は積極的に声かけをするなどして、ほとんどの町村が完売していました。「食堂はどれも美味しかった」という来場者からの声が多く聞かれました。ただ、食事できる場所が十分に用意できず、ゆっくり味わっていただけなかったことが残念です。
メニューは食堂マップでチェック
町イチ!村イチ!のために取り置きしてくれた、幻の甚五右ヱ門芋煮!
ラジオDJとして活躍されている斎藤りょーつ氏と野村ふみえ氏との掛け合いによる軽快な進行で、北海道白老町「アイヌ古式舞踊」、青森県平内町「津軽三味線」、秋田県羽後町「西馬音内盆踊り」、大阪府能勢町「人形浄瑠璃」、鹿児島県知名町「島唄」、長野県下諏訪町「御柱大祭木遣り歌」などの伝統芸能や和歌山県日高町の「QU-E(クエ)ライブ」、山形県川西町「食育こどもミュージカル『どんでん森はどっきどき』」が披露され、ステージの前では、故郷に思いを馳せ、涙する人もいました。
各町村による一生懸命のPRにも心和まされました。特に群馬県草津町のゆるキャラ「湯もみちゃん」による軽快な踊りのパフォーマンスには、笑いと同時に誰もが感嘆の声を上げていました。入場無料で、なおかつワインやビールを片手に、素晴らしいステージを見ることの出来たイベントは、おそらく初めてではないでしょうか。来場者からも「贅沢な時間を過ごすことが出来た」という声が聞かれました。出演者からは、「舞台の高さが、丁度良く、見ている人と近いところで演じることが出来た」という声をいただいています。
進行してくれた、斎藤りょーつDJと野村ふみえDJ
200年の伝統 大阪府能勢町「人形浄瑠璃」
AKB48も踊れちゃう群馬県草津町の湯もみちゃん
PRステージにも登場してくれた、イケメンシェフとして有名なベリッシモ氏プロデュースによる、町村の食材を贅沢に使ったイタリアン寿司弁当と蜂蜜にこだわったピザ等、今後町村にとって、レシピ開発の参考となるコーナーを設けました。特にこのコーナーは、外国の方に好評でした。
新しい食感!町イチ!村イチ!バールでイタリアン寿司と蜂蜜たっぷりピザをご提供
世界でたった1つ 町イチ!村イチ!弁当
出口に配したこのコーナーでは、順番にゆるキャラに登場いただきました。来場者の反応から、各町村に誕生しているゆるキャラ達は、PRには欠かせない存在となっていることを実感しました。933全町村のゆるキャラ勢揃いというのも、そう遠い未来ではなさそうです。
ゆるキャラフォトコーナーは、連日大人気
B1ロビーギャラリー
誘引ディスプレーゾーンには、各町村の“イチオシ”が専門のデザイナーの手によって並べられ、通行人の目を引き、誘引の役目を果たしてくれました。
実演・体験コーナーでは、福島県昭和村「からむし織り」、岐阜県白川町「まゆ手つむぎ」、兵庫県神河町「透かし彫り」、愛媛県砥部町「ロクロ体験」により、伝統の技をゆっくり味わっていただけたようです。
生鮮品を中心に置いたマルシェも、通行人を呼び込み、最終日には見事完売となりました。試食なしの販売にもどかしさを感じられた町村もあったでしょう。
“イチオシ”の写真を飾った写真ギャラリーに足を止め、じっくりとパネルを眺める方も多くいて、限られた情報しか盛り込めなかったことが残念です。
町村のイチオシが並んだ誘因ディスプレー
マルシェは、すべて完売!
B1ギャラリーでの実演・体験コーナー
首都圏の方々が、被災地支援に対する意識を継続してもらえるよう、岩手県住田町の木材を使った仮設住宅を展示し、被災地域における復興の様子や支援状況を紹介するとともに、地震シュミレーターやAEDの体験による防災意識の啓発や森林整備の必要性などの提案や情報発信を行いました。
仮設住宅に触れ、地震の揺れを実際に体験することで、被災した方々の生活をより身近なものとして感じ、支援に対する意識を高めることができたように思います。間伐材を使った1万個のグッズに、「町イチ!村イチ!」の焼き印をつけ、来場者に配布しました。
震災支援ゾーンに展示された岩手県住田町の木造仮設住宅
サテライト会場(有楽町駅前地上広場)
外のサテライト会場では、MCの林笑(はやしえみ)氏の進行により、茨城県大洗町「大洗本場磯節」、滋賀県日野町「日野祭ばやし」、熊本県多良木町「上槻木の太鼓踊り」、岐阜県白川町「奥新田天明獅子」、東京都八丈町「八丈太鼓」、福島県磐梯町「会津赤枝彼岸獅子」、新潟県聖籠町「聖籠太鼓」、愛媛県松野町「松野鬼城太鼓」などの太鼓の演目中心の舞台となりました。心にドンと響いてくる太鼓の音が有楽町に鳴り響き、雨風を吹き飛ばすほどの勇壮なパフォーマンスに、足を止めた人々が最後まで見入っていました。出演していただいた方からは、「大きな拍手をもらい、観客との一体感があって、気持ちよく演じられた」という声をいただきました。
ここでも群馬県草津町の湯もみちゃんの軽快な動きには驚きの声があがり、愛知県長久手町の「長久手歴史トラベラーズ」のなり切りPRステージなど、有楽町駅前サテライトステージが笑いと感動に包まれていました。
まさに、町村から日本を元気にしていく底力をアピール出来た最高の舞台だったと思います。
熊本県多良木町「上槻木の太鼓踊り」
サテライト会場の最後を飾った愛媛県松野町「松野鬼城太鼓」
繰り返しになりますが、町村の方々の温かい人柄に触れることが出来たことで、来場者からは、「楽しかった」との声が多く寄せられました。さらには出展された町村の方々が、積極的に会場を回り、他の町村に声かけをしている姿をあちこちで見かけました。各町村間での“お互い様”の助け合いが、新たな絆を生み、来場者を巻き込み、みんなの「楽しかった」に繋がった気がします。メディアの方からも、「町村の魅力に改めて気付かされた」「こんなにパワーがあったことに圧倒された」という感想をいただいています。協力してくれたスタッフの方々にも、「今までした仕事の中で、一番楽しい仕事だった」との感想をもらい、メイン会場はまさに“町村横丁”さながらの賑わいで、“笑顔あふれる”イベントとなりました。
主催者としても、参加していただいた町村の方々の熱意とたくさんの思いやりに触れ、日本を元気にしていくには、町村の力が必要であることを改めて実感しました。
全国町村会が主催となる初めてのイベントで、予想以上の反響に驚くとともに、出展者の皆様のご尽力と各都道府県町村会の皆様のご協力に深く感謝申し上げます。
また、このイベントを通して、ネット社会でありながら、個々の町村の魅力を伝えるためには、まだ情報が不足しており、各町村に眠っている“宝物”の掘り起こしの必要性も見えてきたように思います。
今回は、他の物産展にはない程の試食・試飲の数や、価格設定の低さが、販売促進の力となり、町村関係者約1,500名、各都道府県町村会関係者約180名、臨時のアルバイトを含め主催者総勢約600名のスタッフの思いと協同の力が、結果を生みだしたのでしょう。
ただ、PRという点では一石を投じたとはいえ、課題もあり、結果検証が必要です。
是非、このイベントでの繋がりを活かし、学んだことにさらに磨きをかけ、バージョンアップしていけるよう次回開催に向け、皆様からの声をお寄せいただきたいと思います。
今回、商標登録した「町イチ!村イチ!のロゴマーク」も皆様とともに、大切に育てていけることを願って、このレポートを終わりにします。