ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
トップページ > 町村の取組 > 岡山県建部町/~岡山弁はええもんじゃ~ “岡山弁宣言”のまちづくり

岡山県建部町/~岡山弁はええもんじゃ~ “岡山弁宣言”のまちづくり

印刷用ページを表示する 掲載日:2006年5月29日更新

岡山県建部町

2561号(2006年5月29日)  企画振興課 文化センター 長尾 美代子


建部町の概要

岡山県のほぼ真ん中にある建部町にぁ、「旭川」いう、大きゅうて、きれ~な川が町の中央を流れとんじゃ。昔は、その旭川を上り下りする高瀬舟の川湊として栄え、船頭や旅人の宿場町として賑おーとったんで。

現在の人口はおよそ7,000人、自然に囲まれた穏やかな気候で、南北に長い面積90平方kmほどの町なんじゃ。

「釣りと桜と温泉のまち」いうて観光立町としての宣言もしとるんで。

県内はもとより、全国に、川魚の宝庫として知られる清流、旭川じゃあ、アユやハエを釣りに毎年大勢の釣り人が訪れるんじゃ。

4月の桜のおりにゃー、たけべの森公園じゃあ、約100種類、1万5,000本の桜が咲き乱れるんで。特に1.5キロに及ぶしだれ桜の小径は、そりゃーきれーなでー。

県下でも屈指の湧出量を誇る八幡温泉郷もあるんで。泉質はアルカリ性単純温泉で神経痛や疲労回復、不眠症にもよ~効くいわれとるけん、岡山県に来たおりにゃ~絶対よってーよー。

貴重な文化財もよーけーあるんじゃ。各所に丸彫りの彫刻を配した近世末期の優れた神社建築といわれとる志呂神社じゃあ、毎年秋祭りのおりに、男女の陰と陽を形どった「フト」と「マガリ」と呼ばれるダンゴを奉納する「京尾御供」いう珍しい行事が行われるしなぁ、おんなじ秋祭りでも、郷内8社の御輿が盛大に集う「建部祭り」もあるんじゃ。

ほかにぁ、全国的にも有名な『「古武道竹内流」発祥の地』や、享保3年に建てられたいう、成就寺の山門にゃぁ、無銘ながらも鎌倉時代の慶派様式を正しゅう継承した木造金剛力士像が立っとられるんで。他にもぎょーさんあるんじゃけど、これらの文化や歴史的財産はこれからもず~っと大事にしていきてぇなぁと思よんじゃ。

さて、いよいよじゃ。自然豊かな、文化が香るこの町に、「どうして岡山弁大会ができたか」、いう話に入っていくで。

岡山弁パフォーマンス 童謡とハーモニカ演奏の写真

岡山弁パフォーマンス 童謡とハーモニカ演奏

岡山弁パフォーマンス コント「ワシワシ詐欺」の写真

岡山弁パフォーマンス コント「ワシワシ詐欺」

岡山弁パフォーマンス 歌・ギター「伯備線恋の唄」の写真

岡山弁パフォーマンス 歌・ギター「伯備線恋の唄」

岡山弁パフォーマンス 横綱土俵入りの写真

岡山弁パフォーマンス 横綱土俵入り

会場も笑いに包まれている写真

会場も笑いに包まれて

岡山弁入門講座 青山融の写真

岡山弁入門講座 青山融

「文化センター」の建設

先ほどお話しした「ことば」が岡山弁(備前地方)なんですが、皆さんわかりましたか?

語尾の「です」「ます」の代わりに「じゃ」、「~なので」の代わりに「~じゃけん」、「~には」や「それは」などは、「~にゃぁ」「そりぁ」などと変換していく、という特徴があります。

さて、この建部町に「文化センターが出来る!」ということになってから、話は始まります。

清流旭川のほとりに「水とくらしの文化村」をテーマに、伝統文化を受け継ぎ、その上に新しい地域文化を創造し、それを町から外に向けて発信していくための拠点とすべく、町制施行30周年の記念事業として建設され、平成11年2月に開館しました。

隣接する親水公園の環境整備も進み、周辺にある八幡温泉郷とともに町内外の人々の交流がより活発になって、この一帯を核とした旭川中流域文化圏が形成されることを目標に、「豊かな自然と文化が香る、活力あふれるまちづくり」の場として活用してもらうための開館でした。

「水とくらしの文化村」をテーマに、この文化センターを、住民の皆さんが自分たちのものとして生き生きと活用できる素晴らしい舞台にしようと決めました。

岡山弁大会の実施

建部町は、その昔、備前の国と美作の国が交差する宿場町であり、物資や人の集散地であったことから、県内各地の方言が交わされ、それによる文化が行き交う地でもありました。河川交通や陸上交通とともに、ことばでも岡山県の真ん中「へそ」であったわけです。この建部町に県内各地の人が集い、くらしの中で生かされ、親しまれてきた日常のことばを、地域の文化として活用する場を作ろう、まずは、岡山弁に関するイベントを住民の手で立ち上げようと、平成12年10月に第1回「岡山弁はええもんじゃ~ことばの祭り・建部~」が開催されました。

文化センターの運営を考えていく有識者と、地域住民の中に、岡山弁を研究されている方がおられたことが、開催の大きな要因でもありました。ちなみに今現在もこの2名が大会の中心をになっています。

第1回目の大会は実行委員会やボランティアの方々と約半年にわたる、打ち合わせ、検討を繰り返し、町民有志による「岡山弁劇」、町民若者による「若者がしゃべる岡山弁」、岡山弁研究者の青山融さんによる「岡山弁入門講座」、「岡山弁クイズ」、ヒット曲を岡山弁に訳して歌う「岡山弁カラオケ」、「語り部による昔話の語り」等々と盛りだくさんの内容で行われました。

この第1回大会の成功を受け町では平成13年1月1日に、方言を通して人々の交流とふれあいを深め、そして町の発展を願い「岡山弁の町・建部」の宣言を行いました。

翌年の第2回大会も、町内に設置した岡山弁の看板を見つけクイズに答えていく「建部岡山弁ウォーク」や地元高校の演劇同好会による「岡山弁甲子園」、「古屋和子さんによる口承」などさらに新しい内容を加えたものとなりました。

こうして、試行錯誤しながらも会を重ねていく内に「毎年楽しみしとるんじゃ~」というお客様の声が聞こえてくるようになりました。

第5回大会では、全国の独創的なイベントを顕彰する、地域活性化センター主催の「第9回ふるさとイベント大賞」において、都道府県から推薦された全国136イベントの中から、大賞に次ぐ優秀賞を受賞しました。

また昨年は岡山国体開催の年であり、建部町はカヌー、スラローム会場となって盛会に大会が行われました。

そのことにちなみ、標題に「建部ふるさとはっぽね風土記」と銘打って、岡山弁劇の劇中に、国体期間中の様子や町内名跡の映像、たけべはっぽね和太鼓による和太鼓の演奏などを取込み、国体記念にふさわしい大会となりました。

現在の内容は、『県内一般公募者による「岡山弁パフォーマンス」、岡山弁研究者の青山融さんによる「岡山弁入門講座」、町民有志による「岡山弁劇」で2時間程度の大会』というところで落ち着いてきています。

苦心する点と言えば、岡山弁劇が一般の有志の皆さんで行うので、なかなか台詞が覚えられず、台本無しでの演技は本番1発勝負となってしまうところでしょうか。しかしその素人さ、素朴さが逆に受けて会場が沸き、本大会のメインになっています。

岡山弁劇「犯人はでーなら?」の1場面の写真

岡山弁劇「犯人はでーなら?」の1場面

岡山弁人間マップの写真

岡山弁人間マップ

今後の抱負

「岡山弁といえば建部町」というほど知られてきましたので、その声に答えるべく、日常のことばが活発に披露しあえる場を提供し続けていきたい、と考えています。町民皆さんのパワーと県内各地から参加する皆さんのパワーがこの文化センターでうまく融合し続けていけたらいいなと願っています。