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持続可能なコンパクトタウンを目指して

印刷用ページを表示する 掲載日:2016年6月27日

京都府久御山町長 信貴 康孝

 

人口約16,200人の久御山町は、京都市中心部から南へ約15㎞、山城盆地の西南部に位置し、京都市、宇治市、城陽市、八幡市に囲まれ隣接している、東西3.5㎞、南北4.3㎞、面積13.86k㎡の小さなまちです。

一級河川の宇治川と木津川に挟まれ、豊かな自然に恵まれた平野にまちは広がっています。かつては、巨椋池という広大な遊水池があり、そこにはさまざまな魚や水鳥、植物が生息していましたが、 昭和16年巨椋池干拓工事の完了後、のどかな緑なす田園風景がかたちづくられました。

長年、農業のまちとして発展し、ほうれん草や水菜など軟弱野菜の栽培も盛んで、新鮮な野菜を京都・大阪の消費地に供給しています。近年では東京築地へ九条ネギの出荷も始まりました。

今からちょうど50年前、昭和41年の国道1号開通を契機に道路交通網が発達し、工業・倉庫を中心とした諸産業の進出と住宅地の開発が進み、それまでののどかな農業中心のまちが一変しました。 以降、計画的な土地利用と住みよい生活環境の形成を目指して、住工混在がないまちづくりを展開してきました。

現在、ものづくりを中心とする京都府内屈指の事業所集積(1,635事業所(平成26年経済センサス基礎調査))を背景に、通勤等による流入人口が流出人口を大きく上回り、 昼夜間人口比率は府内1位(174.8%、政令指定都市を除き全国市町村第3位)を誇っています。このような状況から、固定資産税、法人税収入に恵まれ、昭和47年から今日まで、 44年間にわたって普通交付税の不交付団体となっています。

しかし近年、少子高齢化や労働力不足により、定住人口(夜間人口)は、昭和60年をピークに減少し続けており、その産業の集積となる事業所数も平成21年から減少し、 町内の有効求人倍率は4.7倍と高いにも関わらず、昼間人口についても平成12年をピークに減少に転じています。

このような状況に加え、景気及び地価の下落から主な財源である法人税・固定資産税等の増収が見込めず、財政調整基金を取り崩しながら財政運営を行っており、今後、 現在の行政サービスの水準を維持することが予測困難な状況となってきています。

そのため、本町の持続ある行財政運営に向けて、徹底した行財政改革を公約に掲げ、就任当初から職員定数の見直し等に取り組んできました。さらに、公開事業診断を実施し、 住民の皆様や有識者のご意見をいただく中で、既存施策の在り方についても見直しを図ったところです。

また、さらなる定住意欲の促進や子育て支援のため、保育所施設の整備、保育所・幼稚園待機児童のゼロ施策の継続や子育て医療費助成の拡大といった福祉施策の充実を図るとともに、 まちの安全・安心のため、岐阜県岐南町との災害時相互応援協定の締結や、全小中学校の耐震工事、町内全コンビニエンスストアにAEDを設置したほか、まちの更なる魅力発信に向けた、 個性あふれる公園のリニューアルや農産物の久御山ブランド推進事業など、各種施策に取り組んできました。

平成28年4月からは、本町まちづくりの今後10年間の羅針盤となる「第5次総合計画」がスタートしました。その基本構想において、 目指すまちの将来像を「つながる心 みなぎる活力 京都南に「きらめく」まち ~夢いっぱいコンパクトタウン くみやま~」と掲げています。この「総合計画」と、 地方創生に係る本町「総合戦略」により、コンパクトでフラットなまちという特徴を最大限に生かした、効率的・効果的な取組や、住民の皆様や企業との「協働・連携」を一層推進する中で、 魅力あるまちづくりを進め、「人口減少問題の克服」「地域経済の活性化」といった大きな課題の解決につなげていきたいと考えています。

また、4月25日には木津川の上津屋橋(流れ橋)と浜台茶園の景観が「日本遺産」に認定されました。平成29年度に京都府と京都府南部山城地域の市町村が共に取り組む、 宇治茶をテーマとした観光キャンペーン「お茶の京都」も本町の魅力あるまちづくりの追い風の一つとなることと、大きな期待を寄せているところです。