人口減少時代が到来し、自治体をめぐる環境が激変する中で“自治体職員”として生き抜く意義は何か――「自治体職員論」をテーマに全国5か所で開催された大森彌氏による10時間集中講義が書籍化された。
自治制度の変遷から地域観・職場・働き方に至るまで、幅広いテーマを全5講にわたり簡潔明快に語る。抽象論・理想論にとどまらない説得力に満ちた論考で、 世代・役職を問わず、広く職員の共感を呼ぶ内容だろう。
昨年来、注目を集める自治体消滅論については、「こんなところに人は残らないといった“こんなところ”意識」「“やっぱりだめか”という諦め」に警鐘を鳴らし、「地域で生きているのは、“人口”ではなく、 生身のかけがえのない個人だ」と強調する。
また、平成の大合併を「合併に疑問を感じながらも、合併促進の実務に精励した職員の心のうちはいかばかりだったか」と述懐。職員に寄り添い続けてきた著者ならではの感想だろう。
来春から義務化の「人事評価制度」「管理職の成り手不足」「職場のメンタルヘルス」など最新の動向も交え、困難に立ち向かう職員を終始一貫して激励する。 衰えを知らない熱い大森節に「よしやるぞ!」と元気をもらえる。