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空き家問題解決のための政策法務

印刷用ページを表示する 掲載日:2018年5月29日

北村 喜宣・著
2,800円+税

空き家問題解決のための政策法務

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  空家法(空家等対策の推進に関する特別措置法)が制定された2014年11月から3年半が経過した。もとより同法は、空き家対策に苦心する自治体の独自条例が先行するする形で法整備が進んだ経緯がある。本書は、法制定以前からこの問題に取組み、現場の自治体職員の目線から研究を進めてきた筆者の最新の知見を盛り込んだもの。サブタイトルを「法施行後の現状と対策」としているが、法制定以前の自治体の対応状況についても解説されており、問題の社会的背景と自治体が切り拓いてきた、政策対応の歩みを概観することができる。筆者は、空き家問題の根は深く、空家法も「対症療法」、「窮余の一策」であり、「これをもって本格的な解決は到底無理」だと指摘、まちづくりや福祉、コミュニティなど関連領域を含めた、法制度の基本思想を根本から変更する必要があると主張する。とはいえ、自治体には現実の課題を手続きに則り公正に処理することが常に求められる。本書は法制上の論点のみならず、その運用や実務的な課題への対応を場面ごとに詳細に解説している。空き家問題という特定課題を扱ってはいるが、公益と住民の法益を調整しながら課題に向きあうセンスと技量を磨くヒントが満載されている。担当者はもちろん政策法務を学ぶための生きた教材としても有用である。