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平成13年度政府予算編成ならびに施策に関する要望 19.水産業対策の充実

印刷用ページを表示する 掲載日:2000年7月28日

平成13年度政府予算編成ならびに施策に関する要望

  1. 地方分権の推進
  2. 町村財政基盤の強化
  3. 国・地方間の財政秩序の確立
  4. ペイオフ凍結解除後における地方公共団体の公金預金の保護
  5. 情報通信技術(IT)の進展に対応した情報化施策の推進
  6. 国土政策の推進
  7. 地域活性化対策の推進
  8. 子育て支援対策の推進
  9. 社会福祉対策の推進
  10. 義務教育施設等の整備促進
  11. 青少年の健全育成対策の強化
  12. 生涯学習等の振興
  13. 老人保健福祉対策の推進
  14. 介護保険制度の円滑な実施
  15. 地域保健医療対策の推進
  16. 国民健康保険制度の抜本的な改革の実現
  17. 新農業基本法に基づく新たな地域農政の推進
  18. 森林・林業対策の推進
  19. 水産業対策の充実
  20. 地域商工業振興対策の推進
  21. 生活環境の整備促進
  22. 道路の整備促進
  23. 河川等の整備促進
  24. 土地対策の確立
  25. 災害対策の推進
  26. 町村消防の充実強化
  27. 戸籍制度等の抜本的な見直し
  28. 住民訴訟制度の改善
  29. 非常勤職員等の雇用の新たな対応
  30. 国会議員の選挙等の執行経費の基準の改善
  31. 地域交通対策の推進
  32. エネルギー対策の推進
  33. 過疎・へき地対策の推進
  34. 山村等地域振興対策の整備
  35. 豪雪地帯の振興
  36. 半島地域の振興
  37. 離島地域の振興
  38. 観光地所在町村の振興
  39. 水源地域対策の強化
  40. 産炭地域対策の推進
  41. 非鉄金属鉱山地域対策の推進
  42. 地域改善対策の推進
  43. 北方領土の早期返還
  44. 竹島の領土権の確立

19.水産業対策の充実

 

 わが国の水産業をめぐる環境は、周辺水域における水産資源の低迷や漁業生産の担い手の減少、高齢化の進行、さらには漁村の活力の低下等極めて厳しい状況にある。このような状況に的確に対処し、水産業の一層の振興と活力ある漁村の形成をはかるためには、水産業対策をさらに充実する必要がある。

 よって、国は次の事項を実現されたい。

 

1.水産基本法の制定

  新しい海洋秩序時代を迎えたわが国の水産政策について抜本的に見直し、水産資源の適切な管理と持続的利用を基本としつつ、水産物の安定供給や地域振興等を含めた政策全般を再構築することが必要である。このため、今後の水産基本政策の理念と施策の方向を明らかにした水産基本法を速やかに制定するとともに、改革に向けた施策の具体化に努めること。

2.水産資源の適切な管理に配慮した貿易ルールの確立

  水産物に関するWTO交渉においては、各国がそれぞれ自国の水産資源を適切に管理することを前提とする貿易ルールの確立を目指すとともに、わが国の水産業の安定と発展に支障が生じることのないよう、関税の引き下げ、非関税措置の撤廃が行われることのないよう努めること。

3.漁業経営対策の強化と漁業就業者の確保・育成

(1)漁獲可能量(TAC)制度の導入等漁業をめぐる情勢の著しい変化にかんがみ、漁業活動に関する諸規制について、経営の安定と発展に資するよう緩和をはかること。

   また、資源回復措置の一環として減船や休漁等が実施される場合は、関係漁業者の漁業経営に大きな影響を及ぼすことのないよう十分な対 策を講じること。 

(2)水産物の供給を将来にわたって安定的に担い得る体制の確立をはかるため、意欲と能力のある経営体の育成に努めるとともに、これらの経営体を総合的に支援するための施策を講じること。

   また、新たな漁業就業者や後継者の確保を推進するため、生産手段取得への支援や労働条件改善の促進等施策の充実をはかること。

(3)漁協が経済的に自立し、地域における中核的組織として指導的役割を担うことができるよう、合併や事業統合を促進するとともに、漁協の事業および組織の合理化等について指導すること。

(4)漁業災害補償制度は、漁業および漁業者ニーズの変化に即して、適切かつ効率的な運営に努めること。 

4.資源管理対策の強化と操業秩序の確立

(1)わが国周辺水域の資源回復と持続的利用をはかるため、広域的な資源管理体制を確立するとともに、計画的な資源回復措置を速やかに講じること。

(2)新しい日韓および日中の漁業協定に基づく操業条件が、わが国の水産資源および漁業者に悪影響を及ぼすことのないように努めるとともに、協定水域全域における操業秩序の確立をはかること。

5.つくり育てる漁業の推進と内水面漁業の振興

(1)わが国周辺水域における水産資源の回復・増大をはかるため、種苗放流数量の増大等栽培漁業の積極的な事業展開をはかるとともに、環境に配慮し、需要に的確に対応した養殖の推進等、養殖業にかかる施策の充実・強化に努めること。

(2)内水面漁業・養殖業の一層の振興と内水面地域の活性化をはかるため漁協による漁場管理のあり方を検討するとともに、外来魚および疾病対策に配慮しつつ地域の実態に即した増殖事業を推進すること。

6.水産物の流通・加工・消費対策の強化 

(1)水産物流通の効率化をはかるため、産地市場の統合等産地市場機能の強化をはかるとともに、中小・零細企業が大部分を占める水産加工業の経営体質の強化に努めること。

(2)水産物の安全性と品質の維持を確保するため、HACCP(危害分析・重要管理点)方式の導入を推進し、衛生的・効率的な水産物供給システムを確立すること。 

(3)消費者の適切な消費行動に資するため、消費者に対し、引き続き食生活に関連する情報を提供するとともに、魚食の普及に努めること。

7.漁業地域の活性化と水産基盤整備の推進  

(1)漁業地域の活性化をはかるため、地域の定住環境の整備・改善を推進するとともに、都市との交流をはかる諸事業を推進して収益機会の増大をはかるよう支援すること。

   また、沿岸漁業の構造改善を推進し、新たな時代のニーズに即応した漁村の振興に努めること。

(2)水産基盤整備を効率的、効果的に実施するため、漁場と漁港を一体的かつ計画的に実施するとともに、漁村の総合的振興に資するための整備を推進すること。

   また、漁業集落排水施設の整備を促進するとともに、都道府県による代行制度を創設すること。

(3)高潮災害を防止するため、高潮予測情報の充実や避難場所の確保等総合的な高潮防災対策を速やかに実施すること。

8.漁場・沿岸環境保全対策の推進

(1)漁場環境および生態系の保全をはかるため、これらの実態の把握に努めるとともに、藻場、干潟の再生・造成、水質の改善等を行うこと。

(2)漁業系廃棄物の処理・再利用システムおよび赤潮・貝毒による漁業被害防止等に関する技術開発等、水産関係の環境問題全般についての対策を早急に確立すること。

(3)海浜および漁場の美化を総合的に推進する施策の充実をはかるとともに、町村の海浜清掃等環境美化運動に対し積極的に支援すること。

(4)油流出事故による漁場・海岸の汚染に即応できる油濁被害防止対策を引き続き推進すること。

9.海外漁場の確保等

(1)わが国周辺水域からのみでは不足する漁業生産を補完するため、強力な漁業外交を展開する等して、海外における遠洋漁業の漁場の確保に努めること。

(2)科学的根拠に基づいた鯨類資源の合理的利用をはかるため、捕鯨業の早期再開に向けて努力すること。

10.技術開発の推進と試験研究の強化

  水産各分野の持続的発展をはかる上で不可欠な技術開発および試験研究については、重点的、効率的な推進をはかるとともに、試験研究機関の独立法人化後においても、都道府県、民間等との連携を強化して、開発研究体制の充実強化に努めること。

11.漁村地域に対する財政措置の拡充

  沿岸、離島、半島等に立地している漁村は、地理的、社会的、経済的条件に恵まれない条件不利地域であり、総じて財政基盤が脆弱な町村が多い。

  このような町村が漁業の振興、漁村の活性化を自主的、主体的に推進するためには、財政基盤を強化する必要があるので、農山漁村対策に係る財政措置を拡充すること。