知っておきたい移住前の八つの心得
移住を成功させるためには、情報収集と入念な準備が大切。物件の探し方や生活費、仕事のことなど、知っておきたい移住の心得を紹介します。
移住を成功させるうえでもっとも大切なことは、移住の目的を明確にすること。憧れやぼんやりしたイメージだけで移住してしまうと失敗の可能性も大きい。実際に移住するとなったら、まずは具体的なプランを立てよう。
たとえば、農業をしたいのなら技術の習得や農地を確保する必要があるし、古民家カフェを経営するとしたら集客方法や立地を検討する必要があるだろう。移住の目的が具体的に見えてくれば、地域や物件なども絞られてくるはずだ。
どうしてもこの仕事がしたいとか、暮らしていくうえで充分な収入を得たいといった希望を満たすのは容易ではない。移住したものの仕事がなくて生活できない……なんてことがないように、できれば仕事を確保してから移住を決めたほうが安心だ。
デザイナーやIT関係の仕事など、インターネットを利用した在宅勤務が可能なら、比較的どこへでも移住しやすいといえるかもしれない。
仕事のある都市部に近い場所を選ぶとか、二地域居住というスタイルも選択肢のひとつ。
移住候補の地域にはなるべくたくさん足を運ぼう。何度も通ううちに、地域の暮らしぶりを肌で感じることができる。大雨が降ったときや冬の積雪の状況なども、できれば把握しておきたい。一方、何度も通ううちに、その土地が自分の理想とは異なることにも気づくかもしれない。
自治体のなかには、数日から数か月単位で滞在できる体験住宅を提供していたり、移住体験ツアーを実施しているところもあるので、積極的に利用してみるといいだろう。
慣れない土地で頼りになるのは、地元の人たちだ。移住したら必ず近所にあいさつして、行事や集会にも積極的に参加しよう。自分は新参者と心得えれば、つき合いもうまくいくはずだ。地元の人と仲よくなると畑を貸してくれたり、働き口を世話してくれたりと、いいことも多い。「この人にずっといてもらいたい」と思われれば、移住のスタートは上々だ。
空き家の増加に悩む自治体では「空き家バンク」を開設しているところも多い。これは、移住希望者と空き家の売却希望者をマッチングさせるシステム。インターネットで空き家情報を公開している自治体も多く、予算や土地の広さなど条件を絞って検索できるので便利だ。地方には200万円前後の古民家や家賃1万円以下の借家など安価な物件もあるが、補修に膨大な費用がかかる場合もある。電気や水道などが整備されているかも要チェック。
仲介する不動産業者がいない離島などは、地元の人を介して物件を探すことになる。
住みたい地域が確定したら、その地域の情報をできるかぎり集めよう。自治体のWebサイトでは医療や教育など、地域の暮らしの情報を公開している。子どもがいる人は、教育施設や医療機関の充実度もチェックすること。
また、移住支援団体のWebサイトは、移住体験プログラムや移住体験談など参考にすべき情報が多い。紹介されている移住セミナーや自治体の相談窓口に行けば、より確実な情報を得ることもできる。
暮らしの情報や物件情報などを発信しているWebサイト
・JOINニッポン移住・交流ナビ
・ふるさと回帰支援センター
・オーライ!ニッポン
田舎だって生活していくにはお金はかかる。とくにクルマ関連の出費は覚悟すること。田舎では、徒歩圏内に商業施設があることは少ないし、電車やバスなど交通の便もあまり充実していない。家族1人につきクルマ1台のケースが多いので、維持費やガソリン代は、家計にかなりひびく。
また、寒冷地や古民家などで暮らすと、冬の暖房代もバカにならない。
一方、自分の畑があれば野菜を自給できるし、食費はある程度抑えられる。できる範囲で自給自足する。これが豊かな田舎暮らしの秘訣だ。
移住希望者をサポートしてくれるのが、多くの自治体が設けている移住支援制度。数十万円単位で住居改修費を支給したり、補助金付きの就農研修など、支援制度は自治体によってさまざま。なかには子どもが生まれると、祝金を支給する自治体もあるほどだ。まずは、該当地域の自治体Webサイトや相談窓口に問い合わせてみよう。移住支援は移住への近道。活用しない手はない!