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自律から自立へ

印刷用ページを表示する 掲載日:2013年1月28日

自律から自立へ

三重県朝日町長 田代 兼二朗

朝日町は、三重県の北東部に位置し、県都津市より、愛知県や名古屋市に近く、面積約6平方キロメートルの小さな町です。町の真ん中をほぼ南北に旧東海道があり、 その回りに住民の方が住まわれ、農業を中心に生活が営まれてきましたが、昭和13年に桑名の鋳物産業を基軸としたモーターの拠点となる企業の進出により、工業を中心とした 町として栄えてきました。最近、交通のアクセスも良いということで丘陸地の区画整理事業により住宅団地が形成され、国勢調査人口で35%を超える人たちに定住して いただきました。特に若い人達が定住してくれたこともあって、「子どもの声がする元気な町」になってきたと思います。静かな歴史文化が薫る町として歩んできましたが、 新しい人達の増加で、その方々と共に新しい文化を創造する機会になればと思います。

早いもので、町長に就任し10年目、平成15年当時は全国で合併の嵐が吹き荒れました。当町も合併協議が進み、統一地方選後に、ほぼ9割方合併に進むという状況に なっていました。選挙では、単独のまちづくりを主張した私が勝利しましたが、1年後に改めて「合併する」「しない」の投票を行い、それでも「当面単独でのまちづくり」 が選択されました。住民の皆さんの意思を尊重したとはいえ、十分な資料も提供できないまま将来への重い選択を求めた事、良かったのかどうか今でも悩んでいます。 はっきり言って特例債まで用意して、人口1万人以下の町は合併しかないとの国の号令に逆らっての選択ですから結果に責任を負う立場、重さをあらためて自覚しました。 やることは3つ、心に決めました。

1つ目、行財政改革は、これまでにも積みあげられてきた事です。地方財政を取り巻く環境が厳しい状況の中、各種団体への補助金カットなど住民の方々にもご協力 いただきました。予算編成では事務事業評価結果を最大限尊重し「自律・分権型予算」を導入したこともありました。地方分権に対応していくための人材育成は大事で、 県との人事交流も行っております。平成15年~19年の町税収入の推移は45%の増となって、諸課題への対応をすすめてくることができました。幸いこの間、全国の地方が 頑張って主権の回復、地方交付税の維持のため力を合わせてきたことが、私どもの町を支えて頂いていると感謝しています。

2つ目は、地区まちづくりです。自律から自立を目指す町にとっては、住民が主役のまちづくりが必要ということで、住民参加のもと、2年間かけて「まちづくり条例」を 制定、今では区画整理事業により生み出された新たな3自治区を合わせ、9自治区のまちづくり協議会が活動しています。

子ども達への見守り隊の活動、蛍の保存・育成、環境美化と幅広く、高齢者の方も生き生きしています。とりわけ3・11大震災以降は、自主防災組織の強化、 避難訓練などで工夫もみられます。例えば、炊き出し訓練では、「玄米雑炊」を秋田県に伝わる「びっくり炊き」での作り方に学び、短時間で160食分を作りあげるなど、 改めて住民の皆さんの創意工夫に驚きます。

3つ目は、人口1万人を目指すことでした。ここ数年の人口増は、平成12年に事業認可を受けた組合施行による丘陵地の区画整理事業で、2つの組合で住宅地約1,000区画の 造成の結果です。ご存知の第一次金融ショックにより銀行からの融資が厳しい中ではありましたが、これまで先輩方が築いてくれた下水道、幹線道路などの整備に加え、 図書館・博物館を併設した教育文化施設と児童館が一体となった「ふれあいの里」がプラス要因となりました。町として造成と同時に上・下水道のインフラ整備に協力、また、 住宅建設促進条例での後押しもさせて頂きました。しかしなんといっても団塊世代のジュニアの皆さんが、これから世帯を持つという千載一遇のチャンスを逃さず苦難を 切り開いた人達の努力が両組合とも成功裡に導かれました。

現在も乳幼児施設の拡充、小・中学校の児童・生徒増加の対応に追われる日々ですが人口1万人を目前にこれからのまちづくりにも力が入ります。