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人の集う島へ Keep 3000!

印刷用ページを表示する 掲載日:2015年8月24日

人の集う島へ Keep 3000!

島根県西ノ島町長 升谷 健

私の住む隠岐諸島は、島根半島の北40~80㎞の日本海に浮かぶ4つの有人離島と大小180余りの無人島からなる島々です。

本土と隠岐を結ぶ航路は、高速船と3隻のフェリーが就航しています。西ノ島と本土とを結ぶ交通手段は、海路だけであり、所要時間は、高速船で1時間、フェリーで2時間30分程度要します。

隠岐諸島は、西ノ島・中ノ島・知夫里島の3島で形成される島前と1番大きな島後からなり、2番目に大きな島が西ノ島です。

西ノ島町の面積は約56平方キロメートル、島の形状は細長く湾曲した形で平地が少なく、外海側は日本海の厳しい風浪により形成された断崖絶壁や、 巨大な岩の「架け橋」の通天橋など大自然が創り出した雄大な景色を堪能することができる、隠岐を代表する景勝地となっています。内海側は、集落の背後に急峻な山が連なるといった地形で、天然の良港となり、 古くから漁業を中心に発展してきました。

中でも、島前地区では本町にしか無い、まき網漁業の生産額が大きなウエイトを占めています。しかし、乗組員の高齢化と後継者不足が課題となっています。

西ノ島全体においても人口減少が課題です。離島という四方を海で囲まれた閉鎖的で地理的不利な環境などにより毎年100人以上が島を離れ、人口は昭和25年の約7,500人から減少の一途を辿り、 現在ではその半分以下となる約3,100人まで落ち込んでしまいました。

まき網船団乗組員の高齢化と後継者不足への取り組みとして、平成7年から事業主、JF、町が連携し「漁師になりませんか?」「漁師ほどおもしろい仕事はない」のキャッチフレーズを謳い文句に、 全国から漁船員の募集を行う取り組みを続け、現在では、全乗組員(約110名)の約半数を占めるまでになっています。

また、ほぼ同時期に「大都会を離れ、老後は自然に恵まれた島でのんびりと暮らしてみませんか」といったキャッチフレーズを謳い文句に、 比較的生活にゆとりのある50歳以上のUⅠターン者の方々を対象とした島興しプラン『シルバーアルカディア』(高齢者移住計画)を発想し、当時としては行政が行う全国初の取り組みということで、 多くのマスコミにも取り上げられました。

こうした定住対策に本町では、約20年も前から取り組んでおり、現在の移住者とその家族を含めた人数は約400人余りにのぼり、人口の1割以上を占めるまでになっていますが、 なかなか人口減少には歯止めがかかっていないのが現状です。

私は、これまでの移住・定住対策の更なる取り組みをすすめるとともに、結婚から出産、子育てと進んでいく流れの中で、相談体制の充実や支援対策の推進が非常に重要なポイントと考えます。 病児保育など保育サービスの充実を図るとともに、子育て支援センターや子育てサロンなどの子育て家庭や妊娠中の方の交流の場を設けるなど、子育て環境の整備に努めています。

町外での出産に際して宿泊費の助成(町内では出産ができない)や町外通院に係る交通費の助成、保育料の大幅な軽減、中学校終了までの子どもの医療費無料化など。また、妊婦検診助成、 保険が適用されない体外受精や顕微授精の特定不妊治療費についての一部助成も行っており、経済的負担を軽減するために少子化・子育て支援は特に町の重点施策として取り組んでいます。

最近では漁業や農業などに関心を持った人々が増加しており、また、島の持つすばらしい自然や独自の歴史・文化に惹かれる・都会で暮らす方々の田舎(離島)思考が広がるなかで私は、 住居と職場を確保できればある程度のUⅠターン者の増加は見込めると考えています。そして、住みやすさや子育てのしやすさをプラスアルファすることで、 人口減少問題に歯止めをかけることができると考えます。「keep 3000!」を合言葉に、西ノ島の住民とともに「人の力」が主役となったまちづくりに邁進し「人の集う島 西ノ島」を目指してまいります。