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教育を柱とした地方創生 教育の町「和気町」の挑戦

印刷用ページを表示する 掲載日:2017年10月27日

教育を柱とした地方創生 教育の町「和気町」の挑戦

 岡山県和気町長岡山県和気町長 大森 直徳

本町は、平成18年3月に旧佐伯町・旧和気町が合併し、12年を迎えた。

岡山県の東南部に位置し、古代吉備文化圏の東部に位置する政治・文化の中心地であり、近世に入ると岡山藩に属し吉井川と高瀬舟が寄港する商業地として栄えてきた。

その後、時代の流れとともに交通機関も水路から陸路へと変わり、現在では南北に貫通する国道374号線やJR山陽本線、並びに山陽自動車道の整備により広域交通の要衝として発展している。

私は、世界最古の庶民のための学校である旧閑谷学校の伝統を継ぐ岡山県立和気閑谷高等学校を卒業し、現在の和気町役場に約40年間勤務、農水省農業研修生として3年間渡米し、収入役、助役等を経て、平成18年3月、合併後の初代町長として就任し、あと6か月で3期12年となる。

合併の第一課題は「住民と行政の協働のまちづくり」で、町内小学校区単位に助け合いのまちづくり事業を、税収の1%を財源として推進した。また、「地域活性化格差の解消」として超高速情報通信網を全町整備し、朝夕定時に日々の行政情報を放送し情報共有を図るとともに、光回線によるインターネット利用を町内全域で可能とするよう整備した。町の玄関であるJR和気駅周辺の整備や、交通弱者などの移動手段の確保を目的にデマンド交通システムを整備した。懸案であった企業誘致も、国内最大のボトリング工場である(株)岡山和気ヤクルト工場を誘致し、現在従業員約190名、製造本数240万本、主に関西・中四国エリアに出荷している。

『教育を柱とした取組』

和気町は和気清麻呂公の生誕地であり、町内には現存する世界最古の庶民の学校である旧閑谷学校(2020年には創立350年)の流れをくむ岡山県立和気閑谷高校が所在し、和気町の教育に対する歴史的な風土(優位性)を活かした取組をしている。

平成27年10月に「和気町まち・ひと・しごと創生総合戦略」(以下総合戦略)を策定するにあたり、町民のニーズを把握・反映するため「町民アンケート」を実施し、その結果20代、30代の若年世代では「教育・保育の環境」が上位に挙げられた。和気町のような小さな自治体は大きな自治体と競争しても優位に立つことが難しいが、「教育・保育」の環境であればもともと土壌に差は少なく小さな自治体の方が小回りが利くため優位に展開することができる。

『英語教育でまちづくり』

英語指導に特化した公営塾は、昨年4月に開講した。無料の公営塾は教育格差の足止めにもつながる。地域おこし協力隊や地元大学生らが講師になり、現在小学生と中学生を対象に毎週水・土曜日に開いている。対象者の約4割に当たる238人が登録(29年9月現在)し、英語検定では準2級に5人が合格するなど成果が出ている。

また、昨年12月に和気町の全ての小・中学校が独自のカリキュラムを導入できる文部科学省の教育課程特例校に指定された。これを受け和気町では「英語特区」学習指導要領の枠を超えた英語授業が可能になり、本年4月からALT(外国語指導助手)6名を全幼小中学校に配置し、カリキュラムの充実を図っている。また、中学校では2017年度から従来の授業に加えて隔週で1時間ALTがメインで指導する「オーラル・コミュニケーション」の授業を新設した。

『住民が求める商業施設進出を後押しする制度』

商業施設は町の魅力づくりの大切な要素で、人口減少する地方ではなかなか新規出店に目を向けてもらえないため、商業施設等の出店を後押しする「和気町出店支援補助金」を創設した。

補助制度は町民アンケートでニーズの高かった業種を対象に店舗を借り入れる費用や内外装工事費等補助率4分の3(上下150万円~2千万円)を5年間助成している。これまでにコンビニ2軒コーヒーチェーン店1軒が出店した。現在は書店とビデオ・CDレンタル店に絞り募集している。

『これまでの成果』

県外からの移住者は平成28年度に41世帯80人となり、平成27年度(14世帯28人)から大幅に増えた。また今年4月の社会動態は38人増(前年同月は14人減)、出生や死亡も含む人口動態も30人増(同23人減)と、いずれも記録が残る1985年3月以降で過去最高となっている。英語教育の充実など、移住希望者を含めた転入者を期待させる施策や地域づくりがこの結果に繋がったと考える。

『地方創生には何が必要か』

地方創生にはそれぞれの地域が特長や優位性を生かし他の自治体と差別化を図っていくことが大切であり、自らの優位性を生かし外部人材を上手に活用し、横並び的な発想を捨て突き抜けた魅力を作り出すことが必要であると考えている。和気町では教育、特に英語教育を中心とした取組が町の魅力になり得ると確証し、全町民、職員等が一丸となり共生のまちづくりを進めている。