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福岡県立花町/削って伸ばそう!増やして減らそう!

印刷用ページを表示する 掲載日:2006年10月23日
竹林の写真

「竹林」・・・町内には約1,300haの竹林が広がる。良質のタケノコを生産するが、農業離れが進む近年は放置林も増えている。


福岡県立花町

2578号(2006年10月23日)  総務課 行革担当係長 平 武文


-無駄を削れば、仕事の効率は上がる。よい仕事でサービスが伸びれば、住民満足も増える。評価が上がれば職員のやる気もアップする- 

行革を起点としたこのような好循環を理想として、わたしたちは「新立花町行財政改革プラン」を作り、日々その実現に努力しています。

山あいの里の挑戦-行革の歩み

立花町は、福岡県の南部、有明海に注ぐ矢部川沿いにあり、南は熊本県と境を接しています。町の大半は山間地帯で、その傾斜を利用してミカンや梅、キウイフルーツ、タケノコなどを生産しています。

現在の竹林面積は全国でも有数の規模を誇ります。本町の歩みは農業の隆盛とともにありますが、ご多分に漏れず産業構造の変化とともに人口流出は進み山間部では過疎化と高齢化が進んでいます。

道の駅 農産物直売所店舗
「道の駅 農産物直売所店舗」地元産の安心・安全な農産物を販売している。平成17年度の入込客は約60万人

平成16年度の決算によると、歳入のおよそ8割は交付税などの依存財源です。近年の地方財政改革は、町の財政にも大きく影響し、将来に大きな不安を残しています。このような背景もあって近隣市町村との合併協議を進めました。しかし残念ながら先の特例法期間内での合意には至らず、現行法での合併を目標に努力しています。

町はこれまでにも3次に渡る行革大綱を策定し、行政環境の変化に積極的に対応してきました。具体的には、職員削減を柱としながら、収入役の廃止や行政区の統合といった機構改革、さらには出張所や町立保育所の統廃合などの公共施設の見直しなど、幅広く取り組んできたところです。

しかし、行革努力をはるかに超える勢いで財政状況の悪化は進み、平成18年3月には「新立花町行財政改革プラン」を定め、より厳しい行革に取り組むこととなりました。

“昭和”に返ろう-財政対策

本町は地方交付税の増減がそのまま財政状況の良し悪しにつながる財政構造です。したがって、財政対策を講じるにあたっては、まず向こう5年間の交付税推計から着手しました。平成17年から平成21年までの交付税を前年比▲5%で試算すると、平成21年度にはちょうど昭和63年度の交付水準になります。

立花町交付税の推移(一部推計)
単位:百万円 

自主財源・依存財源構成
単位:百万円

そこで、約20年前の財政規模を本町の身の丈として、平成16年の歳出約53億円と昭和63年の約40億円との差額13億円を財政の縮減目標としています。

歳出対策は、従前のように人件費対策を柱としています。10%を超える職員削減目標をはじめとして、給与・手当の見直しにも着手しました。また、既存の補助金もゼロベースからの見直しを進めています。

一方、歳入対策として町有遊休地の売却や滞納整理の強化、公共施設の使用料や各種手数料についても改定を検討しています。また、財政規律を保つために町債残高の抑制と、基金の取り崩しに頼らない予算編成も課題です。

まずは話そう-意識改革

行革を医療に例えると、財政対策はちょうど応急処置にあたると考えています。仮にこのような処置で難局はしのげても、それは一時的な効果にすぎません。やはり根本的に職員の意識を改め、組織風土を変えなければ、同じ轍を踏むことになってしまいます。その意味では職員の意識改革こそが行革成功の鍵であり、同時に最も苦心するところということができます。

行革の趣旨は職員研修などで浸透に努めましたが、同時に実施したアンケートからは、まだまだ不十分という結果が出ました。そこで組織の地ならし策として、全職員による行革をテーマにしたグループ討議を実施しました。

これは管理職を除いた職員を年代別の小グループに分けて、それぞれ行革担当と直接対話するというものです。その意見は報告書にまとめて行革の施策に活用しています。

職員グループ討議
「職員グループ討議」管理職を除く全職員を年齢別にグループ化(7名程度、16グループ)して、行革をテーマに討議

行革担当者は職員や職場の状況を多面的に知ることができ、また職員には自らの意見が行革に反映されることで参加意識も芽生えるなど、この施策の成果は小さくありません。

その他にも職員のアイデアを町の施策に活かす「職員提案制度」を実施しています。提案は行革にとどまらず、広く教育や環境、まちづくりの分野にも及び、いくつかの提案は施策として採用されています。

また、コスト研修会の企画もあります。

これは、職員が自らの職場の業務コストを分析し、その課題や解決策の検討を発表会の形式で行うものです。出先を含むすべての職場を対象にする予定で、職員のコスト意識の醸成につながる取組みになると期待しています。

戦略は”選択と集中”-住民サービス

「行革は本来の仕事ではない。われわれの仕事の目標は住民に満足してもらうことである」

これは、前述のグループ討議で若手職員から出た意見です。この他にも簡素化、省力化といった行革目標が、住民サービスの低下につながることを懸念する声は少なくありません。

ここには、減少する職員や予算と維持向上させるべき住民サービスといった、一見すると矛盾した課題があります。その解決には、たとえ小規模でも住民満足の高い施策を提供できる戦略と体制が重要です。

梅畑
「梅畑」立花町後田区に広がる梅園。九州の梅三名園のひとつに数えられ、約80haの斜面に約3万本の梅の花が咲き誇る。毎年2月には「観梅会」が開催され約5万人が一足早い春を求めて訪れる

限られた資源で最大の効果を得 るには「選択と集中」の戦略が有効です。これは、「あれも、これも」といった総花的な考えを改め、その時の最も効果的な施策に予算や職員を集中投下する考え方です。その実践には機動性と柔軟性とを併せ持つ組織が必要です。そのために組織の意思決定を迅速化する庁議強化や、細分化された縦割り機構を分野別にくくり直すような組織改革を検討しています。

同時に係制の廃止や職制のフラット化によって、業務の効率化や課内の協力体制を整備する方針です。さらに、庁内分権で課に権限を委譲し自主性と責任を持たせた事業部制的な組織運営も研究中です。

道の駅たちばな
「道の駅たちばな」国道3号沿いにあり、農産物直売所、食事所を併設。

窓口についても改善を考えています。これは来客や電話のたらい回しを無くし、必要以上に待たせないスムーズな応対などです。例えば、すべての事務事業をマニュアル化して全職員が携帯すれば、担当者が不在の場合でも対応が可能で、突然の質問にもその場で即答することができます。

また、公共施設の管理・運営についても見直しを進めています。これまでの縦割り思考で整備された施設は機能や利用目的の重複などの点で無駄が少なくありません。

利用状況やその成果を分析して統廃合や転用を検討しています。また、キャンプ場や道の駅に設置する農産物直売所などには指定管理者制度を導入して経営感覚を重視した運営を行っています。

“地域”と“竹”の力で-地域再生

行革をはじめ、地方分権の進展や市町村合併、道州制の導入など今後の行政をとりまく環境には激変が予想されます。税収の見通しだけを考えても、公共や個人に占める行政の影響力はより小さくなることが予想され、住民や地域にはより強い自治精神が求められるようになります。

本町は、住民主体の地域づくりを目指し町内4地区に地域活動のプラットホーム作りを進めています。

地域振興会議イメージ
「地域振興会議イメージ」町制施行前の旧村単位ごとに設置。行政をはじめ、自治会、消防団、PTA等の地域関連団体で組織され、自らの地域課題を自ら解決するlことで魅力ある地域づくりを目指す

「地域振興会議」と呼ばれる組織は、行政も含めて消防団やPTAなどの地域に関連する団体や個人で構成されています。自分たちの地域の課題を自ら発見し、それを自らの力で解決することにより、魅力ある地域づくりを目指しています。

また「竹」を活かした地域経済の活性化策にも取り組んでいます。竹林や竹材をタケノコ生産といった農業面だけでなく、広く観光や環境、芸術といった分野でも活用しようとする試みです。

ここでは、竹林オーナー制やバイオマスエネルギー、竹ギターの技術者育成といった事業を展開中です。また、国の地域再生計画の認定を受けて、竹を活用した起業支援や能力開発セミナーなどの雇用対策事業も実施しています。

行革はひとづくり-結びに

行革といえどもただ削るだけの取組では不十分です。一連の活動を通して何かを獲得しなければなりません。それを本町では、職員の成長であり、進化であると考えています。それは、職員一人ひとりが行革に主体的に関わることで学習してほしいということです。

職員が変われば組織が変わり、やがてその意識は住民や地域にも伝播します。そして最後には、住民の幸福や町の発展といった大きな成果にもつながるはずです。そのためには、一人として行革の流れに乗れない職員がいてはなりません。

「全員参加」を合言葉に本町の行革への挑戦は続いていきます。