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大切にしている思い

印刷用ページを表示する 掲載日:2015年9月28日

岐阜県町村会長・垂井町長 中川 満也

 

~垂井町って~

まずは簡単に町の紹介です。

「垂井町って何処?」とよく聞かれます。他の町の紹介をするわけではありませんが「関ヶ原合戦の町、関ヶ原と、水の都、 大垣市の間にあり岐阜県の西部に位置します」というのが一番早く場所を認識してもらえるのかなと思います。

人口2万8,200人、面積57k㎡で古くは美濃国府が置かれ、交通の要衝として栄えてきました。中山道57番目の宿場町で東海道に繋がる美濃路の起点(つまり追分の宿)になっています。 美濃国の一宮、南宮大社が鎮座し、昨年の大河ドラマで活躍した竹中半兵衛を輩出した町でもあります。

~『私はできる』~

そんな町で私は材木店経営の傍ら町議会議員を経て、平成15年に町長に就任させて頂きました。以来折に触れ、 町民の皆さんに紹介してきた私が大切にしている「詩」と「漢字」を今回は皆さんにも紹介させて頂きたいと思います。

『私はできる』
負けそうだなと思うと あなたは負ける
もうダメかなと思うと そこからダメになる
(中略)
すべては人の心が決めるもの
もしあなたがそう願うなら あなたはそのとおりになる
さあ出発だ
強い人が勝つとは限らない 
すばらしい人が勝つとは限らない
「私はできる」
そう思っている人が結局勝つのだ

この詩は、アメリカの鉄鋼王カーネギーの依頼により世界の成功者の秘訣を研究したナポレオン・ヒルが著作した「思考は現実化する」という本に出てきます。 モチベーションを高く持ち続けることはなかなか難しいものですよね。私自身もこれまで幾度となく「どうしよう」と思い悩むことがありましたが、この詩を思い出しながら気持ちを前向きに切り替えてきました。

私はこの詩を毎年の成人式で朗読し、また小・中学生の卒業記念品として町から贈る品にこの詩を添えています。これから進学、 あるいは社会に飛び立とうとする若者たちに積極的に人生に立ち向かってもらいたいと、エールを送り続けています。

~『恕』~

さてもう一つの漢字の紹介です。この字は論語の中に出てくるのですが、その一説を読み下し文で紹介します。

『恕』  論語 衛霊公十五
子貢 問うて曰く
「一言を以て身を終うるまでに之を行うべきもの有りや」
子 曰く
「それ恕か。己の欲せざる所、人に施す事なかれ」

孔子は弟子の子貢からの「一生をかけて実践していかなければならないものは何か?」との問いに、 それは『恕』だと答えています。「恕」とは一般的に「思いやり」「ゆるす」という意味で使われる言葉ですが、孔子は「自分にされて嫌なことは、他人にはするなよ」と簡単な言葉で補足しています。 が、この言葉、そんなに単純なものではないようです。

論語によく出てくる「仁」という言葉よりも更に、奥行きと深みのある、生きていく上で大切な心構えだと言われています。

ただ単に上から目線で、相手を思いやるだけでなく、相手の立場になりきるところから始まる、つまり自分のことを度外視するわけですから、この境地に達するのは凡人にはなかなか……

とはいえ、この「思いやる心」は私たちが社会生活を営む上でとても大切なものであることに間違いありません。東日本大震災以降、私たちの生き方は、「絆」という言葉でも表されましたが、 物の豊かさから心の豊かさを求める時代にシフトしています。また超高齢社会、少子化による人口減少社会を生き抜く上で、 みんなで「支え合う」、「助け合う」社会を作り上げていく事が大切であることは誰もが認識していることだと思います。 私はその作り上げていく社会の柱に、この『恕』「思いやり」という太い芯を通すことを思いながら、これからもまちづくりに取り組んでいきたいと考えています。