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日本、買います ―消えていく日本の国土―

印刷用ページを表示する 掲載日:2012年10月29日

日本、買います
―消えていく日本の国土―

平野 秀樹 著
新潮社 定価1400円+税
電話 03-3266-5111

近年、各地で外資の土地買収が進んでいる。報告された事例はいまだ少数だが、その対象は山林のみならず、農地、国境離島、軍用地などへと拡がっているという。

日本の国土の約半分は、地籍が確定していない。また、明治以降抜本改正のない登記制度は「幽霊地主」を量産し、土地売買に係る規制は他国に類がないほどに緩い。 丹念な取材で外資による土地買収の実例を挙げながら、その背景には、かかる土地法制の不備があると、著者は指摘する。

そこで町村部に目を移せば、周縁集落等での空き家・不在村地主の増加に、頭を悩ませてきた地域が多い。こうした地域では、世代交代が進むにつれ、地主が所在不明の土地の増加、 山林の境界の曖昧化など、事態は更に深刻となることが予想される。

つまり町村こそ、外資という「狼」に狙われる条件を備えた地域なのである。

著者は、国家による土地法制の整備とともに、「条例等による地域ガバナンス力の強化」の必要性を訴える。ふるさとの未来を守るためには、このような制度整備に加え、日頃から、 地域の端々にまで目を配っておくことが肝要となる。そこに生じる変化の兆しを見逃さないために、是非、本書を参考としたい。