北海道安平町
2743号(2010年12月20日)
北海道 安平町
安平町は平成18年3月、追分町・早来町が合併して誕生しました。
札幌市から50㎞ほどの道央圏に位置し、北海道の空の玄関「新千歳空港」と北海道の海の玄関「苫小牧港」に隣接し、JR室蘭本線をはじめ道央と道東を結ぶJR石勝線や道東自動車道が通るなど、交通・物流の要衝として陸海空に恵まれた場所にあります。
町内には7つのゴルフ場があり、夢のゴルフ三昧も実現できる場所となっており、ゴルフをされる方からは「ゴルフ銀座」とも言われるほどであります。
そのほか、日本競馬界トップクラスの競走馬を育てている牧場が数多くあり、多くの馬が放牧されている北海道らしい風景を目にすることができる地域となっています。
安平町と土地開発公社では、町内3か所の分譲地を造成し販売を行っています。
それぞれ特徴をもった造成地のうち「ラ・ラ・タウン・おいわけ」をご紹介します。
かつては蒸気機関車の格納庫などがあった追分機関区跡地の一部に「ラ・ラ・タウン・おいわけ」はあります。
新千歳空港に近く、駅には特急も停車するアクセスの良さから、北海道外からも多くの方が住まわれています。
住宅の屋根を三角屋根にすることなどの建築協定や、電線の埋設化を行い電柱のない美しい家並みを実現した住宅地として整備しています。
ゆとりのある敷地ではガーデニングも楽しめ、目の前にある日本最古の保健保安林「鹿公園」との調和で四季を感じた生活を楽しむことができます。
環境の良さに限らず移住への促進(後押し)対策として「定住促進条例」があります。
平成18年に合併して誕生した安平町では旧町時代より人口確保対策の取組を継続しており、今までの単に町の分譲地の販売促進対策ではなく子育て世代や多子世帯への支援も見直した移住者、在住者に魅力のある町としての取組を進めています。
その他子育て世代・多子世帯への支援として、町内認可保育園へ同時入所している場合、保育料が2人目が半額、3人目が無料とする保育料の負担軽減の支援もあります。
おためし暮らし住宅は3LDK平屋
「おためし暮らし」住宅を用意した理由の一つとして、合併により「安平町」のネームバリューの低下があげられます。
北海道では、平成17年頃から「団塊世代」の大量退職者をターゲットに本州から北海道へ移り住んでもらう取組が始まりました。
そんな中「安平町」は新しい町となった時期でもあり、本州方面への町のPRも含めはじめました。
①不安も多い移住への検討材料として団塊の世代の方々をはじめ、北海道へ憧れを持たれている方は、雄大な北海道の大地への期待と、見知らぬ土地への不安や雪の問題など、様々な面での不安、その両方を持ちながら移住を検討されていると聞いておりました。
それらの不安を少しでも解消してもらい、北海道そして安平町の良さを知ってもらうことで、将来移住先の候補地の一つとして検討してもらうため、「おためし暮らし」を平成19年度から実施しました。
8畳のリビングは暖房機なども完備
この「おためし暮らし住宅」については、昔の職員住宅(教育長公宅)を利用しております。 住宅には、体験者が手ぶらで安平町暮らしができるよう、家電や家具など、最低限の生活必需品も用意しています。(光熱水費は実費負担)
2人で1週間:24,000円
2人で1ヵ月:48,000円
そば打ち体験
②体験事業について滞在中には、陶芸体験・そば打ち体験をはじめ、町内の施設を利用してゴルフやパークゴルフでスポーツを、そして北海道の自然を満喫できる森林浴散策などを楽しむことができます。
また、体験者の方々は滞在中に町内の分譲地や宅地、中古物件を見て回られたり、職業安定所まで行かれるなど、滞在期間は様々な利用をしています。
水泳教室
四季折々、町では町民を対象に生涯学習や健康教育を目的とした各種事業を実施していますが、それらは楽しい中にも健康な生活につながる工夫がなされています。
例えば室内プールを使った事業には、水泳教室や健康教室などを設け、子供向けや高齢者向けなど、用途を選択できる教室を開設しています。
雪上パークゴルフ大会
北海道発祥のパークゴルフは春から降雪前まで町内いたるところで楽しめる上、冬には野球場の雪上にコースを作り一年中楽しめたり、町内のスキー場や屋内外のスケートリンクではスピードスケートやアイスホッケーを楽しむことができ、初心者から世界を目指す選手までが利用しています。
文化面の事業も多く定期的に開催されるコンサートや講演会といったスローライフの材料も整えています。
コンサート
永く住むには教育や子育て、健康づくりから福祉に至るまでの環境が大変重要な要素となります。 移住相談等については、まちづくり推進課をワンストップ窓口として、問合せや相談には全て対応する体制、姿勢で臨んでいます。
移住希望者の関心の高い項目を盛り込み、わかりやすく作成された「移住ガイド」には実際に移住者の声を取り入れるなど、町の魅力を紹介するアイテムも用意しています。
まちづくり推進課の取組には今までに経験した多様なお客様ニーズに対応しようとする考えが取り入れられています。
町内に不動産業者が少ないため、不動産情報のリサーチや近隣市のハウスメーカーへ営業訪問を行うことや、移住促進住宅(ラクラク住宅)として状態の良い経年住宅をリニューアルして格安な家賃の物件などを用意するなどの取組も行また、前述の「ラ・ラ・タウン・おいわけ」で実施している分譲地の無償貸付は、景気が停滞している今、期間限定のキャンペーンとして実施しており条件期間内に住宅を建設されれば土地を特別価格にて譲渡するという企画です。
紹介された事業以外でも新規就農や新規起業、企業誘致などいろいろな部署との連携で定住化策を進めています。
「おためし暮らし」体験を平成19年度から実施してきて、体験者数や滞在日数としては延びている状況です。(表1参照)
表1移住体験者実績
しかし、すぐには「移住・定住」には結びついていない事も現実で「将来の移住候補地として…」の成果にとどまっています。
日本全体で人口減となっている現状のなか、安平町はこれからも、民間活力の導入などによる宅地整備をはじめ、人口確保策や少子化対策等の新しい施策事業を盛り込みながら事業を実施してきています。
しかし、全国的な問題と同様に、都市部への人口流出や一極集中化、少子高齢化といった問題が顕著となっています。平成21年度については、町の対策により社会増減等において一定の歯止めをかけることができましたが総体数ではマイナスとなっています。
町の最重点課題の「定住化施策・人口確保施策」は、子育て・教育・福祉・介護等いろいろな分野の連携が重要であり、定住希望者や移住希望者のニーズも高まる中での整理が更に必要となってくると考えています。
雪の詰め込み作業が終わり、発送を待つ雪だるま
安平町内の7つのゴルフ場、日本競馬界で活躍する競走馬を育てている牧場などに、年間30万人ほどの観光入込客数があります。
反面、地理的にも恵まれた場所は観光的には通過型の町になっていてこれらのお客様の目をどのように町内に向けるかも大きな課題です。
町の名産品としては、高級ブランドの「アサヒメロン」やチーズ発祥の地でもある「カマンベールチーズ」などがありますが、観光面の知名度を上げていく取組が大きな成果に結びつくような知恵も必要と考えます。
日本人ブラジル移民100周年に贈られた雪だるま
北海道民にとっては、邪魔なものとして扱われる「雪」を活用した取組として、「雪だるま小包」があります。
旧早来町時代の郵便局長が発案し、「北海道では雪は邪魔もの扱いだが、本州では雪は喜ばれるもの」と全国へ真っ白な雪を届けることで町をPRしようと考えたのが発端で、雪だるま型の発砲スチロール容器に新雪を詰め込み、「雪だるま小包」として全国へ「雪だるま」を発送しています。
1986年に試行錯誤、悪戦苦闘でスタートしてから今年で25年、その人気は全国に届けられています。
2008年2月、安平町から2m(重さ1トン)の「巨大雪だるま」を地球の反対側、南米ブラジルへ届ける奇想天外な企画に成功しました。もちろん「雪だるま小包」も届けましたが、実際に雪に触れる機会のないブラジルの方々は子供も大人も雪に触って目を輝かせていました。日本では冬の2月、でも現地ブラジルは真夏のサンパウロカーニバルの季節。
苦労が実り無事に数時間の企画の間、溶けることなく最後まで巨大雪だるまは形をとどめていました。
町はこの「雪だるま」を地域資源として特別住民登録を行っています。
早来雪だるま郵便局の局舎の屋上には雪だるま型のモニュメントがあり、地域特産として欠かせない存在である雪だるまの功績をたたえ、ゆうパック開始20周年を記念し、平成17年12月に特別住民として登録し毎年住民票の限定発行を行っています。
地元のキャラクターやアニメの人気者などが特別住民として登録されることはありますが、当時、建造物としてはこの「早来雪だるま」が日本で初めてのことでした。
早来雪だるま郵便局
今年も全国に向けて雪だるま小包の発送は始まっています。更に今年度は本州方面からのクルージングツアーのオプショナルツアーに、安平町にて「雪だるま」づくり体験の採用が決まり、観光面においても交流人口を増やす大きな役割を担っています。