過疎化、高齢化の大きな流れの中で、若者が農山村からいなくなって久しい。 今日の農山村は地域の中の交流も減少し、地域外の視点と若者の視点が不足している。人間関係は固定化し、集落の役を務めるものはいつもの顔…といったように、時代の流れに対応した地域づくりをするための土壌が危機に瀕している。
こうした事態に対応するため、都市の大学生などの若者が農山村に入り、新たな風を送り込もうという取り組みが地域づくりインターンである。すなわち農山村の地域づくり活動の主体との交流を通して、都市の若者が自らの労働力・知識・技術を提供し、地域づくり活動に参画、支援をすることを目指したものである。本書は様々な事例を紹介しながら、農山村と都市の若者とが協働して地域をつくっていくにはどのような関係を構築すべきか、そのポイントを提示する。
執筆者は編者4人を含む27人。研究者のみならず、自治体職員、地域づくりインターンOB・OG、農業従事者などバリエーションに富んでいる。インターン経験後の学生たちの成長ぶりはまぶしいほどだ。卒業後、地域に惚れ込み、飛び込んだ学生も少なくない。「婿さんを連れて農山村にUターン」という女性もいる。若者たちと周囲の人びとの「熱さ」がよく伝わってくる一冊である。