本書は、「地方創生」の最大の論点である「しごとの創生」をめぐって開催された、2015年10月14日の特定非営利活動法人中山間地域フォーラム主催のシンポジウム「どう創る、中山間地域の『しごと』― 地方創生の実践」の記録に加筆したもの。
はじめに小田切徳美明治大学教授が、農山村での「しごと」を考える論点を藤山浩島根県中山間地域研究センター研究統括監が、地元にしごとを取り戻すためのポイントを解説する。
続くパネルディスカッションには、「ナリワイ」という言葉を創り出した伊藤洋志氏、過疎地と古本屋と障がい者を組合せるなど多彩な活躍を続ける尾野寛明氏、地域おこし協力隊を経て町を元気にしたいと地産地消レストランを起業した高木千歩氏など、著名なフロントランナー達が登壇、暮らしの糧となる「しごと」を中心に、熱気にあふれる濃密な議論の様子を余すことなく伝えている。コメンテーター役の松永桂子大阪市立大学大学院准教授は、楽しみながら仕事をする「クリエイティブ・クラス」が都市ではなく、中山間地域や農山村にいることを、価値観の変化の象徴と指摘する。都市と農山村を発想と行動の両面で、自由に行き来する時代の到来を感じとれる、爽やかな読後感が味わえる1冊。