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和歌山県北山村/ブログポータルサイトで地域の活性化を図る

印刷用ページを表示する 掲載日:2007年7月9日
和歌山県北山村 北山川観光筏下りの様子の写真

和歌山県北山村

2607号(2007年7月9日付号掲載)  和歌山県北山村長 奥田 貢


Ⅰ.村の概要

和歌山県北山村は、紀伊半島の東南部に位置し、周囲を三重県と奈良県に囲まれ面積48平方キロ、人口約530人という小さな村です。全国唯一の飛び地の村で、和歌山県でありながら県内の隣接する市町へは三重県又は奈良県を通らなければ行くことが出来ない特殊な地域となっております。

北山村は、かつては優良な紀州杉の産地として知られ、切り出した木材を集積地である下流の新宮市まで筏に組んで北山川を流した 筏師の村として栄えてきました。

おくとろ公園の写真
おくとろ公園

しかし、第2次世界大戦後の国策として、電力確保のために北山川水系にもダムの建設が進められ、北山村は上流に七色ダム、下流に小森ダムと2つのダムに囲まれた村となってしまいました。

基幹産業であった林業と600年の歴史を持つ筏流しが終焉を迎え、村民の生活環境は一変。かつては2,000人弱を要していた人口も激減し、典型的な過疎化、少子高齢化の村となってしまいました。

村の衰退を憂えた先人達の努力により、現在は筏流しの技術を活かした観光資源として「北山川観光筏下り」を復活させ、また、北山村古来の柑橘類「じゃばら」も地場特産物として売り出す等の地域活性化に取り組んでいるところであります。

しかし、平成の大合併も単独の道を選択し行財政改革を進め頑張っておりますが、続く第2次合併問題や今後の財政運営等の大きな課題を抱えているのが現状であります。

Ⅱ.観光立村への転換

基幹産業である林業の衰退と筏流しの終焉は北山村民の生活基盤の大きな変化であり村の存亡にかかる大問題でありました。

先人達が議論をし知恵を絞ったのが、600年の歴史を持つ筏流しの技術を活かして観光振興が図れないかということでした。筏流しの「伝統技術の復活と継承」をキーワードとして「観光筏下り」を始めるべく検討を進めてきましたが、実現までには多くの課題を解決する必要がありました。

丸太を組んだ筏に人を乗せて激流を下るということから安全性の確保が大きな問題となり、また、お客を乗せることから船舶の規定を受けることとなり当時の運輸省海運局の認可と検査が必要となりました。

しかし、幾多の課題を克服し昭和54年に念願の筏流しを「北山川観光筏下り」として復活させ、北山村の大きな観光資源として観光立村へのスタートを切ったのであります。

筏流しの復活以来20数年を経過した現在では、北山村の夏の風物詩として定着し、全国各地からお客さんに訪れて頂いています。

しかし、北山川の激流を下した筏師達も高齢化が進み後継者育成が大きな課題となっております。平成10年と11年に全国から筏師後継者を募集し養成事業に着手。そこで、現在では6名の後継者が定着し、「北山川観光筏下り」の担い手として活躍をしております。

Ⅲ.地域特産物「じゃばら」への取り組み

観光立村へスタートを切った北山村にとってもう1つの大きな課題は、北山村にしか存在しない柑橘の「じゃばら」を地域特産物としていかに売り出していくかということでありました。  

「じゃばら」とは、全国で北山村にしか存在しない柑橘類の一種。昔から北山村に自生していましたが、国内はもとより世界に類のない品種であることが判明し、新しい品種として種苗登録もされた柑橘系の果実です。果汁が豊富で、種が少なく、糖度と酸度のバランスが絶妙なまろやかな風味が特徴です。

ネット販売で火が付いたじゃばらの数々の写真
ネット販売で火が付いた「じゃばら」商品の数々

「じゃばら」という名前は、「邪(気)を払う」に由来し、北山村では昔から天然食酢として珍重され、正月料理には欠かすことのできない縁起物でした。また、他の地方では一切栽培されていないことから「幻の果実」とも呼ばれています。

そこで、「じゃばら栽培は北山村を過疎から守る産業となりうる」を合い言葉に事業に取り組んだのです。

しかし、その現実は非常に厳しいものでした。昭和57年、村内に農園を確保してパイロット事業がスタート。昭和61年には集荷出荷施設を新設し生産も順調に推移したものの、知名度や販路の狭さは否めず、平成元年には商品の余剰在庫をかかえるなど村の財政の大きな負担となるなど苦難続きでありました。

じゃばら公園の写真
じゃばら公園 

お荷物となった「じゃばら」に大きな転換期が訪れたのは平成13年でした。僻地や飛び地の不便さを逆手にとって「じゃばら」の販売をインターネットのショッピングモールへの出店にかけてみようということになり、ITに活路を求めたのであります。  

間もなく「じゃばら」が花粉症に効くとのお客さんのインターネット情報を手がかりに、即インターネットで1,000人アンケートを実施しました。その結果、50%ちかい方から効果があったとの回答を得て、その結果を即インターネット上で公表したところ、マスコミに取り上げられるなど爆発的な人気となり、じゃばら販路は一気に拡大。全国の消費者が手を伸ばすヒット商品となったのです。

木に実っているじゃばらの写真
木に実っているじゃばら

年間の売り上げについて見ますと、人気が出る以前の売り上げは年間で約3千万円程度であったのが、1年後には1億円を超え、現在では2億数千万円の売り上げとなっています。

しかし、IT戦略に活路を求めて以来、すでに10年近くが経過。IT全盛の時代を迎えた今、じゃばら販売戦略もやや閉塞感が出てきており、北山村全体としての新しい戦略に取り組む必要があるのではという機運が盛り上がってきました。

Ⅳ.新たなるIT戦略に活路を求めて

インターネットの活用により飛躍的に伸びた地域特産物「じゃばら」。しかし閉塞感が出てきた今、新たな戦略として何があるのか、若い職員等も含めて皆で議論し得た結論は、ITを活用し初の自治体運営となるブログポータルサイト「北山村ブログ」をやろうということでありました。

北山村ブログトップ画面の画像
北山ブログトップ画面

北山村ブログの基本理念は、次のとおりです。

  1. 紀州熊野の地域密着型ブログとして、熊野古道、歴史街道をはじめ観光情報を全国に発信する。
  2. 紀州熊野のファンを開拓し、「じゃばら」をはじめとする地域産品の販売促進を図る。
  3. バーチャル村民制度を創設し全国に北山村応援団をつくる。
  4. ブログを通じ紀州熊野地域の環境保護、福祉に取り組み利益還元をおこなう。
  5. ブログの運営は財政に負担をかけずブログ内収益での運営を目指す。

山間僻地で飛び地で非常に交通の便も悪い北山村。しかし、これを逆手にとってITに活路を求めて色々な「じゃばら」戦略を展開してきました。そして今、新しいブログポータルサイト「北山村ブログ」を戦略の核として、“ITは過疎僻地町村の救世主となり得るのか”社会実験の意味をも込めて「じゃばら」のみでなく北山村全体の活性化戦略を展開しつつ“目指せIT先進村”を目標に頑張って行きます。

「北山村ブログ」は3月末に試験的オープンをしましたが、その運営状況は1日あたりのアクセス数1万5千件から多いときで2万件と順調に推移、ついに、6月21日に本格オープンしました。皆さんも是非「北山村ブログ」にアクセスして見てください。