利根川・江戸川の分岐点にある中の島公園「大こぶし」
茨城県五霞町
2779号(2011年11月7日) 五霞町長 染谷 森雄
五霞町は、関東平野のほぼ中央、茨城県の西南端、東京都心より約50㎞圏内にあり、茨城県では唯一、利根川の右岸に位置しております。総面積は23.09平方km周囲は、北東部に利根川を隔てて茨城県古河市・境町に接し、東は江戸川を隔てて千葉県野田市、南西は権現堂川(現権現堂調節池)及び中川を隔てて埼玉県幸手市・久喜市と四方を河川に囲まれた県境の町となっています。
総人口9,410人(平成22年国勢調査)で、茨城県内で一番人口の少ない町になっています。
基幹産業の農業では、肥沃な土地を利用した“米づくり”や“野菜づくり”が行われています。
また、工業の分野では、東京都心から50㎞圏に位置することや町内のほぼ中央に新4号国道が縦貫しているという地の利から、大小多くの事業所が活発な事業活動を展開しており、地元での雇用機会を創出しています。
本町では、農業・工業それぞれがバランスのとれた農工両全の町として、また、住民の安心・安全及び住みやすさにも力を注ぎ、社会資本の整備が必要であるとの認識のもと、上下水道事業が取り組まれ、現在は上水道・下水道の整備率は、ほぼ100%となっています。
五霞町の田園風景
周囲を利根川、そして本町南端で利根川から分岐する江戸川、中川及び権現堂川(現 権現堂調節池)に囲まれた本町では、川の流れは、豊かなめぐみをもたらすとともに、度重なる水害をも引き起こしてきました。
川と共に歩んだ歴史を振り返ると、江戸時代に輸送・交通手段として舟運が大きな役割を果たすようになります。特に利根川水系の水運の発達は、流域の地域だけでなく、信州や越後、さらには銚子を経由して東北地方からの物資までも江戸へと運んでいました。
こうした物資の輸送以外にも、人々の交通手段として重要な役割を果たしていました。利根川には明治時代の中頃まで、東京からの蒸気船が就航しておりました。当時、町内には3つの渡船場があり、町民の暮らしを支えておりました。
その一方で、度重なる洪水に悩まされることも多く、江戸時代から大規模な治水工事が何度も行われてきましたが、明治時代以降も、住民は水害に苦しめられてきました。
昭和22年のカスリーン台風による大洪水を最後に大きな水害は発生していませんが、その後、利根川では2回の堤防改修工事、現在も国土交通省において、利根川・江戸川の堤防強化事業が行われています。
こうした水との関わりの記録は、「水と闘い築いた里に、残る尊い自立の気風」という一節が五霞町立五霞東小学校の校歌に記されています。
また、利根川・江戸川の分岐点にある中の島公園内には、利根川改修工事の完成を記念して設置された「利根川治水大成碑」、利根川から江戸川へ入る水量調整や、船の運航のために水位調整する「関宿水閘門」、そして、その当時植えられたとされる「こぶし」などがあり、忘れてはならない史実として、今に伝えられています。
利根川堤防の改修工事
関宿水閘門
平成17年に「道の駅ごか」が新4号国道沿いにオープンし、県内外から多くの人たちが訪れております。管理・運営は、第三セクターである㈱五霞まちづくり交流センターが町の指定管理者となり行っております。
「道の駅ごか」が目指すのは、地産地消。そして、町内外への情報発信の拠点です。
施設には、五霞町産の朝取り野菜や米はもちろんのこと、果物・花卉・加工品などを取り揃える農産物直売所「わだい万菜」や手作りのまんじゅう、ジェラートが楽しめる軽食コーナーも併設し人気を集めています。また、地元産品が味わえるレストラン「華こぶし」では、茨城県銘柄豚ローズポークを食材とした「トンカツ」や県産そば粉で作る「手打ちそば」、県産の「天然なまずのてんぷら」などのほか地域食材を活かした季節食も楽しむことができます。
なかでも、道の駅ごかで開発した「ローズポークまん」(商標登録)がファーストフードの一番の人気商品となっています。商品開発を考えている中で、地元、茨城県銘柄豚ローズポークを使い、「ちょっと立ち寄って、ちょっと食べるというドライブイン的感覚で食べてもらおう」との声をもとに、横浜中華街に視察、コンビニエンスストアを何カ所も回り、味や大きさを研究し、完成品ができるまでには半年ほど何度も試作を繰り返して、肉まんを作りあげました。料理長は、「肉や野菜の食感を出すのに苦労しました」と話してくれました。このローズポークまんは県内の観光地やインターネットでの販売も行われ多くの皆さんに食されています。
また、道の駅ごかの開設により、経営規模が小さい農家の生産する少量多品目の農産物の販売が可能となり、地元生産者は、新たな作物に取り組むために各種組合を設立し、安心・安全な農作物を提供できるよう生産技術の向上を目指しエコファーマーの認定に取り組み、現在では56品目の認定を受けるなど五霞町農業の活性化に大きな役割を果たしています。
道の駅「ごか」
ローズポークまん
現在、本町の中央を縦貫する新4号国道に接続される圏央道(首都圏中央連絡自動車道)(仮称)五霞インターチェンジの整備が進められています。
この圏央道の全線供用によって、本町より東京、埼玉西部、神奈川、千葉県成田方面への飛躍的なアクセス向上が見込まれています。同時に、周辺地域への都市的土地利用を図り、田園環境などと調和のとれた新たな産業の拠点を目指し、商業・工業・流通業務など、多様な企業の誘致に向けた取り組みを鋭意推進しています。
今後、圏央道などの広域幹線道路網が確立される地の利を最大限に生かした「町の魅力と活力の更なる向上」が、益々期待されています。
飛べ!!麦わら帽子
五霞町の風景
五霞町では、毎年11月に「五霞ふれあい祭り」というイベントを五霞町、五霞ふれあい祭り運営委員会の主催により開催しています。運営委員会には下部組織として、実行委員会をつくり、町民・町内の各種団体、行政の協働により、企画・立案から当日運営までを行っています。
協働での企画・立案などを始めて6年、毎年、趣向を凝らしたプログラムを作り上げ、多くの方を楽しませてくれます。
実行委員会では、五霞ふれあい祭りのイメージキャラクターの募集・決定、その翌年度にはキャラクターグッズの作成、本年度に着ぐるみ製作にも取り組んでいます。
次に、現在は米作が中心の本町ですが、以前は五霞町が県内一位の麦生産地だったことを次世代に伝えたいとの思いから生まれたプログラム、「麦わら帽子飛ばし」を始めました。
そして、本年度は五霞町の特産物ともいえるお米のおいしさを町内外の方々に伝えるとともに、もう一度再確認してもらいたいと考え、ごはんに合う一品料理、「ごはんの友コンテスト」を行いました。
近年の五霞町を取り巻く情勢は、少子高齢化の急速な進展、金融不安による景気の悪化に伴う税収の落ち込み、住民ニーズの複雑多様化など、様々な課題に直面しております。
このような状況のもと、本町では第5次五霞町総合計画で掲げる「人がきらめき だれもが安心・安全に暮らせるまち 五霞」の実現を目指して、町民・各種団体・事業所のみなさんが互いに絆を深め、“五霞町らしいまちづくり”のため、各種施策に取り組んでいます。
第5次五霞町総合計画では、まちづくりの6つの基本目標(大綱)を定めて施策を行っており、さらに施策を効率的・効果的に展開していくため、横断的に関連づけながら実施する事業を重点プロジェクトとして位置づけました。
身近な地域における人々の助け合いや支えあいの関係を育みながら、毎日のくらしのなかにおける安心・安全を実現し、町民だれもが将来にわたって五霞町に住み続けたいと思えるまちづくりを進めます。
住み続けたいまち、住んでみたいまちをつくるには、地域の力が必要であり、現代のライフスタイルに応じた地域づくりのあり方が求められています。
これからは、それぞれの地域の住民が主体となったまちづくりを進めるとともに地域や時代にあった人づくりや、地域づくりのあり方を構築していきます。
本町の地理的条件を活かした既存産業の振興と圏央道IC周辺地域を活用した新たな産業の拠点づくりをすすめ、町内外との交流を積極的に展開するとともに、多彩な交流情報を発信し活力あるまちづくりを進め ます。
道の駅直売所
地域や社会における問題が多様化・複雑化するなかで、暮らしの質を高め、住みよい地域をつくるには、町民・事業所・行政がそれぞれの特徴や能力に応じた役割分担のもとネットワークを形成し、協働でのまちづくりが必要であり、これまで以上に、第5次総合計画や行財政改革を推進した積極的な施策に取り組んでまいります。
そして、五霞に生まれてよかった、五霞に住んでよかったとだれもが実感できる五霞町を町民と一体となり、創り上げていきたいと考えております。
なお、今回ご紹介させて頂いた「道の駅ごか・ローズポークまん」につきましては、12月3日、全国町村会主催で行われる「町イチ!村イチ!2011」に出品いたしますので、是非、ご賞味ください。