四方を高い山に囲まれ、標高1200メートルの高寒冷地の長野県川上村は、かつては極貧の寒村であった。その逆境をバネに豊かな村づくりを目指そうと、先頭に立ったのが著者の藤原忠彦村長である。
村の根幹である高原野菜のための土壌改良、新種開発、機械化、ブランド創り、そして輸出を、村民とともに努力を積み重ねてきた。その結果、村の農家 607戸の農業売り上げは約155億円(2007年度)。1戸平均2550万円を超える。
藤原村長は農業に知恵を絞ってきたのはもちろん、人づくりと村づくりに軸足を置いている。廃止が決まった民営バスを買い取り村営で黒字化を実現、いち早く全村にCATVを導入し、村民の健康維持を考え「ヘルシーパークかわかみ」も開設した。これらの取り組みで、村の出生率は全国1位の沖縄県1.75を上回る1.83(2007年度)に伸び、さらに医療費の低額化も実現、全国トップクラスの「健康な村づくり」に成功している。
本書は藤原村長の21年にわたる“村づくり”の軌跡をまとめたもの。その先進的な取り組みが綴られており、全国の首長はじめ自治体関係者の参考になる一冊となっている。