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湯けむりとみかんの香りが漂うまち

印刷用ページを表示する 掲載日:2017年2月13日

湯けむりとみかんの香りが漂うまち

神奈川県湯河原町長 冨田 幸宏

湯河原町は、神奈川県の西南端に位置し、東西10.1㎞、南北6.8㎞、総面積40.97㎢の町で、南東に相模湾を臨み、三方を箱根伊豆の山々に囲まれる、海、山、川などの自然溢れる町です。町の北東部は小田原市、北西部は箱根町、東部は真鶴町、南西部は静岡県熱海市、西部は静岡県函南町に接しています。また、東京から約90㎞、電車で1時間半ほどの距離で、ちょっとした旅行にちょうど良く、最近では外国人の観光客も多くみられます。

長い歴史を持つ湯河原温泉

湯河原は上質な温泉に恵まれた町です。かの万葉集にも詠まれるほど古くから人々に知られていました。
「あしがりのとひのかふちにいづるゆの よにもたよらにころがいはなくに」

万葉集で詠まれたこの歌は、湯河原の川のほとりに湧く温泉の、ゆらゆらと浮動して定まらない湯煙を、恋人の揺れ動く気持ちに例えた恋歌であり、恋するあまり不安に駆られる男の心情を詠んだものです。約1200年も昔にこの歌が詠まれていたことから、すでにその頃には湯河原で温泉が湧いていたことがわかります。

また、湯河原温泉には158本もの源泉があり、ほとんどが混合泉です。主な泉質は、ナトリウム・カルシウム―塩化物・硫酸塩泉。神経痛や外傷に効能があるとされており、「傷の湯」として、江戸時代に徳川家に献上されていたほか、日清・日露戦争の際には、湯河原温泉が陸軍転地療養所にあてられていました。明治から昭和初期には、こういった長い歴史と泉質の良さ、豊かな自然を求め、夏目漱石や、島崎藤村、芥川龍之介、谷崎潤一郎など、多くの文豪たちが静養に足を運んでいました。

その中でも、一番早く、そして何度もこの地を訪れていた国木田独歩は、湯河原温泉に逗留した体験をもとに『湯ヶ原より』を執筆し、その6年後、結核を患った独歩は療養のため再び湯河原を訪れ、『湯ヶ原ゆき』を執筆しました。現在、その一節が刻まれた文学碑が温泉街にある万葉公園に建てられており、今なお、独歩の面影を感じることができます。

■温暖な気候が育てる農産物

本町の農地は、相模湾に面し、三方を箱根伊豆の山々に囲まれた丘陵地です。黒潮の影響を受けた年平均気温は16~17度で、一年を通じて温暖な気候であることから、丘陵地を生かした農業が発展していき、温州みかんを中心に中晩柑、キウイフルーツなどが生産されています。

山々が色とりどりの紅葉で彩られる頃、海沿いの斜面では潮風をいっぱいに含んだ黄金色のみかんの収穫が最盛期を迎えます。特産物の「湯河原みかん」のおいしさの秘密は、陽当たりの良い斜面と暖かな海。いっぱいの陽の光と温暖な気候のもと育てられた「湯河原みかん」は、ビタミンを豊富に含み、健康維持にも役立ちます。

当町では、この特産物「湯河原みかん」を東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)の出場選手への激励とビタミン補給のため、平成20年から、毎年、出場校へ贈呈しているほか、消費拡大と観光宣伝を目的として、1月2日の往路ゴールの芦ノ湖畔にて、約4000組に「湯河原みかん・観光パンフレット」の配布を行っています。

また、今年初めて、特産物のみかんを使った「神奈川みかんグルメ&スイーツサミット2017in湯河原」を開催しました。この企画は、みかんを食材としたグルメやスイーツを様々な事業所で新たに開発し、「みかんグルメ&スイーツサミット」のイベントにおいて、投票により競うものです。地方創生の一環として、町の新たな名産品の発掘及びイベントによる集客で地域を活性化することを目的に開催されました。今後は、イベント規模を拡張し、本サミットを通じて、湯河原を全国にPRしていきたいと考えております。

これからも、湯河原温泉や湯河原みかんを通して、国内外を問わず、多くの方に足を運んでいただけるまちづくりに努めていきたいと考えております。