2701号(2009年12月7日) 総務部総務課長 羽賀 昭雄
神戸町(ごうどちょう)は、岐阜県の濃尾平野の北西部に位置し、西に伊吹山、北に白山山系の山々を望み、東は清流揖斐川に沿い、南は濃尾平野に連なる、南北に三角形をした農業に適した肥沃な平坦地で、面積が18.77平方km、人口が20,300人余りのまちです。
「ばらサミット」の会場となる、イングリッシュ・ガーデン調の「ばら公園いこいの広場」
本町は、歴史のまちとしてその起源も古く、奈良・平安時代の初めごろに開かれた地域と言われており、町の中央に位置する「日吉神社」の門前町として栄え、江戸時代は商業のまちとして発展してきました。明治22年に神戸村となり、明治25年には町制を施行して神戸町と改めました。昭和25年には北平野村(きたひらのむら)を合併し、昭和29年には下宮村(しもみやむら)・南平野村(みなみひらのむら)との1町2村で合併し、さらに昭和35年には揖斐郡大野町(おおのちょう)の一部、大字西座倉(にしざぐら)を編入合併し、現在に至っています。
昭和40年代には積極的な企業誘致を推進して、昭和46年には本町北部に工業団地が完成し、更に平成19年には西部に2つ目の工業団地を完成し、工業のまちとして、また自然と工業が調和した豊かなまちとなっています。
一方、昭和59年に「ばら」を町の花と定めて以来、ばらを活かしたまちづくりを推進。切りばら産業の振興、特産品の開発、250種3,000株を有するばら公園の整備等を行っています。
さらに、来年5月には、全国22市町が加盟する、ばら制定都市会議「ばらサミット」が本町で開催されるため、現在、ばらをテーマとしたイベントの企画、啓発活動等を行っています。このイベントを契機として、他町村との連携を図りながら、ばらを活用して、神戸町を盛り上げる仕掛けづくりを続けていき、「ばらで観光づくり」、「ばらで産業づくり」、「ばらで人づくり」を目指したいと思っています。
さて、本町は「神戸町第4次総合計画」を平成19年3月に策定して、まちの将来像として「みんなで創る 元気・快適・いきいきタウン」を掲げました。そして、これを実現するための施策として「子育て支援の推進」を重点的に実施しています。
神戸町の北部に位置する「神戸町工業団地」
さらに同事業を推進する拠点として、平成18年4月から民生部健康福祉課内に子育て支援室を設置。ここに子育て支援対策官を配置して、幼保一体化事業の推進、幼児教育・保育の充実、学校給食センター設置に係る幼児園の「給食特区」の申請等を進めてきました。
本町は、これまで4小学校区に4幼稚園・6保育園を配置する体制で、幼児教育・保育を実施し、5歳児は幼稚園に、3・4歳児は保育園に入園していました。しかし、少子化、核家族化が進み、女性の社会進出が増加するに伴い、長時間保育、未満児保育、留守家庭児童教室等保育ニーズが多様化し、従事する保育士等も増えてきました。一方で、少子化による児童数の減少に伴う空き教室の増加や、築25年以上を経過した施設の老朽化も進んでいます。
日吉神社境内にある国指定重要文化財の三重塔。神戸町は日吉神社の門前町として栄えた。
こうした状況を踏まえ、平成16年度から国が推している「幼保一体化」に向けた取り組みを始めました。最初は、全ての保育園と幼稚園で試行的に園行事を中心に相互交流を行い、土台づくりを進めました。
本町の「幼保一体化」事業は、施設は共有しますが、幼稚園と保育園の良さを活かし、運営は個々の制度で行い、5歳児において幼稚園部と保育園部を設置して選択ができるというものです。施設は、保育園が幼稚園より部屋が多いため、保育園の施設を使用することにしました。
平成17年度から広報誌等でPRし、各保育園の保護者会において説明を重ねた結果、保護者等の理解を得られましたので、「幼保一体化」を実施することになりました。平成18年4月には、2小学校区において2幼児園、平成19年4月には、1小学校区において1幼児園を開設しました。さらに平成20年4月には、最後になる神戸小学校区において、3園を統合して神戸幼児園を新設し、開設しました。これで4校区すべてにおいて幼児園が整備され、「幼保一体化」事業が完了しました。
昨年完成した神戸幼稚園
各幼児園では、神戸町の明日を担う人材を育成するため、本町ならではの幼児教育との考えで園長総括の教育専門官を置き、「みんなと仲良くいきいきと生活する子」という教育・保育目標のもと連携を保ちながら、保護者や外部の関係者からの評価を取り入れ、子どもたちの発達段階に応じ、より質の高い教育・保育を目指して、それぞれに特色を生かした園経営に努めています。
また、小・中学校とは別に幼児園専任の外国人語学講師を配置し、園内活動を通して楽しみながら英語に触れる機会を提供し、国際感覚の養成を図っています。さらに、保護者の傷病等により緊急または一時的に保育を必要とする児童を対象に、新たに一時保育事業も開始しました。
なお、幼児園の給食費については、未満児を含め3歳以上児の主食代を、町で全額助成し、保護者の経済的負担の軽減を図っています。
これまで各学校及び各園では、自校・自園方式の給食調理を行ってきましたが、各施設の給食設備・機器とも老朽化が進んでいることや幼保一体化を進めるなかで、より安全で安心できる給食の提供を実現するため、一番給食数の多い中学校に隣接して学校給食センターを新設することになりました。
「食育」の拠点となる学校給食センターは今年8月に完成
平成19年度には、同センターの入り口部分の用地買収を行い、平成20年度には、学校給食センターの建物本体工事を行い、本年度は、厨房設備・調理備品購入・外構工事を行い、調理職員の研修を経て、9月の2学期から全面的に供用開始しました。
オール電化の厨房設備
同センターでは、幼児園の給食も調理・運搬するため、「公立保育所における給食の外部搬入方式の容認事業」の構造改革特区認定を本年7月に受けて、実施しています。調理能力は1日2,600食。町内の全幼児園及び小中学校の給食調理業務を一本化して行える、厨房方式は完全ドライシステム方式となっており、オール電化で、3歳未満児専用の調理室やアレルギー食専用の調理室も備えています。
また、本町で生産される「小松菜・グリーンネギ・水菜」などを食材とし取り入れているほか、主食のお米も地元産の「ハツシモ」を採用するなど、食の安全・安心を考えた「地産地消」を推進し、運搬作業の効率化を図りながら給食を提供しています。
さらに、この給食センターは、従来から取り組んでいる「食育」の拠点としての役割も担っています。就学前児童から小・中学校の児童・生徒までの一貫した「食育」教育は、子どもたちの心身の発育や健康にとって大変重要です。学校・家庭・地域、さらに保健センターなど関係機関とも連携・協力し、より望ましい食習慣や食に対する意識を高揚させるための取り組みを行っています。
子育て中の家庭では、教育費や医療費が大きな負担になっているため、町単独事業として、平成17年度までは、乳幼児から小学校就学前までの医療費無料化を実施してきましたが、平成18年度からは小学校3年生まで、平成19年度からは小学校6年生(入院は中学校3年生)まで、平成20年度からは、さらに入院・通院とも中学校3年生までその対象を拡大しました。
特に、小学校1年生から中学校3年生までの助成は、町単独事業として実施しており、今後も財政への影響を見極めながら本事業を継続し、子育ての負担軽減に取り組んでいきます。
平成21年2月1日を給付基準日として実施された定額給付金給付事業では、同じ学齢児である平成21年2月2日から平成21年4月1日生まれの子は対象外となっています。本町では、給付の対象を2月2日以降に生まれた子も含め、さらに1年間(平成22年4月1日生まれまで)延長して、町独自で「赤ちゃん給付金」として1人2万円を支給しています。
また、妊娠・出産の支援事業として、本年度から妊婦の健康管理の充実と経済的負担の軽減を図るため、妊婦健康診査に対する助成回数を、従来の5回から14回に拡充して、安心して妊娠・出産ができる環境整備を行っています。
「にこにこ広場」では子育てに関する相談にものっている
さらに、未就園児や保護者を対象に、「かんがるー広場」を各幼児園で毎月1回開催し、遊び場の提供、保護者間の仲間作りや情報交換、園長・民生児童委員・子育て経験者等を交えた育児相談を行っています。また、神戸幼児園内の子育て支援室を利用して、「にこにこ広場」を毎月1回開催し、民生児童委員による親子ふれあい遊びや子育てに関する相談を行っています。
その他、子どもたちが安心して遊べる場と機会を提供するために、「ふれ愛公園」、「中央スポーツ公園」、「ばら公園いこいの広場」、「ごうど・ローズパーク」等々の整備を実施しています。
このように、本町では先人より守り継がれた歴史・文化と自然環境を活かしながら、「子育て支援の推進」を実施しています。
毎月1回、各幼稚園で開かれる「かんがるー広場」
今後も、幼児園や小・中学校の施設等の環境整備はもとより、保護者の多様なニーズに対応した安心で安全な保育サービスを提供し、子育ての負担軽減に努め、子育てに不安のある保護者の相談や情報交換ができる仕組みや体制をより充実させ、「安心して子どもを産み、育てやすいまち」を目指したまちづくりを行っていきたいと思っています。