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山本会長が地方制度調査会第18回専門小委員会で意見

印刷用ページを表示する 掲載日:2003年2月28日

地方制度調査会第18回専門小委員会の写真
地方制度調査会第18回専門小委員会

山本全国町村会長の写真
山本全国町村会長

 第27次地方制度調査会(首相の諮問機関、諸井虔会長)の第18回専門小委員会(松本英昭専門小委員長)が2月28日、東京のグランドアーク半蔵門で開催され、 地方六団体の代表からヒアリングを行いました。
 専門小委員会では、昨年7月1日に開催された 第3回総会にて決定された審議事項について審議を行ってきましたが、これまでに基礎的自治体のあり方の検討をはじめ、大都市・都道府県・地方税財政のあり方など審議事項について一通り議論が行われました。同日は中間報告の取りまとめを前に地方六団体との意見交換が行われ、各団体の代表が参考人として意見陳述を行いました。
 全国知事会の石川静岡県知事は個人的意見として「内政制度改革試案」について、植田全国都道府県議会議長会会長(福島県議会議長)は大都市における都道府県の議員のあり方等について、青木全国市長会会長(東京都立川市長)は西尾私案における事務配分特例方式・内部団体移行方式等について、前田全国特例市議会議長会会長(神奈川県大和市議会議長)は都市行政の役割の充実・発展等について、安原全国町村議会議長会会長(広島県神辺町議会議長)は新たな広域行政制度の構築等についてそれぞれ意見を述べました。
 全国町村会からは山本文男会長(福岡県添田町長)が出席し、市町村合併、基礎的自治体のあり方、地方税財政のあり方等について意見を述べました。
 意見交換では本会提案の「市町村連合(仮称)」、地域自治組織に委員の質問が集中しました。山本会長はそれらに対して説明するとともに、実現に向けての検討を要請しました。
 なお、松本専門小委員長は会議終了後の記者会見で、中間報告の提出は統一地方選後になるとの見通しを明らかにしました。
 山本会長の発言要旨と意見交換の主な部分は次のとおりです。

全国町村会提出資料

  1. 市町村合併と基礎的自治体のあり方等について (PDFファイル:12KB)
  2. (別紙)市町村連合(仮称)等の創設について (PDFファイル:7KB)
  3. 「町村は訴える~町村自治の確立と地域の創造力の発揮」
  4. 「町村は訴える~町村自治の確立と地域の創造力の発揮」ダイジェスト版 (PDFファイル:753KB)

山本会長発言要旨

 基礎的自治体のあり方についてはいろいろ意見を申し上げてきたが、この機会に改めて私どもの意見を申し上げるので、お聞き取りいただいて中間報告に反映させてくださるよう最初に申し上げておく。

1.合併について

 合併は関係市町村の自主的判断で行われるべきものであり、強制されるべきものではない。

 私ども町村会は合併そのものに反対しているわけではない。現行の合併特例法の期限が切れ後も、自主的な合併が行われることは有り得るだろう。合併にはそれに伴う特別な行財政需要が出てくるので、期限切れ後も引き続いて特例措置を講じる必要があると考えている。

 人口××未満の市町村を強制編入合併させるような案(内部団体移行論)が出てきているが、これに対しては私どもはとても納得することができないし、容認できない。「内部団体移行論」をどうしても制度化したいというのであれば、強制的、自動的な移行ではなく、希望する市町村があればそのような選択もできるという仕組みにすべきではないか。

2.基礎的自治体のあり方について

(基本的な考え方)

 基礎的自治体と小規模市町村の区分はそもそも必要ない。住民に最も身近な行政主体である市町村は、人口規模の如何を問わず、普通地方公共団体として、文字通り基礎的な自治体として位置づけておくベきだ。

 地方自治法も単に人口規模だけでなく、経済的社会的な状況、例えば連たん戸数等の相違を考慮して市町村を区分しているのはご存じのとおりだ。やはり、国土の多様性に応じ、多様な自治体で国土が形成されるのが極めて自然な姿である。無理やりに人口一定規模以上の自治体をつくりあげ、「国土の大半がこのような基礎的自治体の区域に区分されることが望ましい」とはとても思えない。ある新聞の社説に「専門職がおらず能力がない町村が合併に反対するのはもってのほかだ」というようなことが書かれていたが非常に残念なことだ。そういった意図で無理矢理一定規模以上の自治体を作り上げていこうとするお考えだとすれば甚だ心外であると申し上げておく。

(地方分権の受け皿づくりについて)

 無理してそぐわないような分権をする必要はない。例えば人口が5千人しかいないところにあれもこれも分権するということではなく、それに相応しい分権をすればいいと考えている。分権推進のためには一定規模以上の人口が必要であり、そのために合併を進める必要があると言われているが、分権推進一括法の施行から2年近くが経っているのにも関わらず分権を進めていく気配はない。それぞれの地方自治体の人口に応じた分権を進めていけばよいのではないか。時代が進めば分権はこうした方がいいだろうという新たな考えも出てくるのではないか。

(事務処理権限について)

 西尾私案では、人口一定規模未満の市町村は「窓口サービス等」のみを行い、残りの事務を都道府県が自らの権限として行う(事務移行特例方式)との考え方が示されているが、これは分権改革に逆行するのではないか。片一方では分権をやれと言っておいて、市町村の事務を県に移譲しろというのは逆ではないか。県の事務を市町村に事務を移譲するというのであればいいが、小さい方から大きい方に移譲するというのは極めて非現実的な考え方であると思えてならない。

 基礎的自治体としての市町村は、住民生活に密接に関連する公共サービスを執行する責任を有しているが、公共サービスというものは「窓口事務等」に限られるものではない。その範囲を見直すというのであれば、ナショナルミニマムのあり方、法令による義務づけのあり方、財政措置のあり方等と関連して十分な議論を行い結論を出すべきだ。

(小規模市町村について)

 本調査会をはじめ、関係各方面の論議の動向は、人口の少ない小規模市町村はこれからの財政状況を考えれば成り立ち得ないとか地方分権の受け皿たりえないとかいう方向にあると思われる。

 しかしながら、大半が農山漁村であるこれら市町村のこれまで果たしてきた、国土の保全など重要な役割を想起して欲しい。

 また、現に厳しい財政状況下にあってどのように知恵と工夫をこらしながら、様々な課題に取り組んでいるかを認識して欲しい。資料として「町村の訴え」を提出しているので、その中の8ページ以降、「町村の創造力」をよく読んでいただきたい。町村がいかにその力を発揮してきたかおわかりいただけるはずだ。改めて小さな町村のあり方をご認識いただきたい。

 財政事情が厳しいからといって、小規模市町村に対してペナルティ的な措置を講じても解決にはならない。また、マイナスとマイナスの町村を無理やり合併させてもプラスにはならない。小規摸市町村をねらい打ちしたような措置を講ずべきではなく、痛みは平等に分担するのが今日的な処方ではないだろうか。

 むしろ、乏しい財政の中でも町村がより一層知恵と工夫をこらした行財政運営をやっていけるよう、国の一律基準や規制を廃止、緩和するようにすべきではないか。

(広域行政について)

 広域行政は、合併だけがその手段ではなく、地域の実情に応じて様々な対応がとれるような方途を講じておく必要がある。西尾私案は「広域連合」を断念し、合併一辺倒による基礎的自治体の整備を目指そうとしているようであるが、私どもとしては、現在の制度に加え、広域連合制度をより徹底した「市町村連合(仮称)」の制度化を提案したい。時間の制約もあると思うので、説明は省くが、その概要を 資料 (PDFファイル:7KB)として添付しているので、検討していただきたい。

(住民自治の充実強化について)

 自主的な合併により区域が拡大したところでは、住民自治の充実強化を図る必要がある。このため、「地域自治組織」の制度化を提案したい。これについても、その概要を 資料 (PDFファイル:7KB)として提出しているので、検討していただきたい。

3.地方税財政のあり方について

(三位一体の改革について)

 基礎的自治体としての市町村は、人口規模の如何にかかわらず、住民生活に密接に関連する公共サービスを執行する責任を有している。これらをできる限り自律的に実施できるよう、必要な財源を付与すべきである。
 このような観点に立って三位一体の改革を進め、将来の税財政の姿を早急に示すべきである。

(国庫補助負担金について)

 国庫補助負担金の整理合理化が単に国の負担軽減にとどまり、また、地方への負担転嫁をもたらすようなものであってはならない。

(税源移譲について)

 地方分権を実効あるものとするためには、税財源の移譲を早急かつ積極的に行う必要がある。
 今後、具体的な税源移譲の検討に当たっては、人口が少なく課税客体に乏しいという町村の実情に十分配慮いただきたい。

(地方交付税について)

 税源移譲があったとしても、やはり税源偏在の問題は残ると思う。
 その意味からも、地方交付税のもつとされる調整機能、財源保障機能は、町村にとって一層重要なものになってくると考えている。
 地方交付税の財源保障機能の見直し論などは、日本の国土事情を背景として経済構造の実態や地方行財政運営の基本的な仕組みを認識しない論外な議論である。
 なお、地方交付税制度のあり方について検討する場合には、町村が人口割合に較べて広い面積を有していること、そして国土の保全などに重要な役割を果たしていることなどを十分に考慮し、実態を的確に反映した財政需要の算定を行っていただきたい。

意見交換

山本会長

 2月25日に全国町村会と全国町村議会議長会で総決起大会を開催した。合併に反対で集まったのではない。現行の合併手法は法律で決められたものなので構わないが、17年の4月1日以降のあり方について、言われているようなことをやられると私ども町村は自治権をなくしてしまうと今非常に不安に思っている。そういう理由で皆で集まって決議と宣言を行った。この決議の内容は、私が先ほど申し上げたように、小規模市町村を強制的に編入合併させるとか、県に事務をやらせるといったことはやるべきでないということである。先ほど申し上げたように水平補完の場合は、これはあくまでも希望制、選択制なら認めるが、垂直補完については、誰が考えても地方分権時代に言えることではなく、賛成できない。そのことを全国民、政府・国会に分かってもらうため大会を開催した。

西尾副会長

 「現行特例法の期限切れ後も、人口規模を問わず市町村の自主的合併は有り得るわけであり、その際合併に伴う特別な行財政需要はでてくるので、一定の特例措置を講ずる必要はあると考える」の「一定の特例措置」とはどういうことを念頭に置いているのか。

 市町村連合という大変興味ある提案がなされたが、現在の広域連合とどこが違うのか考えると、財政について「一定の課税権を認めることを検討する」という部分は新しい提案だ。もう一点は事務事業の部分で「連合が実施処理する事務事業の種類や範囲は、連合議会で決定する」という部分が新しいところである。従来は連合を作る時の規約で決めることになっており、関係市町村の議会で議決をして連合の事務を決めることになっていたが、ここでは連合議会が決定するとなっており新しい制度の提案になっている。そこで質問だが、連合を作る時に当初連合はこの範囲のことをやるのだと1回決めたらずっとそれで行くのか、それとも連合議会が判断すれば次々に新しい事務を追加していくことが可能だとお考えなのか。

山本会長

 「一定の特例措置」については、最初に申し上げたように行政の常識として、今まで支援してきたものを法律が失効したから新たに合併しても支援しませんよということはまずあり得ない。これは常識上、支援は続けるべきであると「一定の特例措置」は言っているわけである。

 「市町村連合」について私どもが考えているのは、加盟市町村が5つあるとすると、連合長だけはその市町村の有権者が選ぶということだ。今の広域連合も直接と間接の二種類あるが、直接は行われていない。現在の広域連合は矛盾が多すぎるのでなかなかやりづらい。私は福岡県の介護保険広域連合の連合長を務めているがやりづらい点がたくさんある。考えられるのは、加盟市町村の枠内にして、その外にはでない。それで最初共同で処理する事務を最初に決め、後でこれもさらに必要であると議会で決めればそれを追加するというようなことを考えている。
 例えば議会議員が5市町村で100人いるとし、50ある事務のうち連合側で20やるとすると、それに比例して5つの議会議員がそのまま間接的な選挙を行って連合の議員になる。そして首長は全員副連合長に自動的になるようにする。また職員は当初は5つの市町村から派遣し、その後プロパー職員を採用できるようにする。専門職、高度な技術を持った人たちがどうしても必要になってくるだろうからそういう人たちを連合で採用していくようにしていこうという構想である。
 しかし私どもは法律の専門家ではないので、いろいろな問題があるだろうし、そこまでは決めていない。広域連合には連絡調整に時間がかかって遅くなる、意志疎通に単一の自治体より時間がかかるなど障害になる点が多々ある。一遍決めて持ち帰って規約の変更を行い、その後また議会を開くというのが今の広域連合であり、何度も往復しなければ決められないという矛盾がある。市町村連合では、そうせずに連合の議会に任せるということを初めに規約で決められるよう法制度を整備していただければいい。迅速化についても意思が反映されないという点についても、一つの自治体を作るのと同じようになるわけだから広域連合の矛盾は解消できる。

 市町村連合は決して基礎的自治体を狙っているのではない。私どもは市町村は全てが基礎的自治体だと思っており、この連合によって新しい基礎的自治体を作るのだとは思っていない。事務を共同で処理することで効率化と経費の節減効果等が実現できるのである。

マリ・クリスティーヌ委員

 合併に関して様々な障害があってなかなかうまく進まない場合が多いが、連合することによって各地域の問題点を持ち寄ってくれば、いずれは連合をもう一歩発展させて、皆が納得すれば合併しようとなったり、もっと広域的なものの中に入っていこうとなるかもしれず、仕組みの土台作りとしてはとてもいい発想だと思う。

世古委員

 住民や地域の声を活かすのが住民自治の基本だと思っている。ご提案の「地域自治組織」についてもう少し詳しく教えていただきたい。

 広域連合を作ってもなかなか効率的でないというのはその通りだと思う。今の広域連合の制度を止めて新しいものを作ろうとしているのか。

 これまでは行政が全て公共の仕事を担うというふうに考えすぎていたと思う。もっと住民自身が公共の仕事を担うような新しい役割があると考えている。もちろんNPOもその一つで、自治体レベルでの行政と住民団体との公共の仕事の役割分担という視点をもっと入れたらどうか。

 西尾私案というものはこれからの地方自治を考えていく上での一つの私案でしかないと考えている。もっと多様な対案が出てくることが必要だ。具体的な対案として色々なところから出てくることがこの議論を活性化させるのではないか。

山本会長

 自治組織については提出資料「市町村連合(仮称)等の創設について」の最後で「地域自治組織」として触れている。これは地域単位で一つの自治組織を作ろうというもので、法制化していただけなければならないが、作るか作らないかは市町村の自由な判断に任せていいのではないかと考えている。合併すると地域がすたれることが懸念されていることから、話し合いの場、あるいは住民の話を聞き、住民に情報を伝達するような機構を作ったらどうかとということで自治組織を提案した。長たる者を選挙するのか、皆で推薦するのか、組織の委員の数を何名にするのかということなどの点は条例で決めればいい。主たる目的は合併すると住民の声が直接届かないおそれがあるので、そこで一度まとめて持っていくということで、旧町村に一つだけ作るかといえば決してそうではなく、地域ごとに作ってもいい。人口が多ければ集落ごとに作っていくということもある。

 今の広域連合は一度決めたものは一度加盟市町村に持ち帰って議会で議決し、また持ち寄って議決し直すということになっている。議会議員について、福岡県では今72市町村で広域連合を作っているが、各市町村の執行者側と議会側から合わせて2名ずつ出てきている。議事運営は今日までスムーズにいっているが、144名の議員は多すぎる。この4月から半分にしよう、加盟市町村から1名にすることにしようとしているが、手続きがややこしくて、非常に時間がかかる。広域連合を残していくということであれば、新たな市町村連合に関係する法律を新たに作る必要があると思う。しかしまた新たに法律を作ることは今の時代にあまり適当でないとお考えになるのであれば、法改正によって私どもが申し上げているような広域連合にしていただいてもよいと思う。

 NPOと行政との連携は当然あるべきだと思うが、もう少しうまくいくように法での調整が必要だと思う。趣旨については賛成で、推奨すべきだと思っている。

神野委員

 地方制度調査会で基礎自治体ないしは地方制度を見直す目的は、大きいとか小さいとかではなく強い自治体を作ることであると考えている。強い自治体をどうやって作っていくのか。国民国家の役割がボーダーレス化やグローバル化で小さくなっていって、自治体が担わなければならない役割が非常に増えてきている。強い自治体を作るためには、財政力を強めるというのが皆さん共通の主張で、国と地方の税源の配分を見直して、地方により多く財政の自己決定権を与えろということだった。これは地方分権推進委員会の最終報告の線に沿って進めることが重要であると思うが、なかなか進まない。そうした財政力の強さが要求されているのもその点にあると思う。
 同時に、主張されたように、国民が自分の生活を決定できる権限を強めなければならない。身近なところでできるだけ自分たちの生活を決定できる要素を残さなければならない。この二律背反的なことをやろうとすると、町村会の提言のように、これは連合体と言われているが、もう少し言葉を強めて言えばフランス型のように共同体、都市共同体、地域共同体を作っていくということだ。今までの市町村の共同体を作っていくことだが、この場合のポイントは課税権を持たせるということだ。
 もう一つの方法はスウェーデン型のように合併はするのだが、しかし身近な住民サービスについては決定権が持てるような自治組織を作ることだ。強い政府を作っても身近な政府でなくなってしまっては困るので、身近な政府であり続けるという方式がある。この二つの方式はそれぞれ町村会の提案の中には活かされている。これは私の考え方とも通じており、その点ではいいのだが、私の理解では市町村連合と地域自治組織のどちらか一方をやれということかと思っていたのだが、両方とも行うとのお考えなのか。

 もう一つ重要な点は、地域住民に対してどこが責任を持つのかということだ。この点は町村会も模索しているところだろうし、調査会も模索しているところなのでこう考えていますという結論は必要ない。こうした制度は重要なことなので、様々な形で慎重に考えていけばいい。こういう考えもあるというふうに積み上げていけばいい。しかし結論がもし出ているのならば教えてほしい。

西野委員

 広域連合に色々問題点があることはある程度承知しているが、その中で最も問題だと思われる点はどこなのかもう一度お聞きしたい。

 主張されている「市町村連合」は私の理解では広域連合よりも権限を強めるということと課税権を与えるということだが、課税権を与えるということになると、地方は今二層だが三層という形になるのではないか思うが、その点についてどうお考えか。

 市町村連合と都道府県との関係についてはどのように考えているか。

 お考えになっていることは私どもがいつも考えている住民に密着した組織が住民の本当なニーズを把握してそれを的確に供給するということである。市町村が、特に農山村で過疎などの問題で闘いながら森林等を守ってらっしゃったことも分かるのだが、個々のこれからの将来を考えると人口の減少傾向ということはどうしても考えていかなくてはならないことだ。

 広域的に提携するか合併するかは別としても、提携して仕事に当たっていくということは非常に重要なことだ。連合という形を取りながらもしだいに合併できていく態勢もあるいは整っていくかもしれない。そういう時が来るのならその時に合併するということも考えて、一定の措置を現行の特例法の期限切れの後も考えるべきだと言っておられるのか。

山本会長

 時間がないとのことであるので結論だけ申し上げるが、私は法律の専門家ではないのでこうだああだということは言えないのでその点は予め了承いただきたい。

 課税権について、これは事務事業を母体である市町村とどう分けるかによって、同じ税を分け合うという方法もあると思う。新たなものを作るというのは大変なのでなかなかそうはいかない。例えば連合の方がやっている事務事業が元の母体に比べて40%だとすればその40%分を連合の方に配分してくれという話し合い、協定でやっていけばいい。それだけの権限があるということが決まればいい。

 市町村連合は合併をした市町村が入って一緒にやってもいい。合併をしない市町村だけが一緒にやるという意味ではない。

 責任については、事務事業を分けるわけだから、それに伴う責任は持つべきだと思うが、住民への基本的な責任は母体の市町村が持つべきではないだろうか。

 都道府県と市町村連合だが、一緒にやるとうまくいかないように思える。今福岡県でやっている介護保険の広域連合については県が入った方がよかったのか入らなくてよかったのかその結論はまだ見いだしていないが、県が入ると市町村連合、共同体にはならないと私は思う。そういう解釈で、県との関係は現在の県と市町村の関係と同じような関係でいいのではないかと思っている。

 農山村や中山間地では人口は確実に減っていくということは間違いない。しかし、そこに町や村があるから少子・高齢化を真剣に考え取り組んでいけるのであって、合併すると一部分になってしまうわけだから加速度的に人口が減っていくと思う。これの点は十分考慮する必要がある。

 市町村連合を何年かやって経験を積んでいくと、もう合併した方がいいというように進んでいくと私は考えている。むしろそれを期待している。なぜ今合併を真剣に考えているかというと、財政でだんだん締め付けられてきたからであり、お金が潤沢にあれば誰もそのような議論はしない。だから市町村連合を作ってやっていくと合併して一つになろうという気運の醸成になるだろう。将来はそれで合併がすんなりといくのではないか。

(了)

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