ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
トップページ > 町村長随想 > 子どもの元気な声が聞こえる村 ―女性が働きながら子育てのできる環境を目指して―

子どもの元気な声が聞こえる村 ―女性が働きながら子育てのできる環境を目指して―

印刷用ページを表示する 掲載日:2017年1月30日

子どもの元気な声が聞こえる村
―女性が働きながら子育てのできる環境を目指して―

長野県南箕輪村長 唐木 一直

南箕輪村は長野県南部に位置し、中央アルプスと南アルプスの間に開けた自然環境豊かな村です。地形的には伊那谷で一番広い地域にあり、比較的平坦な村です。人口は15,300人、面積40.99㎢で、村の面積の半分が居住人口ゼロの飛地の山岳地帯となっています。村の面積の半分が飛地となっているのは全国的にめずらしいとされています。

本村は明治8年に誕生し、それ以降合併も分村もなく、現在まで142年の歩みを進めております。市町村合併の議論もその時々の合併の波の中で、活発な展開がありました。特に平成の大合併では近隣市町村と合併協議会を設立しましたが、住民投票により自立の道を選択いたしました。

私が村長に就任したのは、その直後であり、私に課せられた使命は二つありました。その一つは、健全財政を維持しながら、持続可能な村づくりをすること、二つ目は、本村は長野県下でも知れ渡るほどの「政争の村」と言われていましたので、平穏な村にすることでした。

おかげ様で、本村は昭和50年代の前半から企業誘致に力を入れてきたこともあり、純農村から工業主体の村となり税収の増加につながってきていましたので、厳しいながらも健全財政を維持しながら、事業の推進をすることができました。

もう一つの平穏な村づくりは、行政懇談会や対話集会を繰り返すことで解消することができました。一部住民からは平穏すぎて、政治的な活気がなくなってしまったのではとの話もお聞きしますが、今の時代そんなことをしていては村の発展、地域の活性化を図ることができません。私に与えられた二つの課題はほぼ解決することができました。

就任当初一番力を入れた施策は、私が若い頃共働きで苦労した経験もあり、また、これからは少子化の時代になってくるとの思いから、「女性が働きながら子育てのできる環境づくり」「子育て中心の村づくり」でした。まず保育料の引き下げから始め、就任時から現在まで6回の引き下げ、また、福祉医療費の無料化(18歳まで)、大学生への奨学金制度の創設などを実施しました。さらに、子育て支援センターの建設とともに子育て教育支援相談室を設置し、相談体制の充実に努めました。

施設面では、働く母親の子育て環境の根幹をなす、放課後児童クラブ室の新築・増築、保育園(5園)全園での長時間保育の実施、それに伴う施設整備を実施しました。また、発達障がい傾向の児童への早期支援としての療育施設の建設を行いました。これらの施策の実施と、この地域では比較的恵まれた地理的条件も加わり、「子育てをするなら南箕輪村で」との口コミも広がり、子育て世代の転入が多く、現在でも右肩上がりに人口が増加してきております。自然増が多く、結果として2015年国勢調査では、人口増加数・人口増加率ともに県内最大となったことに驚いています。

反面課題として、この半世紀で人口は2.5倍となり、最近の子どもの数の増加により、毎年保育園、小中学校の増築を余儀なくされ、その対応に追われているのが現況であります。まだまだ当分は施設不足が続きます。施設建設に経費がかかり、財政を圧迫しはじめてきていることはなんとも皮肉な結果で、ほんとうに頭の痛いことであります。

私が子育てに力を注いだ平成17年は、まだまだ子育て施策が行政運営の主体となっておらず、少し冷ややかな目で見られましたが、今となれば全国多くの自治体が人口減少問題に真剣に取り組んでおられ、本当に喜ばしいことです。

また、私の理想でありました、村のあちらこちらから子どもの元気な声が聞こえる村になり、現在の村の元気を支えていることはありがたいことです。

私どものような小規模自治体が、地方創生の事業を実施していくことは、容易なことではありません。地方創生が単に地域間競争となることなく、地方自治体の本来の使命である、今住んでいる皆さんの生活を守ることを、また地域の安全を守ることを忘れることなく、その上に立って進められていくことを望んでいます。