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「町制施行120年 新たな挑戦」

印刷用ページを表示する 掲載日:2018年4月13日

香川県宇多津町長 顔写真香川県宇多津町長 谷川 俊博

宇多津町は、瀬戸内海に面した香川県のほぼ中央に位置し、東は坂出市、西は丸亀市に囲まれた総面積8.1平方キロメートルの香川県で一番小さな町です。北部に市街地、南部に田園地帯が広がり、市街地は、1社9ヵ寺をはじめ古くからの伝統と趣を残す既成市街地と、かつての塩田跡地を埋め立てて形成された新都市の特徴ある2つの顔を有しています。

塩づくりの歴史は古く、江戸中期から230年の長きにわたり、全国屈指の「塩の町」として栄えました。主要産業であった塩業が昭和47年に廃止され、塩田跡地186ha、総事業費約230億円の宇多津塩田土地区画整理事業が、地域振興整備公団の招致のもと香川中央都市計画土地区画整理事業により14年の歳月を経て成し遂げられました。

これを契機に宿泊施設、大型複合商業施設、教育施設の誘致とともに、住宅地の造成により、商業・観光・流通・教育・住環境などの調和のとれた新宇多津都市へと生まれ変わり、昭和63年に瀬戸大橋が開通し、四国の玄関口として中讃地域における各交流拠点へと発展しています。

約30年にわたり中讃地域の商業をはじめ、各交流拠点としての役割を担ってきた新都市地域は、社会経済状況や周辺環境の変化に伴い、大きな転換期を迎え、新都市地域全体の面的活性化が喫緊の課題であり、企業誘致をはじめ活性化に取り組んでまいりました。そのような中、新都市地域へ四国最大規模の水族館を建設する計画が進んでいます。建設予定地は、美しい夕陽を望むことができる瀬戸内海に面したロケーションであり、町が有償で土地を貸し民間企業が建設、運営を行うものです。水族館開業は、地域経済の活性化への大きな貢献が見込まれることから、本町では、平成32年春の開業に向け、全面的に協力し、四国の観光交流拠点の一つとして発展させ、地域企業などと連携し水族館を活かしたまちづくりを展開したいと考えています。

さて、香川県では3年に1度「瀬戸内国際芸術祭」が開催され、アート県香川としての認知度もますます高くなっています。そのような中、本町では芸術文化の振興を図ることを目的に平成26年に公募展「第1回うたづアートアワード」を開催しました。本年は第4回目の公募展となりますが、これまで国内はもとより欧州など海外から、また幅広い世代から創造とエネルギー溢れる作品の応募をいただいております。このほか、毎春「うたづの町家とおひなさん」も開催しています。中心部である古街地域を中心に100軒の家々に伝わるおひなさんを町家の玄関先や連子窓越しに見ることができ、2日間で1万5千人が来町し、県内でも知名度の高い催しとなっています。中でも、大変喜んでいただいているのが「町民のおもてなし」です。皆さんもご存知の四国遍路において、善意によるおもてなしは、疲れたお遍路さんの体だけではなく心の癒しにもなり、険しい道のりであった遍路の存続を大きく支えてきた歴史があります。展示者からおひなさんの謂れやエピソードなどの話を聞いたり、甘酒やぜんざいなども振る舞われたりと、町中がおひなさん一色になります。今後も新しい息吹と風情ある街並みが共存する本町から、多くの情報を発信することにより、町の活性化や交流人口の増加を図り、多くの人々が訪れ集う魅力ある瀬戸内の交流拠点「宇多津」のさらなる発展を推進してまいります。

本町におきましては、平成30年に町制施行120年を迎えました。全国的に人口減少が進む中、人口が増加している数少ない自治体でありますが、次世代に責任を持つ者としましては、改めて身の引き締まる思いです。この節目の年に歴史や先人が培った本町の魅力を再認識するとともに、今後も新たな未来に向かって町民の皆さんと共に歩み、「日本で一番住みやすい町」となることを目指して、まちづくりに邁進してまいります。