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農山村は消滅しない

印刷用ページを表示する 掲載日:2015年1月22日

農山村は消滅しない

小田切徳美・著 岩波新書 780円+税

無題

 このところ地方消滅論に対抗した書籍の刊行が相次いでいる。「自治体の消滅」というこれまで耳にしたことのない言葉が投げかけた波紋は、衝撃といえる大きなものとなった。 本書は、消滅論への単なる批判ではなく、次の一手への羅針盤となる、考えるためのヒントを提示している。読者は、地域の再生に向けた支援の形態はどのようなものか、どのような理念に基づいて設計すべきか、 先発事例の分析を通じ具体的に学び取ることができるであろう。

 筆者の視線は、「困難な中でも進化し、前進しつつある」地域づくりの実践を経て獲得された農山村の可能性に注がれている。政府の世論調査も示すように、都市住民の関心は農山村に向きつつある。 消滅が騒がれる中、「時論」として世に問われた本書は、都市・農村共生社会の展望が視野にある。「農山村は消滅しない」と言い切る理由がここにある。地方創生政策が動き出し、 各自治体は「地方版総合戦略」の策定に取りかかることになる。「地方が自ら考え、責任をもって戦略を推進する」ことが求められる時代になった今、本書は自治体関係者に大きな示唆を与えてくれるであろう。