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田園回帰がひらく未来 農山村再生の最前線

印刷用ページを表示する 掲載日:2016年8月8日

田園回帰がひらく未来 農山村再生の最前線

岩波ブックレット・岩波書店刊
小田切 徳美 広井 良典 大江 正章 藤山 浩 著
定価(580円+税)

無題

 本書は、平成27年11月7日に東京都内で開催された「都市・農村共生社会創造全国リレーシンポジウム」(主催:全国町村会、 一般財団法人地域活性化センター)における基調スピーチとパネルディスカッションの内容をもとに構成されたもの。当日、出演者を取り囲むように配置した会場は満席となった。

 基調スピーチは、田園回帰の「背景」、「本質」、「諸相」について、それぞれ、「人口減少社会から希望の定常化社会へ:広井良典氏」、「「地域みがき」が人を呼ぶ: 小田切徳美氏」、「農山村と人が多様につながる:大江正章」と田園回帰の現在社会における位置付けを確認する。同時に、公共政策やコミュニティ、 地域ガバナンス、そしてジャーナリズムを専門とする3者の視点は、「田園回帰」の価値に拡がりを与える。後半部のパネルディスカッションは、実践者による田園回帰の内発性に焦点をあてる。 コーディネーターを務めた藤山浩氏によるキーワード方式による進行は、「何が農村に人をひきつけるのか」「循環型社会のつくりかた」「都市と農村の共生のためには」の問いに対するパネラーから実にユニークな回答を引き出すことに成功している。 終了後出演者たちが「これまでにない体験をした」と評したシンポジウムの雰囲気が伝わってくる。

 都市・農村共生社会への処方は、決して斬新なものではなく、少し視点を変えた新しい意識と行動力を持った人たちが増えていくことにあるのだと、本書は示唆している。