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大分県日出町/日出町の行財政改革 ~明るい展望の持てる町に~

印刷用ページを表示する 掲載日:2006年10月9日
大分県日出町の写真

大分県日出町

2576号(2006年10月9日号)
総務課広報広聴係 主査 高橋 康治


町の概要

大分県日出町。県都大分市から約25キロメートル、大分空港から27キロメートルの距離にあり、国東半島の入り口に位置している。

東西19.2キロメートル、南北9.2キロメートル、面積73.23平方キロメートルのこの町は、南は波静かで風光明媚な別府湾に面し、町内には4つのJR駅、高速高規格道路に3カ所から乗り入れできるなど、交通の要衝となっている。

城下かれいの写真
城下かれい

平成17年国勢調査人口は、27,640人、平成12年調査に比べ1,498人(5.7%)増加し、県内でも数少ない人口増加の町となっている。

また、自然環境にも恵まれ、豊富で良質な真清水が町内各所で湧き、この真清水は日出沖の別府湾の海中でも湧いている。ここで育つマコガレイが、今や全国に知られるようになった『城下かれい』である。

独自のまちづくりを選択

全国で市町村合併の議論が行われていく中で日出町も平成13年6月、隣接する杵築市、山香町(現杵築市)と1市2町で合併研究協議会を設置。以降、大田村(現杵築市)を加え1市2町1村で合併に向けての協議を進め、15年1月には法定協議会の設置となった。 

しかし、新市の名称、事務所の位置についての協議が難航。16年7月に調印にこぎつけたものの、その後、日出町議会で合併関連議案はすべて否決され、町長が辞任する事態となった。

町長選挙には、新人3人が立候補。日出町独自のまちづくりを唱えた現工藤義見町長が平成16年9月に誕生した。この選挙結果を受け、日出町は法定合併協議会から離脱。日出町は合併せず独自のまちづくりを行うことへと路線を変更した。

財政危機

合併協議を進める中でも、危機的財政状況を立て直すべく、平成15年12月に「緊急行財政改革本部」を設置し、行財政改革に取り組んでいた。 

日出町の財政力指数は、13年度で0.516(県内町村平均0.207)、14年度で0.515(同0.213)、経常収支比率は13年度88.1(同89.2)、14年度91.5(同93.2)であり、この状況にもまして、生活基盤整備を先行してきたことによる起債の償還、基金の減少が当町の財政を困窮させ、景気の低迷、地方交付税の減少が財政危機に拍車をかけていた。

この時点で行財政改革プランの策定に着手したが、合併協議の混迷の中で、足踏み状態となった。

行財政改革プラン策定に本格着手

独自のまちづくりを選択し、合併とは違う形で生まれ変わりを迫られた日出町。 

平成16年11月1日に「行財政改革推進室」を設置し、財政危機を乗り切るために行財政改革プラン策定を再スタートさせた。この時点で「中期財政計画」を基に「中期的な財政収支の試算」を行ったところ、これまでと同様の財政運営を続ければ平成20年度には、16億7,700万円の赤字で、財政再建団体となる見込みとなった。

今回の行財政改革プランは、前年12月の「緊急行財政改革本部」での検討内容を基にし、「日出町行財政改革推進本部」に改め、「幹事会」を置き、さらに専門的に協議、調整を行う4部会からなる「専門部会」で具体的改革事項の検討に入った。

行財政改革プランの内容

このプランの策定にあたっての基本的な考え方は、①徹底した内部管理経費の抑制 ②サービスコストの最適化 ③公共サービスの提供の見直し、住民との協働のまちづくり ④町民負担の公平の4項目とした。

改革項目は、

  • 人件費などの抑制常勤の特別職の給与15~20%カット、一般職員の給与5%カット、早期退職の促進、職員の新規採用の一時停止、職員定数10%の削減(平成16年4月1日現在236人を21年4月1日時点で212人に)、各種委員等報酬の見直し、また、議会においても議員定数22人を16人に削減、報酬5%カットの方針が出された。
  • 補助費等・扶助費の見直し
  • 事務事業の重点配分
  • 外部委託の推進
  • 外郭団体等に対する町の関与の在り方の見直し
  • 普通建設事業の見直し
  • 特別会計繰出金の抑制
  • 公債費の長期的な抑制
  • 使用料、手数料の適正化
  • 町税等の徴収率の向上
  • 町有財産の売却、有効活用

とした。

16年11月から策定作業を行ってきたこの改革プランの内容は17年2月に町内各地区で町民の意見を聞き、また学識経験者などからなる推進委員会に諮り、3月にまとめ公表した。  

また、このプランについては、より実効性の高いものとするため、半年に一回その達成度の検証を行う。目標が達成できなかった項目に関しては、原因を探り新たな行動計画を作成することにした。  

当初この改革プランでの再建期間は、17年度から20年度までとしていたが、新地方改革指針が総務省から通知され、その体系に沿った形で21度までと1年延長。「集中改革プラン」として18年3月に再策定している。

今後の課題

平成17年4月のプラン実行開始から1年が経過した検証結果は、プラン内容を5,000万円上回る効果があり、平成17年度当初予算では、1億4,300万円の基金取り崩しを計上していたが、取り崩すことなく8,000万円が積み立てられ、一定の成果を挙げたといえる。平成17年度の財政力指数は0.569、経常収支比率は88.21となった。しかしながら、新たな行政需要の発生や地方交付税の縮減は、策定時の予想を上回っており、決して安心できる状況にはない。より踏み込んだ歳出の抑制や新たな歳入確保策の検討が必要となっている。

18年7月、日出町の新たな総合計画がまとまり町議会で議決された。まちの将来像を「人と自然が調和したふれあいと活力あるまち」とした。もちろん、この総合計画は行財政改革と整合性のとれたものとなっている。

予算を削っていくだけでは、今後、「活力あるまち」は望めない。明るい展望の持てる町を合言葉に、緊縮財政の中にも重点項目を定め、総合計画に沿ったまちづくりを展開し、前例踏襲を廃し、新たな考えを積極的に取り入れていく必要がある。

住民との協働のまちづくり

本町の行財政改革を進める上での基本的な考え方のひとつに「住民との協働のまちづくり」がある。これまでも住民の関心は高く、さまざまな場面で、心強い力添えがあったが、このころから、それまでにも増して、住民の間に自主的に町の状況を改善しなければという機運が高まり、自分たちでできるものは、自分たちの力でという取り組みが活発になってきた。

谷城趾
谷城趾

NPO法人が盛んに設立され、町民向けのパソコン講座の開講、まちづくり事業、町の行うイベントにも積極的な協力を得ている。 

また、地域の安全を守る地域住民による防犯パトロールも町内全域に広がっている。この成果は顕著に数字に現れ、日出警察署管内の平成18年1月から5月の刑法犯認知件数は前年同時期に比べマイナス35.4%と犯罪の減少に確かな実績を残している。

地域の公民館を開放し、放課後の子どもたちを受け入れる活動や町の人々を集め娯楽を提供していこうとするなどのボランティア活動が活発に行われている。

17年度から町内にある一部の都市公園における維持管理を業者ではなく地元に委託した。子どもからお年寄りまでが、地域に親しみを感じ草取り作業などに汗を流している。作業を行うことでコミュニケーションが図れるとの声も聞く。

地域活性化の新たな取り組み

地域再生計画として、地域活性化の新たな方策をまとめ、7月3日内閣府地域再生計画の認定を受けた。その内容は「次世代育成のまちづくり」、子育て応援に住基カードを活用した地域通貨を導入する。

活力あるまちづくりのひとつの方向性として、子どもたちが健やかに育ち、地域全体で子どもたちを育て、成長を見守る。このことが延いては、高齢者の生きがい形成につながり、強いコミュニティーを築いていけると考え、このための潤滑油として、地域通貨を導入していこうとしている。

実証実験開始を12月に控え、よりよい制度とするため、現在、議論が続いている。