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再生可能エネルギーの町の創造に向けて

印刷用ページを表示する 掲載日:2014年2月17日

岩手県軽米町長 山本 賢一

 

軽米町は岩手県北端部に位置し、青森県と隣接する人口約10,200人余りの町です。総面積は245平方キロメートルで耕地面積が約15%、山林原野が約8割を占め、 平均200~300メートルの標高地帯に大半の集落、田畑が集中している農林畜産業を中心とした農山村です。北上山地の北端部にあたる自然豊かな丘陵地に囲まれ、 少雨寒冷な風土ややませによる冷涼な気候に適した、雑穀やホウレンソウなどの農産物の栽培が盛んです。

当町では毎年春に、雪谷川ダムフォリストパーク・軽米で「森と水とチューリップフェスティバル」が開催され、約15万本のチューリップが色とりどりに咲き誇ります。 フォリストパーク・軽米のチューリップは、岩手県内をはじめ青森県などからも毎年多くの観光客が訪れる、当町を代表する観光資源です。また、町の総合運動施設ハートフル・スポーツランドには、 約14,000平方メートルを超える敷地に町と町民有志によってシバザクラが植栽されており、初夏には見事なピンクや白のじゅうたんとなって訪れる人の目を楽しませています。さらに、 雪解けから春先の時季にかけて、町周辺の山林地帯を中心に花を咲かせるミズバショウやカタクリ、晩夏から秋にかけては、町の特産品である雑穀やソバが、実りの季節を前に可憐な花を咲かせます。 季節ごとに咲く花々と農村風景を生かした美しい景観形成によるまちづくりを進めています。

軽米の農業は旧来より自給的主穀式畑経営が営まれ、やませとの戦いの歴史でもありました。江戸時代後期に「軽邑耕作鈔」という優れた農書を残された淵澤圓石衛門氏等の実学的・体験学的な実践により、 ひえ・小麦・間作大豆の二年三毛作がすでに当時から登場し、食糧・飼料・敷料の自給、自力維持、省力労働配分など、極めて優れた「自給型輸作」を実践してきた土地でもあります。近年は地域循環型農業を奨励、 低炭素化社会の実現に向けた環境にやさしい農業を推進しています。また特産品の雑穀のほか、町内肥育の肉牛生産などで「かるまいブランド」の確立に取り組んでおり、農業のみならず、商工業・観光業と連携し、 良質な特産品を全国に発信しています。

私は現在、町長に就任して3期目後半に入りました。就任当初、合併か自立かの選択に迫られ、自立を選択し持続可能な町づくりを目指し、行財政改革を積極的に推進して参りました。職員定数の適正化、 事務経費等の徹底した効率化などに取り組んだ結果、平成20年度には実質黒字に転換致しました。

協働参画の町を掲げ、少子高齢化対策、町の活性化対策等に積極的に取り組み、少子化対策では、子育て世代の経済的負担の軽減を図って参りました。まず、第二子以降の保育料の無料化、 そして平成23年度から第一子についても原則半額、中学校3年生までの医療費無料化、各種ワクチン接種の補助、また平成25年度から、小中高校生の給食費の3分の1助成、 そして高校生の通学費助成も実施してきたところであり、今後とも更なる充実に努めて参りたいと考えております。さらに、教育環境の充実を図るため、2つの小学校の新築と武道館、 新競技施設の整備等教育環境の整備を進めてきたところであります。

また、協働参画の町を目指し、ユイコのケアドー事業や平成23年度から地域活動交付金を行政区単位に配分し、「地域づくりはまちづくり」を掲げ、地域住民の自主的・主体的な活動を支援しているところであり、 また農業が基幹産業であるわが町は、飼料用米の取り組みを早くから実施、国の減反政策の中での飼料用米の取り組みを推進しており、生産される米やわらは、牛や養鶏の飼料などに利用し、糞尿は、 飼料用米生産の堆肥として利用するという循環型農業に取り組んでおり、作付面積も拡大しております。

これまで地域の特性を活かした企業誘致を推進しているところでありますが、地域の主要な産業であるブロイラー生産に関連した鶏糞バイオマス発電施設や、丘陵な地形を活用した太陽光発電施設の誘致など、 再生可能エネルギー生産施設の導入を関係者の皆様のご協力の下に積極的に推進して参りたいと考えております。特に今後予定されている電力小売り自由化や発送電分離などに対応した新しい取り組みとして、 再生可能エネルギーを核とした首都圏消費者等との交流などを通じて、町の活性化を図るとともに、再生可能エネルギーの町の創造に向けて取り組んで参りたいと考えております。